第36回日本アカデミー賞の授賞式が8日、東京・品川のグランドプリンスホテル新高輪にて行われ、『桐島、部活やめるってよ』が最優秀作品賞と最優秀監督賞を含む3冠を達成したほか、『テルマエ・ロマエ』の阿部寛が最優秀主演男優賞、『わが母の記』の樹木希林が最優秀主演女優賞を受賞した。

前列左から余貴美子(最優秀助演女優賞)、阿部寛(最優秀主演男優賞)、吉田大八監督(最優秀監督賞)、樹木希林(最優秀主演女優賞)、山本哲也(故・大滝秀治の代理 最優秀助演男優賞)、後列左から大島優子(話題賞・俳優部門)、染谷将太(新人俳優賞)、武井咲(新人俳優賞)、チャン・ミン(新人俳優賞)、橋本愛(新人俳優賞)、東出昌大(新人俳優賞)、松坂桃李(新人俳優賞)

『桐島、部活やめるってよ』で東出昌大と共に新人俳優賞を受賞した橋本愛は3冠受賞の発表前に登壇し、「公開前にキャストのみんなと会った時に、8位から10位くらいをうろうろすればいいよねみたいな会話をしていました」と低めの期待だったことを明かした。しかし、初週ランキングはその期待を大きく裏切る10位圏外。その後、徐々に口コミで話題が広がり8カ月のロングランヒットとなったことに触れ、「本当に信じられませんでした」と振り返った。その後、同作を手掛けた吉田大八監督が最優秀監督賞を受賞すると号泣。さらに最優秀作品賞まで受賞し、吉田監督、東出と共にステージにあがった橋本は、「監督の喜んでいる顔を見れたのがいちばんうれしいです」と笑顔を見せた。

最優秀主演男優賞に選ばれた阿部は「まさかと思いました」と信じられない様子で、「こんなことが自分に起きるとは思いませんでした。こんなでかい体なのに鳥肌が立って情けないです」と照れ笑い。同作では古代ローマ人を演じた阿部だが、「今度この場所に戻ってくることがあったら、次は日本人役でお願いしたいと思います」の言葉に会場からは笑いが起こった。一方、樹木希林は「いやぁちょっと…あのぉ…これいただくと来年司会やんなきゃいけないから」とぼやき、こちらも会場を沸かせた。

最優秀作品賞を受賞し登壇した東出昌大(左)、橋本愛(中央)、吉田大八監督

仲睦まじげに会話をしていた前田敦子(左)と大島優子

また、『あなたへ』の故・大滝秀治と余貴美子が助演賞の最高賞をダブル受賞。優秀賞発表時、大滝さんの妻・純子さんが手紙を通して感謝の気持ちを伝えると、吉永小百合(『北のカナリアたち』)は目を閉じながら1つ1つの言葉に聞き入っていた。最優秀賞発表時には代理として劇団民藝の後輩である俳優・山本哲也が登壇。「大滝さん! やったよー!」とトロフィーを高々と掲げ、「今日は大滝さんの家に帰って、遺影の前で2人で大好きなお酒を飲んで乾杯したいと思います」と声を震わせながら受賞の喜びを語った。

また、ニッポン放送のラジオ番組『オールナイトニッポン』のリスナーの投票により選ばれる話題賞・俳優部門には、映画『闇金ウシジマくん』に出演したAKB48の大島優子が選ばれた。昨年、同賞を受賞した前田敦子がプレゼンターを務め、かつてAKB48でセンターの座を争っていた2人がこの日、女優として再会した。

阿部寛

樹木希林

山本哲也

余貴美子

吉田大八監督

大島優子(左)、前田敦子

最優秀賞受賞リスト

部門 受賞者・作品
作品賞 『桐島、部活やめるってよ』
監督賞 吉田大八『桐島、部活やめるってよ』
主演男優賞 阿部寛『テルマエ・ロマエ』
主演女優賞 樹木希林『わが母の記』
助演男優賞 故・大滝秀治『あなたへ』
助演女優賞 余貴美子『あなたへ』
アニメーション作品賞 『おおかみこどもの雨と雪』
脚本賞 内田けんじ『鍵泥棒のメソッド』
音楽賞 川井郁子『北のカナリアたち』
編集賞 日下部元孝『桐島、部活やめるってよ』
録音賞 橋本文雄『聯合艦隊司令長官 山本五十六 ~太平洋戦争70年目の真実~』
照明賞 杉本崇『北のカナリアたち』
撮影賞 木村大作『北のカナリアたち』
美術賞 近藤成之、磯田典宏『のぼうの城』
外国作品賞 『最強のふたり』