――高校を卒業して上京されたんですね。
「横浜の短大に行ったんです」
――卒業のころに、文学座を受けられた……。
「このまま仙台に帰ってしまうよりは、一回だけ文学座を受けてみようと。憧れの太地さんが文学座ですからね。たぶんダメだろうと思ったんですね。2年間、何もやってませんでしたから。なぜか受かってしまったんですよ。じゃあ10年頑張ろうと決めたんです」
――文学座は1年間で、劇団昴に移られたのは?
「1年で、もう落ちちゃったんですよ。三雲孝江ちゃんとか同期だったんですよ。彼女も落っこちちゃったし。だけど、10年って決めたので、どこか他にと思って。(昴に)お友達がいたので」
――吹き替えを始められたキッカケは?
「(昴の)研究生のときに、東北新社さんが、声のお仕事をする新しい人たちを開拓したいというので、広く劇団とかに、興味のある方を送り込んでくれ、というのがあったらしくて」
――昴の中から選抜されたんですか?
「発声の先生に、『お前がこのクラスの最低だ』って、いつも言われていたんですよ(笑)。そんな私が、勉強して来いと言われて。オーディションに行って、受かったんです」
――その勉強を終えてデビューですか。
「週に1回ぐらい呼んでもらって練習したんですけど、付いてたディレクターさんが忙しい方で、二カ月もしないうちに、『こんな新人に付き合ってる時間ない。もう仕事で覚えなさい』って言われて、仕事をもらえるようになってしまったんです」
――初めての主演作品は、TVシリーズ『がんばれ!ベアーズ』ですね。
「1年(間)のシリーズがあって、そのディレクターさんが、オーディションを受けさせてくださったんですね」
――早瀬未沙役に選ばれた経緯をうかがえますか。
「そのころ、昴は(声の仕事を)サポートしようという体制はあまりなかったんですね。それで、よそのマネージャーさんが、割り合いかわいがってくださったんです。『ベアーズ』のちょっと後に、『オーディションをやるんだけど、行ってみない?』って、連れて行ってくださったんですね」
――それが「タイムボカン」シリーズのオーディションだったと。『ヤットデタマン』と『逆転イッパツマン』にレギュラー出演されましたね。『マクロス』のタツノコプロ作品ですが。
「それをやる中で多分、次の『マクロス』の企画が進行してたんでしょうね。で、突然。オーディションは受けてないと思うんですけれども」
――スタッフの方が、タイムボカンシリーズでの土井さんをご覧になって、早瀬未沙役にと。
「多分、そうだと思います。2年間やってる中で、先輩たちとお話ししてるじゃないですか、スタジオの中で。私のキャラとか、声質とかを聞いてくださったんでしょうね」