2つの超高層棟が空中庭園によって連結されている「梅田スカイビル」

東京都をはじめいろいろな都市に超高層ビルが建っているが、セキュリティーの面などから、それらのほとんどは屋上が開放されていない。ところが大阪市には、唯一といっていい例外がある。それが、地上40階・地下2階の連結超高層ビル「梅田スカイビル」だ。

梅田スカイビルは、JR大阪駅の北西に位置する「新梅田シティ」内にある高さ173mの超高層ビル。1993年3月に完成したタワーイースト(東棟)とタワーウエスト(西棟)という2つの棟の最上部が、円形の「空中庭園」によって連結されたツインタワーである。

空中庭園は、その名の通りに空中に“浮かんでいる”

世界の建築物ベスト20にも選ばれたデザイン

梅田スカイビルは、JR大阪駅に滑り込む列車の車内からも見えるビルで、梅田のランドマーク的存在だ。その個性溢(あふ)れるデザインは、ローマのコロッセオなどとともに、イギリスの出版社・Dorling Kindersley社が選ぶ「TOP 20 BUILDINGS AROUND THE WORLD」(=世界の建築物ベスト20)に選ばれたほど秀逸で、世界的にもその存在が知られている。

2つ以上の超高層棟を屋上で連結させているビルとしては、現在では、3つのビルを連結した、シンガポールの「マリーナ・ベイ・サンズ」がある。しかし、梅田スカイビル建設当時は他に例がなかった。しかも、デザインが優れているだけでなく、地震や風などの振動への耐久性を強化する効果も備えている素晴らしいアイデアだと評価された。

梅田スカイビルにはオフィスの他に、映画館やレストランなどがテナントとして入居しているが、39階と40階、そして屋上部分は「空中庭園展望台」として、有料ながら一般に開放されている。特に屋上は完全な野外であり、風を感じながら360度の大パノラマが楽しめる人気の観光スポットになっている。

巨大な輪の形をした空中庭園

夜になって暗くなるとイルミネーションによって別の顔を見せる

ビルの高さにちなんだ身長のゆるキャラも人気

屋上に上がれば、天気がよい日ならば東には生駒(いこま)山系、西には大阪湾から淡路島、六甲山系、南には大阪市内の街並み、北には淀川上流や伊丹(いたみ)空港などが見渡せる。大都会とは思えないような爽やかな風に当たりながら素晴らしい眺望が楽しめるが、安全面における配慮は万全である。

ちなみに、梅田スカイビル・空中庭園展望台には、同展望台オープン13周年を記念して公募で選ばれたキャラクター「そららちゃん」がいる。手がハート形、虹色ヘアのそららちゃんはいわゆる“ゆるキャラ”ではあるが、実は女の子なのに身長がビルの高さ173mにちなんで173cmもある。

カラフルなコスチュームが可愛い「そららちゃん」

展望台へ続くエスカレーターにて、上空へ飛び立つような感覚も楽しめる

展望台には、バレンタインデーやクリスマスシーズンにはイベント目当てで多くの客が集まる他、修学旅行のコースに設定されているため、学生たちで賑(にぎ)わうことも多い。また、初日の出を眺めたいという人のために、元旦には早朝オープンしている。結果、開業15年目の2008年5月5日には、入場者数が1,000万人を突破した。

また、ガイドブックなどではあまり紹介されていないが、地上から展望台までのエレベーターはガラス張りになっている。高いところが苦手でなければぜひ端っこに立って、西日本を代表する大都市・大阪の眺望を楽しんでいただきたい。