料理とワインの見事なコンビネーション

さて、後回しになったが、デルタ航空のサービスを語る上で欠かせないのが機内食だ。洋食を考案するミッシェル・バーンシュタイン氏は、アメリカ南部最優秀シェフにも選ばれた腕を持つ。また、デルタといえば、ワインのセレクションの良さに昔から定評があるが、現在は、ソムリエ教育国際機関「ザ・コート・オブ・マスター・ソムリエ」が認定する世界に15人しかいない女性マスター・ソムリエの1人であるアンドレア・ロビンソン氏が厳選したワインを提供している。

1食目の前菜。手前のプレートは「鴨胸肉のローズマリー風味 クスクスサラダ ドライフルーツとアーモンド入り」。スープもヘルシーでまったくもたれない

メインのチョイスは洋食4種類・和食1種類。この日のミッシェル氏考案のメインは、「鶏胸肉のロースト マッシュルームとマスタードソース仕立て シュペッツレ・パスタ、いんげん、人参添え」。キノコ風みの鶏胸肉は見た目よりヘルシーで、選んだフランス・ブルゴーニュの白ワインが一層おいしさを高めてくれた

デザートはチーズと新鮮なフルーツ、バニラアイスクリームサンデー。ポルトガルのデザートワインとチーズ、フルーツのハーモニーが素晴らしく、特にチーズは独特のにおが消え、おいしさだけが口の中で延々と続いた

羽田到着前の2食目。「朝食イングリッシュマフィン スクランブルエッグ、ほうれん草、チェダーチーズ トマトとターキーカナディアンベーコン添え」

ミッシェル氏が考えた食事にアンドレア氏が選んだワインを合わせて味わっていると、2人が機内食のプロであることを実感する。機内では気圧の関係で、ワインの香りや食の風味が地上で味わうときとは違うものになってしまう。そうした制約の中で、どうすれば食事をおいしくできるのかを2人は知り尽くしているのだと想像できる。ワインのセレクションで有名。あるいは機内食が良質。そういう航空会社は少なくないが、その両方のコンビネーションが見事な航空会社はそうあるものではない。

ミッシェル・バーンシュタイン氏。深夜早朝便の多い羽田発着の機内食は、乗客の体内時計に合わせたスタイル。例えば真夜中出発の食事は睡眠確保のために短時間で終え、到着時の食事にミッシェル氏考案のディナーメニューを提供するといった具合。写真提供: デルタ航空

アンドレア・ロビンソン氏。メニューカードにはワインをセレクションした理由やどういう料理に合うかが詳しく書かれていて参考になる。ワインの他、ビールや各種アルコール類もすべて無料。ソフトドリンクやコーヒー、ティーなどビバレッジも充実。写真提供: デルタ航空

ビジネスクラスと聞いて、縁遠いものと感じる方もいるかもしれないが、首都圏からロサンゼルスへの直行便を運航する航空会社は数多く、割引運賃も出やすい。さらには、マイレージでのアップグレード特典で乗ることもできる。今回のの体験を通して、デルタ航空の「ビジネスエリート」はこれだけの空港サービス、機内設備、機内食、そしてホスピタリティを提供しており、間違いなく最高レベルであると共に、価値の高いビジネスクラスだと実感した。