――作ってらっしゃる商品は、マジンガーZなどのロボット、ゴジラ、ウルトラなどの怪獣、仮面ライダーをはじめとするヒーロー、宇宙戦艦ヤマト、人形……と、いろいろですが、素材はモチーフごとに選ぶんですか?

「メカものを作るのであれば、やっぱり金属を使いたいですね。ヒーロー、怪獣は軟らかさがないと雰囲気が出ないので、ソフトビニールを使います」

――モチーフによって、それぞれ、原型師が違うんでしょうか?

「原型を作る人は、美少女専門、ヒーロー専門、怪獣専門、ロボットはロボットと、それぞれの専門分野があります」

――そういった方は、全部で何人くらいいらっしゃいますか?

「ウチのほうでお願いしている原型師さんは、10名から15名ぐらいですね。社員ではないのですが、専属みたいな形の人が多いですね」

――すると、社内でやってらっしゃるのは……。

「まず、次は何をやるかという企画、それから商品開発の基本設計。例えばマグマライザーの車輪が回るとドリルが回転する、といった大よその案。それを反映した原型師への指示。原型が上がったところでチェック。さらに、告知・受注・生産・販売といったところですね」

重合金「マグマライザー」

――生産の拠点は、やはり中国ですか?

「大手量販店に入れてるときは中国生産でしたが、今はよほどの商品でない限り国内生産のほうが多いですね。特にソフトビニールは、ほとんどが国内生産です。マジンガーZ、アンドロメダ、マグマライザーといった金属製品は中国生産ですが、それ以外のほとんどの怪獣ソフビは今、国内で作ってます」

――金属製のものは、中国生産に頼らなくてはならない……。

「非常に工程数がかかるのと、あと金型の費用がかさむので、どうしても海外生産にならざるを得ないんです。一方、ソフビの場合は送料をかけるのであれば、その分を人件費に回して国内でやっても、あまり変わらないという部分がありますね」

――むしろ日本に移したということですか?

「そうですね。やっぱり金型の管理が中国はずさんなので。あと、中国は内情がすごく不安定になってきています。自由化がどんどん進んでますから」

――以前は、大丈夫だったんですか?

「前は中国の工場はすべて国営工場だったから、なくなったり、潰れたりがなかったんです。ずっとそこで決まった職人さん、工員さんがいて安心感があったんですね」

――すると、現在では……。

「今はもうどんどん新しくできて、どんどん潰れたりしているので。そうなると、そこに自分たちの金型が置いてあると、潰れてどこかに移ったりとか、もうぐちゃぐちゃになったり、ヘタをすれば無くなってしまう。行方不明になる危険が非常に高いです」

――なるほど。

「特にソフトビニールの金型は軽いので、その分、ぐちゃぐちゃになってしまうと何がなんだか分からない。そういうので、ずいぶん無くされたりとかいうのがあったんで、やっぱりそういう意味では危険性が高いと」

――以前、マルサンさんのソフビの成型工場を取材させていただいたんですが、それを見ても分かりますが、フライパンっていくらでも手で持って運べますもんね。

「国内でしたら、会社を始めたころの10年以上前の金型でもきちんと残ってるんですが、中国だとヘタすると2年前の金型がもう錆びて使えない。そういう状態になってますから。だから、そういった意味での管理の安心感ですね」