12月12日、六本木のニコファーレにて、「ニコニコ動画5周年記念新サービス発表会(仮)」と題したイベントが開催され、「原点回帰」をテーマに様々な新サービスの紹介、現行サービスの見直し、ニコニコ動画次期バージョンの情報などが発表となった。

もう5年も経ったのかと思うと感慨深い

総合ランキングの復活、新カテゴリ編成と御三家隔離の廃止、クリエイター奨励プログラム(ヒット動画を生み出したクリエイターに奨励金が支払われる仕組み)の導入など、非常に盛りだくさんの発表会となったが、中でもニコニコ動画ユーザーとしての目線から特に気になるものを重点的に紹介していこう。

この日は珍しくドワンゴ川上会長も登壇

ひろゆき氏はモンハンのやりすぎで遅刻。この遅刻もある意味原点回帰

まず、気になるニコニコ動画の次期バージョン名だが、原点回帰の意味を込めて「ニコニコ動画(ZERO)」となった。次期バージョンとして正式にスタートするのは、ニコニコ超会議の開催日である来年4月29日だが、それまでに新サービスは順次リリースされていく。

その新サービスの中で特に画期的だと感じたのは、ニコニ・コモンズのリニューアルによる「コンテンツツリー」と「クリエイター奨励プログラム」の導入だ。

どの作品から派生した動画なのかを明確にする「コンテンツツリー」

ニコニコ動画では"ある動画をもとに作られた二次創作"が作品の大半を占めている。たとえばボカロ曲が投稿されると、そのボカロ曲を使用した「歌ってみた」や「演奏してみた」、「踊ってみた」などの様々な二次創作が別のユーザーによって投稿され、さらにそれをもとにした合唱動画などの三次創作が生まれ……と次々に派生していくわけだ。ニコニコ動画(ZERO)ではニコニ・コモンズをリニューアルし、そうした派生関係を示す「コンテンツツリー」を導入。これにより、その作品がどの動画から派生したものなのかがよりわかりやすくなった。

たとえば先ほどの例であれば、ボカロ曲を使用して「歌ってみた」を投稿したユーザーが、親動画である原曲の動画をコンテンツツリーに登録する。すると親動画の制作者に、「コンテンツツリーにあなたの作品が登録されました」という連絡が入る仕組みである。なお親作品として登録できるのは動画だけでなく、「ニコニコ静画」も対象となる。

そもそもニコニコ動画では、親作品が存在する場合、その動画へのリンクを動画解説欄の文中に入れ込むのが投稿時のマナーとして定着していた。「コンテンツツリー」は、そうした通例をシステムとして導入したというわけだ。

キャッチフレーズは「権利の記録から歴史の記録へ」

そして「クリエイター奨励プログラム」だが、こちらは投稿作品の人気に応じて奨励金をユーザーに支払う仕組みである。受取り条件は「プレミアム会員であること」「コンテンツツリーを登録していること」「3ヶ月間、削除されないこと」の3つ。さらに、先ほどのコンテンツツリーを登録しておけば、子作品の人気に応じて親作品の制作者にも奨励金が支払われる。奨励金の原資となるのはプレミアム会員の売上げであり、現在数億円を準備。また、この奨励プログラムは今後、ニコニコ生放送にも導入予定とのことだ。

「子ども手当」というネーミングがニコニコ動画らしい

さて、続いては少々マニアックだが、ランキングとカテゴリ編成の話だ。

車載動画は隠れた人気ジャンルの一つだった

大きな変更点は3つ。

  • これまで廃止されていたカテゴリ合算総合ランキングの復活
  • 新カテゴリに「ニコニコインディーズ」「車載動画」「旅行」「ニコニコ手芸部」「作ってみた」の5つを追加
  • カテゴリグループの再編を行い、「御三家」と「やってみた」を解体。これにより「アイドルマスター」「東方」は「アニメ・ゲーム・絵」カテゴリグループへ、「VOCALOID」は「エンタメ・音楽」カテゴリグループへと、それぞれ振り分けられることになった。

また、「人気のタグ」で動画の絞り込みが可能になった他、タグに基づいて「あなたへのオススメ動画」を教えてくれるページが登場、さらにお気に入りのタグ検索をショートカットとして保存できるなど、細かなところで機能が向上している。

次にニコニコ生放送関連の発表について。

まずユーザーが待ち望んでいた16:9プレーヤーのベータ版が、13日朝8時よりプレミアム会員限定で先行公開される。タイムシフトについても来年1月中には対応を予定しているとのことだ。

検索機能も改善された。同一コミュニティの放送が非表示可能になった他、タグでの絞り込み、適応率の高い順での表示、番組の種類や放送日時での絞り込みなど、様々な面で使い勝手が良くなっている。これらは12月22日から全会員に公開される。

その他、ニコニコ市場のリニューアルとイベント関連の告知などについてはザッと概要のみ紹介しよう。

  • ニコニコ市場がリニューアルし、ニコニコ市場ポイントプレゼントキャンペーンが12月12日~2012年1月31日まで行われる。ニコニコ市場から商品を購入すると40円ごとにニコニポイント1ポイントが商品購入者、その動画のクリエイターそれぞれにプレゼントされる。
  • 1月22日、ニコファーレにて与謝野馨とユーザーがトライアスロンで対決する5周年記念番組を放送。ただしトライアスロンの内容は「コンピュータの組み立て」「囲碁」「カメラ撮影」「一人百首(与謝野晶子の歌限定)」。
  • ニコニコ生放送で「ベルセルクやってみた」を放送予定。
  • 大晦日の「元気ですか!!大晦日」をニコニコ生放送で中継予定。
  • 年末年始は公式生放送でアニメの一挙放送が大量に行われる。また映画・海外ドラマが全作品半額になる。

この日はミュージシャンの向谷実も登壇。USTREAMからニコニコ生放送へ「移籍」することを発表した

現在ジブリ社員の川上会長。ジブリナンバーワンアニメーターに制作してもらったという川上会長が主役のミニアニメがこの日公開された