――TVシリーズの後、劇場版、ゲーム、最近は、パチンコ、パチスロもありました。長く演じてこられて、どんなことを意識なさってるのでしょう。

「そのときの自分の精一杯でやってきちゃってるんですよね、私は。だから、少し大人でやらなきゃいけないのではないかとか、あるいはすごく子どもでやらなきゃいけないのではないかっていうのは、そのときの意識だと思うんですね。もちろん、テクニックもあるとは思うのですけれども。なので、自分の年齢がこれだけ上がってくると、立ち位置がもう違うんですよね。今の自分で一生懸命やったらとんでもないことに(笑)。ですから、そこで考えると、何年か前、何十年か前にやったことを、自分がやったことを客観的に見なくちゃいけなくなってきてるというんですかね」

――年齢を重ねて、経験も豊かになったことを意識して……。

「同じ感じに到達するためには、今の自分は、どんな方向でやる気を出していいのか、みたいなことは考えますね」

――特に、早瀬未沙は、ひたむきなキャラクターですね。

「あのとき私が精一杯にやってる良さっていうのは、きっとヘタでもなんでもあったと思うんですよ。土井が一生懸命やってるのと、早瀬未沙が一生懸命やってることが重なってよかった部分。今は、ちょっと違う立ち位置じゃないと、それは出せないんですね」

――そうすることで、でき上がった早瀬未沙のテイストが、長く同じものになる。

「そうですね、一生懸命じゃないと、いやらしいじゃないですか、早瀬未沙のセリフって。だからそれを、こう、ちょいちょいとやってしまうと違う人になっちゃうと思うんですね。あの一生懸命というのが、キャラの中に入ってると思うんですね」

――そうですね。

「一生懸命やってます、ってやる。そのいやらしさは、早瀬未沙には絶対邪魔になる部分だと思うので。自分のなにかシーソーみたいな部分があって。やってるときに、お芝居で一生懸命を作るのじゃなくて、あくまで私が一生懸命やるって。だけど、今の私のままの一生懸命じゃない、っていう。そこのバランスが、なんかすごく綱渡りみたいなところがあるんですよね。でも、きっとそれが、私が今、早瀬未沙をやる面白さにもつながると思うし、意味もそこにあるんじゃないかなあって思うんですね。なにかテクニックみたいなことでやろうとしたら、きっと違うものになってしまうのじゃないかなと思うんです」