「東急プラザ 表参道原宿」「渋谷ヒカリエ」など、4月は東京の"新名所"となる商業施設のオープンが相次いだ。渋谷駅直結の高層複合施設・渋谷ヒカリエに関しては、プレオープンと4月26日の開業初日で来館者数約20万名、売上げ2億9,000万円を記録(東急電鉄発表)したそう。4月28~30日の3連休も入場規制が行われるほどのにぎわいだった。
渋谷ヒカリエは鉄道ファンにとっても注目のスポットとなっている。東京メトロ銀座線の線路の南側にあり、新型車両1000系などの地上走行シーンを気軽に見に行けるというのが理由だ。
銀座線は営業運転区間のほとんどが地下で、地上を走るのは渋谷駅付近のみ(営業運転を行わない地上走行区間もある)。しかも地上に出た銀座線は、すぐに高架橋を渡り渋谷駅へ入るため、駅前から銀座線の電車を見上げることはできても、車両を俯瞰(ふかん)できる場所は限られていた。
渋谷ヒカリエには、「アーバンコア」と呼ばれる吹き抜け空間(地下3階から地上4階まで)が整備されており、ここから銀座線の電車が行き交う様子を俯瞰で見られる。とくに地上3~4階の広場は眺めが良い。新型車両1000系の走行シーンも見ることができ、レモンイエローが美しい車体に、地下とはまた違った印象を抱くに違いない。1000系の渋谷駅への発着時刻は、東京メトロによるスペシャルサイトの予定運行ダイヤから確認できる。
また、東急百貨店がプロデュースする商業施設「ShinQs(シンクス)」にも、銀座線の線路を眺められる場所が。8階「d47食堂」のように、渋谷の風景を展望できるカフェ&レストランもある。ただし、ゴールデンウィーク期間中はもちろん、連休以降も土日などかなりの混雑が予想される。渋谷ヒカリエから銀座線の電車を楽しみたいなら、混雑する時間帯は避け、マナーを守って周囲の迷惑とならないようにすることを心がけたい。
渋谷駅周辺は、本年度に予定されている東急東横線と東京メトロ副都心線の相互直通運転を契機に、大規模な再開発を予定している。現在の東横線渋谷駅は姿を消し、跡地にJR埼京線のホームが移設される。また、銀座線のホームも東側へ移され、島式ホームになるという。新しい銀座線渋谷駅ホームは2021年度の完成を予定している。
本格的な移設工事が始まれば、銀座線の地上走行シーンも見られなくなってしまう可能性が高い。それまでの間、渋谷ヒカリエから"期間限定"の風景を楽しみつつ、1000系が銀座線の主力車両となり、渋谷駅周辺の風景が一変する将来の姿を思い描いてみるのもいいかもしれない。