JR東海は29日、台風で被災した名松線について、松坂駅 - 家城駅間は鉄道の運行を継続、運休中でバス代行区間の家城駅 - 伊勢奥津駅間(17.7km)は線路を復旧せず、このままバス輸送に切り替える方針を発表した。今後、関係自治体に提案していくとのこと。

名松線の被災状況(JR東海提供)

名松線は2009年10月8日の台風18号に被災し、全区間で運行を取りやめてバスによる代行運転を開始した。このうち被害が軽微な松阪駅 - 家城駅間が15日に運転を再開。しかし、家城駅 - 伊勢奥津駅間は数カ所で土砂流入や路盤喪失などの甚大な損傷となったため、この区間のみバス代行運転が続けられていた。

同社によると、この区間は元もと地形が険しく、曲線や勾配が多かった。運行速度が制限ながされる区間が多く、1時間あたりの20mmの雨量でも運休して安全を優先してきたという。「仮に復旧させたとしても、こうした状況は変わらず、お客様に不便をおかけすることになる」(同社)。なお、バス輸送に短観した場合も鉄道利用時の運賃体系は継続する方針。

被災現場の写真(JR東海提供)

名松線は1982年にも台風による土砂災害で全線不通となった。当時の国鉄は廃止を申請したものの、沿線の反対や代替道路が整備されていないため廃止が保留となったという経緯がある。1985年には特定地方交通線第2次廃止対象線区に選定されたが、やはり平行する道路が未整備だという理由で除外されたという。しかし現在は沿線の平行道路も整備されており、乗客数も激減しているとのこと。