女性なら誰もが美しい肌を手に入れたいと望むもの。白く透き通るような肌にあこがれ、毎日のスキンケアを入念に行っている方も多いと思います。しかし、どんなにがんばっていても、なかなか効果があらわれずに悩んでしまうこともありますよね。
もしかしたら、それは「セルピンb3」の仕業かもしれません。あまり聞いたことがないこの物質、一体どのようなものなのでしょうか。肌の悪玉因子・セルピンb3のメカニズムを発見した資生堂の、倉本直志さんにお話をうかがいました。
あらゆる肌トラブルの原因に!
――「セルピンb3」という名前は初めて聞きました。どのような物質なのか教えていただけますか?
「セルピンb3とは、お肌にダメージを与える悪玉たんぱく質のことです。皆さんのお肌にも存在しており、これが増えることによって、トラブルの多いお肌になってしまいます。例えば、肌あれなどのお悩みも、セルピンb3が原因ですね。
セルピンb3は、肌が露出している顔や手、腕に多く存在します。一方、ほとんど露出しないおなかやお尻には少ないのが特徴。これらの部位は肌が白く、キメも細かいですよね」(倉本さん)
――どうしてセルピンb3が多いと、肌トラブルを引き起こすのでしょうか?
「健康なお肌は、アポトーシスという、修復できないダメージを蓄積した細胞を除去するシステムが働きます。これにより、周りの細胞へのダメージの広がりを最低限に食い止めます。
しかし、セルピンb3はこのアポトーシスの働きをジャマしてしまいます。本来なら除去されなければいけない細胞がお肌に残ることで、周りの細胞にダメージを広げてしまうのです。
そのダメージは肌全体へと広がります。すると、肌本来のバリア機能が低下し、乾燥や肌あれなどの肌トラブルを招いてしまうのです。
また、このダメージ因子が真皮に届くと、老化の原因になってしまいます」
――セルピンb3が増える原因として、どのようなものが挙げられますか?
「セルピンb3は、ダメージ要因に敏感です。そのため、紫外線などのダメージによって増えてしまいます。子どものころに海やプールなどでよく遊んでいた方や、日焼けサロンに通っていた方は要注意です。過去の習慣により、セルピンb3が蓄積されている可能性があります」
子どものころ、「日焼け大会」で優勝したくて肌を小麦色に焼いたものですが、これはよくないことだったとは……。
セルピンb3に対する有効成分はたったひとつのみ
――気づいていないだけで、セルピンb3をため込んでいる可能性があるのですね。これを除去するためには、どうすればいいでしょうか?
「"スキンジェネセル1P(1-ピペリジンプロピオン酸)"というアミノ酸誘導体が、セルピンb3の生成を抑制します。この成分は、キメを整えてなめらかな肌にするとともに、肌あれが起きないようにするものです。現在の研究では、この成分のみがセルピンb3に有効です」
――セルピンb3が減ることによって、肌トラブルも解消されるのでしょうか?
「セルピンb3の量が減ると、お肌のバリア機能がアップします。保湿機能はもちろん、エイジングケアにも効果が期待されます」
――最近、話題の"美魔女"といわれる方たちは、やはりセルピンb3が少ないのでしょうか?
「若いころから化粧品でケアをしてきた方は、年を重ねてもお肌がキレイですよね。乾燥や紫外線といったダメージからお肌を守ることで、セルピンb3の増加を防いでいたのでしょう。この積み重ねが肌老化を食い止め、若々しくいられるのだと思います」
いつまでも美しい肌をキープするためには、毎日のスキンケアが重要ですね。
これ以上、セルピンb3を増やさないためにも、肌にダメージを与えるようなことは避け、本当にお肌のためになる成分の入った化粧品を選ぶようにしたいものです。
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