1995~96年 に『週刊少年ジャンプ』(集英社刊)にて掲載された、冨樫義博氏の人気漫画『レベルE』が十数年の時を経て、TVアニメとして戻ってくる。テレビ東京系にて2011年1月より放送開始となるのに先駆け、その第1話の先行試写イベントが8日、東京・赤坂のSME乃木坂ビルにて開催された。

TVアニメ『レベルE』は2011年1月10日よりテレビ東京ほかにて放送開始

今回のイベントでは、試写会後の興奮冷めやらぬ約200名の観客の前に、王子役の浪川大輔とプロデューサーの萩野賢氏が登場。金髪の王子姿に扮した浪川大輔が舞台袖から現れると、観客からは黄色い歓声とどよめきが。浪川が「みんな、あけましておめでとう……はずかしいよ」と挨拶すると、大きな拍手が寄せられた。

王子姿の浪川大輔。観客から「似合っているよ」との声に「ありがとう」とスマイル(おそらく)

司会者から「その格好はどうされたんですか!?」との質問に浪川は「年末、ご機嫌になってしまいまして、『王子やってみたい』なんて言ったら……今日の朝になって『なんで言ったんだろう』と思ったんですけど……」と照れ笑い。観客から「似合っているよ!」との声が上がると「ありがとう」とはにかみながら、「でも、意外と普通じゃないですか? 皆に"売れないミュージシャン"とかいろいろ言われますけど」と明かし、会場からはどっと笑いが起こった。

王子の護衛を務めるクラフト役の子安武人に「浪川さんはまさに王子にぴったりだ」と大絶賛されていたことを司会者に明かされた浪川。「子安さんはクラフト役のオーディション時にずっと『相手は浪川君だろうな』と思っていたみたいです。スタジオに入ってきたら、いきなり僕に近づいてきて『やっぱりそうか』て言われて、『いや、そうすか!?』って。自分の中では、むしろ王子に近づきたくてこんなの(王子姿)をやっているぐらいですよ!?」と納得できない表情を浮かべる。

宇宙一の天才的な頭脳の持ち主ながら、性格の悪さも超一級の王子役ということもあり複雑な面持ちだったが、荻野氏に「原作で王子はイメージがつかみづらく、王子を決めるのは難航しましたが、オーディションで浪川さんがぴったりだと思った」「透明感があってすごくよかった」と絶賛されると、「それはオーラがないってこと? ……褒められ慣れていないので」とはにかんだ表情を見せた。

王子の役作りについては「王子は宇宙一頭が切れる役なので、そこを一番気にしました。頭が切れるというか、全部分かってなきゃいけない。だけど途中でアクシデントもあるわけで、それに対して『分かっているけど分かっていないのかな? 』『何考えているのかな? 』というところが一番王子をやる上で大変だったところです。切れ者ってなんだろうってすごく考えたんですけど、自分の中にはあまりなかったので、違う視点でアタックしてみました」と語った。

完成映像を観ての感想を聞かれると浪川は「この作品は随分前から収録はあったのですが、1話の時から絵もきれいにできていました。ただ、効果音や音楽は入っておらず、ある程度の予想はできていたものの、出来上がりを観させていただいたときには、『いやすごいな』と。この作品ってすごく壮大な話なんですけど、テイスト的にはそんなに派手ではなく、すごく地に足が着いた作品だと感じました」と答えた。

制作にあたって苦労したことを聞かれた萩野氏は、「この作品は時期として、(冨樫)先生の『幽☆遊☆白書』と『HUNTER×HUNTER』のちょうど間に位置していて、一番絵が難しい。アニメーションのキャラクターにまとめるのに、現場スタッフはかなり苦労したと思います」と語ると、浪川も「原作を読まれた方は分かると思うんですけど、絵のタッチがページごとにガラリと変わったりするんですよね。それを1本のアニメにするのは大変な作業」と相づちを打つ。「あまりイメージを崩してはならないし、かといって毎回(タッチを)変える訳にもいかないので、それがどううまくテレビシリーズとなるのか、それが(現場スタッフにとって)一番大変だったんじゃないかな」と荻野氏は振り返った。

現場の雰囲気について浪川は「ものすごい人数のキャストがエピソードによってがらりと変わるので、常に新番組な感じでした」と語り、萩野は「(現場で浪川は)いじめるより、いじめられるほうが多くないかな? 」と王子とは違った浪川の姿を垣間見る一幕もあった。

作品の見どころについて、浪川は「この作品はSF連作集という風に呼ばれていて、1本のストーリーをやっていく感じではなく、いろんなお話が組み入れられています。がらりとキャストが変わったり、『To Be Continue』のところを毎週見ていただくと細かい演出が入っていたり。毎回、新番組を見るみたいな感じです」と語った後、「それと、やっぱりカラーレンジャーでしょうか」と、作中に出てくる原色戦隊カラーレンジャーを見どころとして挙げた。

荻野氏も「カラーレンジャーは楽しみにしてもらっていいと思います」ときっぱり。またオムニバス形式の流れについて「原作はエピソードごとに区切られた感じになっていますが、1話に出てくるキャラクターが別のエピソードにちょっと出てきたり、エピソードの終わりに、どう次のエピソードをひくかというのも、目立たないんだけどさらっと入っていたりします。そういうところを見つけると、原作とちょっと違うので楽しいと思います」と話した。

荻野氏に「(カラーレンジャーの)全身白タイツの王子姿で来るかと思った」と言われると、浪川は「最初のイメージは全身白のタイツに、1,000円ぐらいの金髪かなと思ったら、すげぇ立派な金髪がきちゃって(笑)」

また、もう一つの見どころとして2人が挙げたのは「間合い」。浪川は「特に掛け合いが素晴らしい。監督がお笑いのツッコミとボケの間合いを勉強されていたんです。筒井雪隆(cv.細谷佳正)から王子へのツッコミがものすごくシャープで、ボケていて楽しかった。さらにクラフト(cv. 子安武人)の素晴らしいキレっぷり、『子安さん、大丈夫か』と思うくらい素晴らしいクラフトです」と絶賛した。

ファンに向けてのメッセージとして、浪川は「レベルEという作品は、期待されている作品で収録しているときからプレッシャーを感じていて、しっかり受け止めて作った作品なのですごく素晴らしいものになっていると思います。短い期間かもしれませんが、変なアニメができあがったぞと周囲に宣伝していただき、何も考えずに笑っていただき、今年1年いいスタートを切っていただければなと思います」と呼びかけた。

次ページでは、浪川大輔が先行試写イベント前に語ったコメントを紹介しておこう。

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