会場に集まった学生たちの拍手に応え、手を振るベニチオ・デル・トロ(右)とスティーヴン・ソダーバーグ監督(左)

革命家チェ・ゲバラの生涯を描いた2本の映画『チェ 28歳の革命』『チェ 39歳 別れの手紙』。来年1月の公開に先立ち、来日したベニチオ・デル・トロとスティーヴン・ソダーバーグ監督が、18日、明治大学アカデミーホールでのマスコミ・学生合同来日会見に出席した。会見の途中、格闘家に転向した石井慧が飛び入りするサプライズも。

明治大学卒業生の大仁田厚も交えておこなわれた質疑応答では、女子大生から「いまはクールな学生が多いけど、この映画を見て日本の学生にどんなことを感じてもらいたいか」との質問も。「僕が言いたいのは、正しくないと思うことがあれば黙っているのではなく、意志をもって声を発する精神を持ってほしいということ」とデル・トロが話し、ソダーバーグ監督は、「行動を起こさなければ何の変革もないが、ただ何かに反対するだけでは十分ではない。体制に反対する素晴らしいエネルギーがあっても、では新しい体制では何が機能するのか? という代替案がないままでは、結局は体制に呑み込まれてしまうだけです」と述べた。

「ゲバラは真実を求める人」と評したデル・トロ。ゲバラを演じるにあたり、体重を25Kg落とすなど徹底した役作りをおこなった

『エリン・ブロコビッチ』や『オーシャンズ11』シリーズなどでおなじみのソダーバーグ監督

また、報道陣からの「ゲバラが生き返って映画を見たら、どう反応すると思うか?」と質問され、「この映画を見るよりも、もっとためになることを探してほしい(笑)」と監督がコメントし、学生たちの笑いを誘った。一方のデル・トロは、「難しい質問だけど……。彼が遺した本を読み、実際に彼を知る人々に話を聞くなど、映画に関わったすべての人が、史実に忠実になるよう努力しました。少なくともその努力は認めてもらえるのでは?」。

ゲストとして登場し、デル・トロと握手を交わした大仁田厚。「僕はゲバラのファンでTシャツも持ってますけど、主演の方(=デル・トロ)が本当に似てますね!」と絶賛

そんななか、大仁田が観客席を見て、「あの方、気合が入ってますねえ」と指さすと、そこにはゲバラの肖像画入りのTシャツを着た大男の姿が。「先日、柔道界で"プチ革命"を起こし、大学を追われ(笑)、ここにたどり着きました。申し遅れましたが明治大学4年、石井慧です」と挨拶した石井(※ちなみに彼は明大ではなく、国士舘大の4年生)は、「お2人は革命を起こしたことはありますか?」と質問するも、監督は「Not yet.(まだないね)」。これには会場も大爆笑。

学生の1人として観客席に座っていた石井。彼が立ち上がると、会場から大きなどよめきが

大仁田に呼ばれて登壇した石井は、デル・トロと監督を前にして、「すごい感動で、目頭を熱くしてます」。冗談なのか本気なのか微妙なコメントに苦笑いの2人だったが、「石井節」や格闘家への転向と、何かと話題の石井の人気に、デル・トロも思わず「僕も柔道家になろうかな……」と呟くほどだった。

『チェ 28歳の革命』は2009年1月10日、『チェ 39歳 別れの手紙』は1月31日より、ともに日劇PLEXほか全国ロードショー。

最後は4人揃ってのフォトセッション。映画界と格闘技界の"革命家"が夢の競演!