オリンピックに邪魔されまくりながらも、全作品が無事に“完走"を果たした夏ドラマ。例年、「数字が獲れない」「いい作品が生まれない」と言われるなか、今期は視聴率以上に楽しめるドラマが多かった。そのベスト&ワースト作品を「視聴率や俳優の人気は一切無視!!」の連ドラ評論家・木村隆志がガチ採点する。

今クールは、前回コラム「夏ドラマ全作品の初回ランキング付きガチ採点!」で書いたように、バラエティ豊かな作品がそろった。全話の平均視聴率ベスト3は、『GTO』13.2%、『遺留捜査』12.4%、『リッチマン、プアウーマン』12.4%。ヒットの基準となる15%超えがない一方、春ドラマで目立った低視聴率による途中打ち切りもなかった。

以下、前回コラムで挙げた6つの傾向から結果を検証する。

検証1. 夏らしいスカッと作品

『GTO』『黒の女教師』はダーク&バイオレンス寄り、『サマーレスキュー』は「景色だけが夏らしかった」など、爽快感としては期待外れ。一方、『リッチマン、プアウーマン』は、テンポのいい展開、ヒロインの突き抜けた明るさ、主題歌のヘビロテ効果などで、夏ドラマに最適なスカッとした仕上がりに。唯一、視聴率が右肩上がりだったのも納得できる。

※『リッチマン、プアウーマン』、『GTO』、『ゴーストママ捜査線』、『黒の女教師』、『主に泣いてます』、『サマーレスキュー』

検証2.熱血キャラの主人公

Vシネマ顔負けの迫力を見せたAKIRA、一途さを押しつけ気味の井上真央、ボコボコにされっぱなしだった丸山隆平の3人は、五輪アスリートや松岡修造にも負けない熱さを披露! さらに、小栗旬、武井咲、上川隆也、榮倉奈々など、「見た目はクール、中身はホット」な演出も目立った。「夏らしくストレートに熱く」と「夏だからクールに熱く」の二極化か。

※『浪花少年探偵団』(多部未華子)、『GTO』(AKIRA)、『トッカン』(井上真央)、『ビギナーズ!』(藤ヶ谷太輔)、『ボーイズ・オン・ザ・ラン』(丸山隆平)、『サマーレスキュー』(向井理)

検証3. ネクストブレイク候補生

当初の予想通り『GTO』の圧勝! 川口春奈、本田翼、西内まりやのモデルトリオが、視聴率を後押しし、本格的な女優人生をスタートさせた。一方、同じ学園モノの『黒の女教師』でインパクトを残せた生徒役はなく、明暗がくっきり。“次の主演女優"としては、『浪花少年探偵団』『黒の女教師』に加え、『梅ちゃん先生』にも同時出演した木村文乃が最短距離に。

※『GTO』(川口春奈ら)、『ビギナーズ!』(水沢エレナら)、『黒の女教師』(竹富聖花ら)、『主に泣いてます』(草刈麻有)、『サマーレスキュー』(能年玲奈ら)

検証4. やっぱり子役頼み

今クールで最も目立っていたのは、『ゴーストママ捜査線』の君野夢真くん。癒しキャラの鈴木福くんとは異なる正統派だけに、どこまでブレイクするか楽しみだ。「共演NG説」すら流れる芦田愛菜ちゃんと本田望結ちゃんの“日9直接対決"はドローの様相。濱田龍臣くんが「女の子!? AKBの研究生にいそう」な美少女風に変わっていることには驚かされた。

※『浪花少年探偵団』(二宮星、濱田龍臣、八木優希)、『ゴーストママ捜査線』(君野夢真)、『ビューティフルレイン』(芦田愛菜、高木星来)、『サマーレスキュー』(本田望結)

検証5. 今世紀デビューの若手脚本家

若手脚本家たちは、それぞれの主人公を力いっぱい泣かせ、笑わせ、若さあふれる作品を書き上げた。なかでも、尻上がりに視聴率を上げた『リッチマン、プアウーマン』の安達奈緒子は、すぐに次のチャンスを与えられそう。原作を壊さないよう忠実にまとめた『主に泣いてます』の野木亜紀子は、ギャグ漫画原作物の第一人者になるかも。

※『リッチマン、プアウーマン』(安達奈緒子)、『ビギナーズ!』(櫻井剛)、『ボーイズ・オン・ザ・ラン』(高橋悠也)、『主に泣いてます』(野木亜紀子)

検証6. 途中参戦&1話とばしOK

五輪開催時期で、かつてないほど1話完結ドラマがそろったため、斬新な企画だったはずの『東野圭吾ミステリーズ』がすっかり埋没……。逆に、王道の連続モノ『リッチマン、プアウーマン』が求められる皮肉な結果となった。今クールほどではないにしろ、この流れは続きそうだが、今こそ90年前後の“ジェットコースタードラマ"がウケそうな気も。

※『浪花少年探偵団』、『GTO』、『警視庁捜査一課9係』、『トッカン』、『京都地検の女』、『遺留捜査』、『東野圭吾ミステリーズ』、『黒の女教師』、『ゴーストママ捜査線』、『主に泣いてます』、『サマーレスキュー』

最優秀作品は、原作ファンからも大喝采を浴びた『主に泣いています』。菜々緒のコスプレやスカイツリーを生かしたカメラワーク、「スベリと紙一重」のギャグにトライする姿勢など、現場の熱を感じる隠れた力作だった。

また、五輪開催という逆境に真っ向から“連ドラ"で勝負した『リッチマン、プアウーマン』、キャスティングやそのかけ合いが絶妙だった『トッカン』で、連ドラの魅力を再確認した人も多かっただろう。

一方、最劣等作品は、『ビギナーズ!』。ツッコミどころ満載というより、あからさますぎるティーン向け仕立てに、ツッコミさえさせてもらえなかった印象。『スプラウト』のように深夜放送していた方がよかった気がする。

期待感からの“滑落"が激しい『サマーレスキュー』、視聴者から「ここをこうすればもっといいドラマになるのに」とツイートされまくった『黒の女教師』が続く。

ドラマ好きなら以下、部門賞の4人に異論のある人は少ないのでは? 特に、父・正雄とはまた違う存在感を放った草刈麻有は、「ぜひ朝ドラ起用を!」と思わずにはいられなかった。


【総合ベスト3】

  • No.1 『主に泣いてます』
  • No.2 『リッチマン、プアウーマン』
  • No.3 『トッカン』

【総合ワースト3】

  • No.1 『ビギナーズ!』
  • No.2 『サマーレスキュー』
  • No.3 『黒の女教師』

【部門賞】

  • 最優秀主演男優賞 - 丸山隆平(ボーイズ・オン・ザ・ラン)
  • 最優秀主演女優賞 - 井上真央(トッカン)
  • 最優秀助演男優賞 - 北村有起哉(トッカン)
  • 最優秀助演女優賞 - 草刈麻有(主に泣いてます)

いよいよ次項で全作品を激辛採点! 続きを読む