栄えあるマイナビ女子オープンの初代女王の就位式と第2期公開予選抽選会が18日、東京・竹橋のパレスホテル内ゴールデンルームで華やかに開催された。矢内理絵子初代女王の就位とともに、早くも次回第2期の予選組み合せが抽選により決定し、二代女王の座を賭けた熱い戦いが始まった。

決勝で甲斐智美女流二段を破り優勝した矢内理絵子初代女王

マイナビ女子オープンは、2007年に将棋界としては15年ぶり5つ目のタイトル戦として創設された女流戦。対局組み合せの公開抽選や、一斉公開予選対局、対局スポンサーの公募、インターネットによる対局の動画中継など、将棋界初のさまざまな試みを取り入れ話題を集めている。オープンの名の通り、アマチュア選手枠や女流育成会員枠が設けられているほか、段位に関係なく賞金や対局料が提供される。優勝者には「女王」の称号が与えられ、優勝賞金は女流棋戦では最高額の500万円が授与される。主催は、毎日コミュニケーションズ、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会の三者。

矢内理絵子初代女王と中川信行毎日コミュニケーションズ社長を中心に勢揃いしたマイナビ女子オープン参加者たち

初代女王を決定するマイナビ女子オープン決勝五番勝負第4局は去る5月14日(水)、東京・将棋会館で行われた。予選から勝ち上がった矢内理絵子女流名人(28)と甲斐智美女流二段(24)が激突。矢内女流名人が甲斐女流二段を91手で降し、決勝通算3勝1敗で優勝を決めた。これに先立つ決勝五番勝負第1局は4月3日、数多くの名勝負の舞台となった名門旅館「元湯 陣屋」で開催されている。なお陣屋での対局は、女流棋戦史上初とのことだ。

ふだんと打って変わってドレス姿で登場の矢内初代女王

今回のマイナビ女子オープンの全出場者がステージに勢揃いした中、いよいよ女王が登場する。矢内女王といえば、凛とした着物姿が人気の的だ。しかし、この日会場に現れた女王の姿に、場内から感嘆の声と溜息が起こった。桂由美デザインのパリ・オートクチュールコレクションの豪華なドレスを身にまとい、髪にはダイヤモンドの中でもたいへん稀少なForevermarkダイヤモンド総計10.17カラットを散りばめたティアラが輝く。ちなみに、このドレスはパリでのショー以外で着られるのはこれが初めて、ティアラは約2,000万円相当の品とのこと。女王の名にふさわしい出で立ちだ。

豪華なドレス姿で登場した矢内女王の姿に会場がどよめく

挑戦者たちに囲まれた女王。左隣りは決戦で敗れた甲斐智美女流二段

開会の挨拶に立った中川信行毎日コミュニケーションズ社長は、「女流棋士としての矢内女王の凛とした姿を世の中に広めることで、ファンを増やし、将棋人口を増やしていきたい」と抱負を述べ、「今後も女流棋士を全力で応援していく」と結んだ。つづいて立った日本将棋連盟の米長邦雄会長は、矢内女王の魅力を「将棋が強いこと、一生懸命将棋を指すこと、気品があること、和服が似合うこと」などとして、女流棋士やこれから棋士を目指す女性に対し、矢内女王を大いに見習えと訴えた。

女王の頭上で輝くティアラは、約2,000万円もする豪華な品

主催者である毎日コミュニケーションズの中川信行代表取締役社長(左)

50人の女流棋士が一堂に会したステージは華やかそのもの

女流棋士には矢内女王のような気品が必要と、米長邦雄日本将棋連盟会長

女流棋士会を代表して挨拶に立った谷川治恵会長

日本女子プロ将棋協会の中井広恵代表理事

矢内女王が暮らす行田市の工藤正司市長もお祝いに駆けつけた

日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会、女流棋士会から女王の就位状が授与された

矢内女王の師匠である関根茂九段も、挨拶に立った。「りえちゃん、ほんとうにおめでとう」と女王に深く頭を下げ、小学四年生から育ててきた自慢の愛弟子の栄えある式典に嬉しさを隠せない様子だ。稽古に通ってくる矢内女王に、好物のショートケーキを用意して待っていたというやさしい師匠。今回の記念に、自らが師匠から贈られた文机を矢内女王にプレゼントすることにしたと、目録を手渡した。

矢内女王を小学4年生から指導してきた師匠の関根茂九段は喜びを隠せない

師匠は、小学生だった女王の稽古の日はショートケーキを用意したという