冒険の幕開けは懐かしい"あの場所"

この何となく見覚えのあるハコの山は?

物語の時代設定は前作のきっかり19年後の1957年。現実の時間経過とまったく同じで、かなり潔いです。時の流れを受け継ぎ世界情勢も完全に変化しています。ナチスドイツは消え、世は米ソ冷戦時代。そう、今回のインディはソ連の工作員相手に秘宝争奪戦を繰り広げるのです。

インディは、この19年間トレジャーハントを続けながらも、アメリカ政府の元で諜報員として活動していたという事実が明かされます。製作総指揮のジョージ・ルーカスと監督のスティーヴン・スピルバーグが当初このシリーズを企画した際「自分たちなりの『007』シリーズを作りたい」と願っていたというエピソードを思い出し、思わず笑みがこぼれます。

冒頭から、いきなりソ連の工作員に捕えられているインディ。おお、外見はちゃんと19歳老いてます。白髪が増え、おなじみの帽子を取ると、頭頂部はやや薄いです。しかし、あの馴染みのファッションと、全体の雰囲気はまったく変わっていないので無問題です。

インディを捕らえているソ連工作員たちが潜入するのはアメリカのある極秘施設。そう、ここはシリーズ1作目の『レイダース 失われたアーク<<聖櫃>>』(1981年)のラストで、インディが入手した「契約の箱」が保管されたアメリカ政府の巨大倉庫なのです。もう冒頭から盛り上がり過ぎの展開で、目が離せません。

冷徹なソ連のスパイを演じるはケイト・ブランシェット。華奢ながらものすごい迫力でインディを追い詰めます

どうしてソ連の工作員は、この場所へインディを連行したのか? そんな事を考える暇もなく、即座にインディの脱出劇が始まり、これまでのシリーズ同様物語はジェットコースターのように展開していきます。これはスピリバーグ監督の得意技ですね。何も考えず(というか、そんな暇ないです)、流れに身を任せましょう。もちろん、全編に渡りインディが見せてくれる激しいアクションも完全に往年のまま。ハリソン・フォードの底知れぬパワーに脱帽します。それに加えて、最新のVFX技術の力もあり、シリーズ最高のとんでもない映像が楽しめます。

ガイコツを見つけたり

流砂にはまってみたり

今作のインディは「クリスタルスカル」という秘宝と、それにまつわる「王国」を巡りソ連と争いつつ冒険するのですが、これまでのシリーズでおなじみの怪しげなオカルト要素もタップリ。今回はオカルトに加えて、なんというかムー的要素も……。超古代文明やナスカの地上絵、おまけに●●●なんかも登場します。当然、これらにまつわる秘宝のスケールもシリーズ最大です。

壁に掘られた意味不明の絵や文字。よく見ると日本語も

また、重要な新キャラクターがこの作品には登場します。かつて冒険を共にした盟友マーカス(デンホルム・エリオット)や父親のヘンリー・ジョーンズは、この19年間ですでに死亡しているのですが、彼ら以上の強力な助っ人が現れ、インディをサポートしちゃいます。インディのかつての恋人で1作目にも登場したマリオン(カレン・アレン)の息子であるマット(シャイア・ラブーフ)がその人物です。巨大なバイクに跨り、革ジャンにリーゼントという、まんま1950年代の不良少年ビジュアルのマットが、インディの助手とも言えるほどの大活躍を見せてくれます。ただ、若い助手が出来たと言っても、インディは何一つマットに負けず譲らず元気なままなので、長期のシリーズ物後半にありがちな隠居感は皆無です。

新しく加わった助手のマット(シャイア・ラブーフ)と、インディの元恋人マリオン(カレン・アレン)と共に息もつかせぬカーチェイスを繰り広げる!

あらゆる意味で、19年間のブランクをまったく感じさせず、シリーズ最高のアクションと映像が楽しめる『インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国』。ストーリー紹介なんて野暮な事はあえてしませんが、とにかくお奨めの作品です。

インディの恋人が秘密を暴露!? マリオン役カレン・アレンインタビュー

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