JTBはこのほど、「夏休み(7月15日~8月31日)に、1泊以上の旅行に出かける人」の旅行動向の見通しをまとめた。同調査は、全国200地点の1,200人から回答を得た旅行動向アンケート、JTBグループの販売状況、航空会社の予約状況および業界動向から推計したもの。1969年に調査を開始して以来、今年で40回目となるという。推計によると、経済の先行きへの不安感や原油高騰に伴う燃油サーチャージの高騰などの影響で、国内旅行は4年ぶりに、海外旅行は2年連続で前年の旅行者数を下回ると見られる。

経済の先行きへの不安感は旅行動向に少なからぬ影響を及ぼしており、旅行会社の夏休み期間中のパッケージツアーの予約状況は軒並み前年を下回っているという。この傾向はアンケート結果によっても裏付けられており、「支出を増やしたい」人が前年より5.8ポイント減少したのに対し、「支出を減らしたい」人は8ポイント上昇しており、財布の紐が固くなっている状況が見られる。

また、経済への不安を高めている大きな要因とされる原油価格の高騰は、旅行先の選定といった直接的な部分でも消費者の動向を左右しているようだ。海外航空運賃に付加される燃油サーチャージは今年になってから急激に上昇し、全方面とも昨年の夏に比べて2倍強となっている。夏休みに多いファミリー旅行においてはその差が何万円という単位で旅行費用に響いてくることもあり、海外の旅行先をなるべく近い場所に変更したり国内旅行に変更したりするなどの動きが見られているとのことだ。

旅行者数に関する予測では、海外旅行が225万人(前年比マイナス7.0%)、国内旅行が7,350万人(前年比マイナス0.9%)としており、いずれも前年を下回る見込み。旅行者数が前年を下回るのは国内旅行では4年ぶり、海外旅行は2年連続となる。

旅行で使用する平均費用の予測は、海外旅行で24万円(前年比プラス8,000円)、国内旅行で3万5,800円(前年比マイナス400円)になる見込み。海外旅行においてはホテルの実勢価格上昇や米ドル圏以外での円安といった要因に加え、ヨーロッパ方面への高額旅行や米国方面への旅行が堅調なことなどから費用の上昇を見込んだ。一方国内においてはガソリン代や物価の高騰などの上昇要因があるものの、遠距離旅行が伸び悩んでいることから消費総額は減少すると予測している。

同社ではこれらの動向を踏まえ「物価上昇や燃油サーチャージの高騰がファミリー層に影響を与え、人数の減少や安近短傾向を引き起こしている反面、高額消費のこだわり層はこれらの影響を強くは受けていないようだ」と旅行の2極化が進んでいると分析している。

この夏注目度が高い旅行としては、国内では25周年イベント開催中の東京ディズニーリゾート、北海道など大自然の中で夏休みならではの体験を楽しむファミリー旅行、および世界遺産の石見銀山や四国霊場八十八箇所巡りといった中国・四国方面への旅行が挙げられるとのこと。また海外では、グアム・サイパンでの自然体験、航空機でヨーロッパに行ってから現地で船旅を楽しむ「フライ&クルーズ」、添乗員付きでのアメリカ西海岸周遊コースなどの旅行に人気が集まっているとしている。