俳優の妻夫木聡が、石井裕也監督作の映画『ぼくたちの家族』で主演を務め、俳優・池松壮亮と兄弟役で初めて共演することが9日、明らかになった。

映画『ぼくたちの家族』に出演する妻夫木聡(左)と池松壮亮

早見和真の同名小説を原作に、 『川の底からこんにちは』(2010年)などで知られる石井裕也監督がメガホンをとった。ある日突然、末期の脳腫瘍で余命1週間と宣告された母。「家族がバラバラになるのは、あたし怖いのよ」の一言を最後に、母はまるで認知症のように過去の恋人のことやこれまでひた隠しにしていた家族への本音を吐露する。やがて多額のローン、生活破綻、親への不審と子への依存など、当たり前の家族に隠されていた問題が表面化し、父、長男、次男はいや応なく「家族とは?」の問いを突きつけられる。実話を基に、4人家族の再生の物語を描いた。父を長塚京三、母を原田美枝子が演じる。

「どんな家族にも、他人には言えない裏の顔があると思います。でも、例えどんなことがあったとしても、その先に何があるか分からなくても、『家族は家族として歩み続けなければならない』そんな大切さにあらためて気づかされる様な、そんな映画になっていると思います」と語る妻夫木は、母の病気に奔走する長男・浩介を演じる。その役柄を「演じる上で非常に精神力の強さが問われた役柄」と捉え、心の動きや変化を特に監督と話し合いながら演じたのだという。共演の池松に関しては、「今一番共演したかった俳優の一人です」と語り、「『もっともっと一緒にお芝居をしたい』と思わせてくれる様な、心で身体で、ぶつかってきてくれる素晴らしい俳優だと思います」と絶賛していた。

一方、池松が演じるのは弟の俊平で、「家族なんて茶番だ」と決めつけていたものの、母の病気をきっかけに家族のために生きていくことを決意する。初共演で、妻夫木の弟役を演じることに「兄貴のいない僕にとって、もったいないくらい最高の兄貴ができたと思いました」と喜んでいた池松。石井監督作の出演を「まさかこの日が来るとは思いませんでした」と語り、「いまだに夢だったんじゃないかと思います。そのくらい幸せな撮影でした」と振り返っていた。

3月15日にクランクインした同作は、4月中旬にクランクアップ予定。公開は、2014年を予定している。