――マーミットさんの流通は、自社のウェブページでの通販、イベント売り、ショップ・雑誌の限定品が中心ですね。

「会社を始めてしばらくは一般流通でやってましたが、流通業態の変化というのが大きいので、今は自分のところの通販が中心になっていますね」

――と、おっしゃいますと……。

「大手の量販店が日本に上陸してきて、小売店がダメージを受けたんです。小売店の数がかなり減ってしまった。近所の模型店でもなじみの店が次々と閉店してしまって、まさかと思うような大型専門店まで辞めてしまっている状態ですからね」

――なるほど。

「あと、ウチは高額なマニアック商品が多いので、一般の小売店で販売しようとしてもなかなか入りにくいんです。10軒回ったけど売ってないんですよ、という電話がよくかかってきたり。じゃ、通販でお願いします、という形になっていってますね」

――小売店さんでの販売には困難が伴うと……。

「問屋さんからの受注分で生産を終えて、問屋さんに流してしまっていれば、それっきりの数ですからお客さんが欲しいと言ってもないわけですね。欲しい人に行き渡らなくなるんです」

――そうなりますね。

「そういうことであれば、いっそのこと通販だけという形にしてしまったほうがお客さんの方も分かりやすいし、欲しい人の手に必ず渡ると。お客様には届くまで商品が見られないというデメリットもあるんですけれども、よりベターな方法ということで通販に主眼を置いてやっていますね」

――量販店での販売のほうは、いかがですか?

「量販店でも、オモチャのコーナーが縮小傾向にあるんですよ。量販店や大手玩具チェーンに相当入れている時期もあったんですが、そういうところでも絞られてきてしまっていて、なかなか入りにくくなってきている。マニアックな高額商品はリスクが大きいということなんですね」

――といっても、やはり現物を見たうえで購入したいというお客さんはいらっしゃるでしょうね。

「ですから、なるべくイベント会場には新製品は持っていって飾るようにはしています」

――そういう販売戦略もそうですが、商品のラインナップについてもご自身でお決めになっているんですよね。他社の商品開発担当の方が必ずおっしゃるのは、「社内稟議を通すのが大変」。でも、赤松さんの場合は社長だから、そのまま通るわけですよね。

リアルソフビ「メガロ」。マーミットの販路にて販売

「まあ、そうですね。でも社員にも出してもらってますよ。企画というほど大げさではなく、アイデアですよね。それは逆に、どんどん出してくれと。いいアイデアがあったら、教えてくれと。おじさん、新しいのは分からないんで(笑)。だけど、基本的には自分で考えて自分でやってますね」

――そういった大手にはない部分が、強みになったりすることもありますか?

「例えば、なかなかこういう色味が出せないんだけれども、これでいいかって言ったときにその場で見て、う~ん、まあ、いいんじゃないのっていうのができるので、非常に小回りが利いて早くできる。で、結局早くできるとコストダウンにもつながる。っていう部分はありますね」

――版権を通す部分も、ご自身でおやりになりますか?

「そうですね。以前は円谷プロさんとか東宝さんへ持っていって、原型できました、色を塗りました、顔ができましたって、いちいちやっていたんですけど、今はもう行かなくてもデジカメで撮って画像を送れば済むんで、非常に楽になりましたね。デジタル万歳という感じで、非常に判断も早くなりました」