安さの秘密は直輸入。おいしさのワケは?

グラス100円、250mlのデカンタ190円、1,500mlのマグナムですら1,060円という驚異的な価格でワインを提供しているサイゼリヤ。しかも自社でイタリアから直輸入しており、品質もよく、価格以上のおいしさがある。そのサイゼリヤで、ワイン大充実の店舗があるとの噂を聞いた。一体どんな店なのだろうか。ワインの品揃えは? 真相を確かめるべく、サイゼリヤのワインを長年担当してきた取締役組織開発室長兼アダツアーズ・ジャパン代表取締役社長・長岡伸氏にお話をうかがった。

こちらがワインのメニュー。通常、ワインは7種類。ロゼや泡があったりと、種類を絞りつつバラエティ感はある

「日本のレストランでは、料理に比べてワインの価格が高い。ヨーロッパのようなリーズナブルさで、ワインを飲みながら食事をする文化を根付かせたいと、サイゼリヤは長年、ワインに力を入れてきました」という長岡氏。品質の高いワインをより安く提供するために、サイゼリヤ代表取締役会長・正垣泰彦氏と共にイタリアのワイナリーを巡り、1996年からワインの直輸入を始めた。

最初はドライコンテナで輸入していたが味の劣化が激しいため、温度が一定のリーファーコンテナでの輸送に切り替えた。もちろんコストはかかってしまうが、「安価なワインであってもおいしく楽しめるんだということをわかってもらいたい」と切り替えを決意した。

実は前述のワインの価格は、1999年までのものとは異なる。以前はグラス190円、マグナム1,600円だったハウスワインだが、同年のフェアの際に値下げ。一時的に現在の価格としたのだが、一気にワインの販売量が増え、そのまま価格を据え置き現在に至る。

日本一フレッシュなワイン

価格だけを見ると、驚愕の安さのために「安かろう、悪かろうなのでは? 」という印象も与えかねないが、実はハウスワインも含めすべてリーファーコンテナで輸入しており、品質維持には細心の注意を払っている。現在では、月に140tものワインを輸入。各店舗への配送も早く、販売量も多いため回転が速い。店舗で寝かせてしまうこともなく、日本到着から2カ月以内でほぼ全量を売り切ることができる。「日本で1番フレッシュなワインが楽しめます」というのも、納得である。

現在、サイゼリヤの店舗では赤・白・スパークリングと7種類のワインを扱っているが、実は、50種類ほどのワインを揃えるスペシャルな店舗がある(店舗によって用意しているワインの種類は異なる)。東京や千葉の駅前立地を中心に、約40店舗存在する。サイゼリヤのオフィシャルサイトでも大々的に宣伝しておらず、知る人ぞ知る店である(該当店舗はアダツアーズオフィシャルサイトにて紹介)。