2日目、「Last Night」は、この日のためだけに制作された特別な『エヴァンゲリオン』のMAD動画からスタートした。アニメMADといえば黎明期から現在に至るまで、ニコニコ動画を大いに盛り上げたコンテンツの一つ。超パーティーが5年間の集大成であるなら、これもやはり欠かせない演出だといえる。

2日目も初日に劣らない個性豊かな出演者がそろった

この日は田村淳をスペシャルMCに迎え、初日以上の混沌としたステージが展開された。「降臨してみた」として登場したのはニコ動でも高い人気を誇る楽曲「魂のルフラン」を歌う高橋洋子や、「鳥の詩」のLia、「Only my railgun」のfripSide、さらにはユーザー生放送の経験を持つきゃりーぱみゅぱみゅに、ボカロPのDeco*27と組んで音楽活動を行っている柴咲コウなどである。

彼らはいずれも様々な形でニコニコ動画に縁を持つ著名人ではあるが、こうして並べてみると見事にそのジャンルはバラバラだ。これもまた、"次に何が流行るかわからない"ニコニコ動画だからこその混沌とした面白さだろう。

スペシャルMCとして登場した田村淳。最初こそニコ動について何も知らなかった淳だったが、最後には「今度くるときは皆さんに負けない"ニコ厨"になって帰ってきます!」と宣言していた

さらに、2日目は「ユーザー生放送」「ゲーム実況」「東方Project」「VOCALOID」といった人気ジャンルが演目に登場。「ユーザー生放送」や「ゲーム実況」はいったい何をするのか? と注目していたのだが、歌ったり踊ったりするわけではなく、ゲーム実況プレイヤーはゲーム実況を、生放送ユーザーはモノマネやネタ見せといったそれぞれの本分(?)である芸で勝負していたのはさすがであった。さすがに音楽ライブのような盛り上がりは難しいが、ニコ動を語る上でこれらは絶対に外せないパートだったのだろうと思う。

ニコニコ技術部は相変わらずの技術力で観客の度肝を抜いた

ニコラップと呼ばれるラッパー勢も登場。熱い歌声で会場を盛り上げた

コメントを花火のような形で打ち上げる演出も

会場には3つのスクリーンが用意され、生放送のコメントが反映されていた

そして「VOCALOID」ステージでは、初音ミクなど主要ボーカロイドたちが3D映像で出演し、ライブを行った。これはステージ上の透過スクリーンに映像として投影されるという仕組みなのだが、会場やネットの生放送で見るとまるで本当にステージに彼らがいるように見えるのである。初音ミクライブパーティー「ミクパ」などでも取り入れられてきた手法だが、その技術はここへきて一気に急上昇したように思えた。おそらく2日間を通して、もっとも会場とネット視聴者が盛り上がっていたポイントはここではないだろうか。

初音ミクやボーカロイドたちが"そこにいる"感覚はかなりの衝撃である

これまでのライブでは出てこなかったボーカロイドもついに参戦

2日目のラストを飾ったのは、「思い出はおっくせんまん」から「粉雪」という流れだった。どちらもニコニコ動画の黎明期に大ブームを巻き起こした楽曲であり、コメント弾幕という現象を生み出した動画としても知られている。とはいえ、どちらもかなり古いムーブメントであり、ここ1、2年でニコ動に入ってきたユーザーにはわからない人も多いだろう。それでもあえて、この2曲をラストに持ってきたというところに、今回の超パーティーにおける「原点回帰」というテーマ性が表れていたような気がした。出演したユーザーの多くが、自らのデビュー作やブレイクするきっかけになった動画をあえて選び、ステージで再現していたのも、そうした思いからだったのだと予想する。

会場の一体感はものすごいものがあった

ニコニコ超パーティーは何度も書いている通り、5年間のニコニコ動画における一つの到達点といえるイベントであった。巨大なプラットフォームであると同時に、巨大コミュニティとしても成長してきたニコニコ動画の行く末を引き続き見守っていきたいと思う。