ネットでお手軽に電子書籍がレンタルできる電子貸本「Renta!」では様々なジャンルの漫画を読むことができるわけですが、中でも充実しているのが「BL」、いわゆる「ボーイズラブ」というやつです。

男性同士の恋愛を描くジャンルのため、どうしても女性の読み物という印象が強いジャンルですが、だからといってせっかくの面白い漫画を知らないままというのはもったいないですよね。

……まぁいきなりディープな作品から入るのは難しいかもしれませんが、そこは600作品ものBLを取りそろえている「Renta!」ですから、比較的読みやすいものだってあるわけです。

ということで、自分自身BL初心者である筆者(男)が、同じく初心者の皆さんにお薦めできる漫画をいくつかセレクトしてみました。

同級生(中村明日美子)

『同級生』(茜新社刊)

タイトルの通り、高校生男子の爽やかでピュアな恋愛を描いた作品。メガネの優等生・佐条利人と、同級生の草壁光が気持ちを育てていく様子がじっくりと描かれており、最後まで読むと「ああ、自分はなんて汚れた大人になっちまったんだ!」と悶絶すること請け合いです。

絵にはややクセがあり、おそらくまずそこで好き嫌いが分かれるのではないかと思いますが、最初の方のページだけ見て切ってしまうのは正直もったいない。なんといいましょうか、全体に漂う雰囲気というか、空気感の作り方に24年組を彷彿とさせるものがあり、古い少女漫画が好きな人ならきっとハマれる作品ではないかとも思うのです。

ちょっと抽象的な説明になってしまったので、内容をもう少し紹介しましょう。

たとえば冒頭、合唱祭前の音楽の授業中に佐条利人が歌っていないことに気付いた草壁光が、「こいつは頭が良くて有名なやつだ。お歌なんか歌ってらんねってか」と思うシーンがあります。この時点ではまだ、"なんだこいつ"くらいの気持ちしか持ってないわけですが、ある日の放課後、利人が一人で歌の練習をしているところを見た光は思わず声をかけ、話の流れで彼の歌の練習に付き合うことになります。このあたりから光が自分の気持ちを少しずつ自覚し、しかしそれをコントロールできずにもてあます様子が、絶妙なバランス感覚で描かれていきます。

ふとしたきっかけで"相手の存在"に気づき、そこから次第に意識していく。そこから恋人になり、さらにお互いを深く知っていく――という流れはよくある恋愛の一つの形ですが、だからこそ真に読者の共感を得るのは難しいですし、その一連の流れをこれだけ綺麗に描く表現力は圧倒的。あとはコマ割りの妙や、印象的なセリフの数々にもぜひ注目してください。

GAME(今市子)

『GAME』(ヴェルヴェット・ポゥ刊)

ある日の部活帰り、突然現れた二人の高校生に拉致された誠一。二人の正体は誠一の兄である貢一のクラスメイトである柴田と南で、彼らの目的は貢一を呼び出すことだったのでした――。

この冒頭のエピソードだけ紹介すると何のサスペンスかと勘違いしそうになりますが、恋愛物です。誘拐事件のことはさておき、これ以降ストーリーは、誠一、貢一、柴田、南という4人を中心に進んでいくことになります。この4人(南は恋愛面ではあんまり関係してないので3人か)の関係がなかなか難しくて、誠一は柴田に惹かれる一方で、兄・貢一の片思いの相手が柴田だということを知っており、柴田は柴田ではっきりした答えが出せずずっと揺れ動いているといった感じ。うーん、ややこしい。

本作はそんな彼らの関係性と、時が経つにつれて変わっていくキャラクターたちがとても魅力的です。と同時に、彼らの不器用さ、あと一歩で気持ちが届くのにそれを避けてしまうもどかしさに、じりじりと胸が締め付けられます。

なお、本作は別にがっつり恋愛だけ! というわけではなくて、高校生、あるいは大学生の日常を丁寧に描いているところも個人的に高ポイントでした。最初に恋愛物と書きましたが、それよりは青春物といった方がいいかもしれません。

夢を見るヒマもない(山田ユギ)

『夢を見るヒマもない』(二見書房刊)

航空業界を舞台にした青年たちの友情と恋愛を描く作品。とにかくテンポがよくてサクッと読むことができます。ジャンルはラブコメ……になるのでしょうか。

航空専門学校で出会い、寮でも同室の川村と吉武の2人。数ヶ月を共に過ごした後、吉武は父親が飛行機で事故死したことで退学してしまいますが、その後就職先で二人は運命的な再開を果たすことになります。無邪気で小動物のような川村と、無口でそっけない吉武という組み合わせがいいコンビで、二人のやりとりが何とも微笑ましい。話の進め方、会話の作り方が非常に巧みな作品です。

この巧さはストーリーにおいても同様で、"何となく航空業界を舞台にしました"というのではなく、きちんと調べて書いてるんだなという印象を受けました。また、物語全体に一本通った"芯"のようなものが感じられます。

また、ラストで主人公が悩み、それを解決する展開には共感することしきり! 特に後半、川村が飛行機を見ながら吉武に向かって話すセリフは、仕事に悩めるすべての若人に届けたいメッセージだと思いました。

加えて、二人の先輩にあたる吉田と森下がストーリーのスパイスとして利いており、彼らが主役の番外編も収録されるなど充実の内容になっています。

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