国土交通省は13日、同省ホームページにて、「青函共用走行問題に関する当面の方針」について公開した。2015年度末の開業をめざして建設中の北海道新幹線 新青森~新函館(仮称)間のうち、青函トンネル区間も含む「青函共用走行区間」(約82km)について議論した結果を、中間的にとりまとめたもの。

「青函共用走行区間」での在来線貨物列車と新幹線列車の共存は可能なのか、今後の進展が気になるところ

同区間では在来線貨物列車と新幹線列車が共用走行を行う予定だが、高速で走行する新幹線と貨物列車がすれ違う際、気圧変動に起因する「貨物列車の脱線可能性」が指摘されたほか、「大規模な地震が発生した際に貨物が荷崩れ・散乱する可能性」なども指摘され、昨年12月の政府・与党確認事項でも、「青函共用走行区間の最高速度は当面140km/h」とされた。

今年7月以降、整備新幹線小委員会が設置した青函共用走行区間技術検討WG(ワーキンググループ)による議論が続けられ、このほど当面の方針を発表するに至った。この中で、青函共用走行問題への対策を2つ挙げている。

ひとつは、「時間帯区分案」による1日1往復の高速走行の実現。在来線列車と新幹線列車の走行時間帯を分けるこの案により、新幹線の高速走行が可能になる。ただし、現行の安全確認方法を前提とした場合、上下1列車ずつ高速走行するために約3時間も要してしまう。低コストかつ確認時間を1時間程度に短縮する技術や、高速走行時間帯の貨物列車の誤進入を防止する技術の検討を国主導で進め、開業1年後にあたる2017年春から、翌2018年春にかけて高速走行の実現をめざすとしている。

もうひとつの対策として、「すれ違い時減速システム等による共用走行案」と、貨物列車をそのまま搭載可能な新幹線タイプの車両を開発、投入する「新幹線貨物専用列車導入案」の検討の深度化も。より抜本的で中・長期的な方策として検討を進めるという。

青函共用走行問題については、今後もワーキンググループなどにより検討が継続されるほか、「時間帯区分案」の導入に際し、各々の専門家や関係者で組織される実務技術の検討の場も設けられるという。「青函トンネルを含む共用走行区間は、これまでなかった運行の形態であるが、安全輸送を確実に継続していくため、上記の方策が迅速かつ着実に実行されていくことが必要である」とまとめている。