九州新幹線の全線開通に合わせて制作された「祝!九州」CMが、「カンヌライオンズ 国際クリエイティビティ・フェスティバル」(カンヌ国際広告祭)のアウトドア部門で金賞、メディア部門で銀賞、フィルム部門で銅賞を獲得した。

「祝!九州」キャンペーンでは、7色のラッピングを施した特別車両から、手を振ったりウェーブしたりする沿線住民を撮影。全線開業後、九州新幹線の各駅でも同キャンペーンのポスターを見ることができた

開通前日(3月11日)に発生した東日本大震災により、全国放映がかなわなかった同CMだが、現在もYouTube公式チャンネルで閲覧可能。筆者も「特別篇」「総集篇」を見て、思わず目がうるんだ。きっと自分が鹿児島出身の元"九州人"だからだろう……、とばかり思っていたら、九州以外の人たちからも、「心が温かくなった」「感動した。こんな時期だからこそもっと大々的に放映するべき」などの声が上がっているそうだ。そして世界的な評価にもつながった。

鹿児島中央駅は新幹線の全線開業に先駆け、2010年にリニューアルされた。駅構内には、西郷隆盛がモデルのゆるキャラ「西郷どん」のパネルも

鹿児島中央駅から乗車した「さくら」は800系だった

昔「西駅」、今「中央駅」から「さくら」に乗る

鹿児島中央駅から福岡市内までの「九州新幹線2枚きっぷ」は1万8,000円。指定料金券を追加すれば指定席に乗車できる

今年5月に鹿児島へ帰省し、「九州新幹線2枚きっぷ」を利用して鹿児島中央~博多間を往復したときにも、鹿児島中央駅や熊本駅など各駅で「祝!九州」のポスターを見かけた。

"九州人"などと自称してはみたが、鹿児島を離れてすでに10年以上。だから鹿児島中央駅を、いまだに「西駅」(旧駅名・西鹿児島駅の通称)と呼んでしまう。地元では「中央駅」の呼び名が定着しつつある様子。そんな鹿児島中央駅から、まずは「さくら」に乗車した。

九州新幹線では現在、同線内を折り返す「さくら」「つばめ」に使用される800系と、最速達列車の「みずほ」や、山陽新幹線と直通運転を行う「さくら」などに使われるN700系の2種類の車両が活躍中。筆者がこのとき乗車した「さくら」(博多行)は800系だった。

九州新幹線内折り返し列車に使用される800系は6両編成

白の車体に赤と金のリボンラインが映える

車内に入ると金箔の壁が目を引いた

800系は指定席、自由席とも2列+2列の配置。車両ごとにシートのデザインが異なる

「みずほ」「さくら」を中心に使用されるN700系は8両編成。「のぞみ」用車両とは異なる白藍色の塗装で、車体側面には「KYUSHU / WEST JAPAN」のロゴが

N700系の車内は、指定席(写真左)が2列+2列、自由席(同右)が3列+2列の配置に

2004年に部分開業していた鹿児島中央~新八代間は、大部分においてトンネルが連続する区間だ。「さくら」は川内(せんだい)、出水、新水俣の各駅に停車しながら、それでも50分足らずで新八代駅に到着した。

今年3月まで、鹿児島本線を走行する特急「リレーつばめ」との接続駅だった新八代駅。ホームとアプローチ線がほぼそのままの状態で残されていた

新八代駅の新幹線ホームから、鹿児島本線を走る特急「くまがわ」が見えた

この駅は全線開業まで、在来線である鹿児島本線を走る「リレーつばめ」との接続駅だった。鹿児島中央方面ホームの隣に、「リレーつばめ」用のホームと、在来線へのアプローチ線が残されていた。