――やはりなにより、自分が欲しいものを作りたい……。
「自分が欲しいから、自分のために作ってる部分が多分半分くらいはあるかもしれませんね」
――アニメや特撮作品に通じてらして、ヒットするポイントを見抜く目利きの部分が、ラインナップに反映されているわけですか?
「それはかなり入ってると思いますね。ただ、それだけだとつまんないんで、多分こっちのほうが受けるんだろうなと思いながらも、いや、俺はこっちが好きだからなっていうような、いわゆる天使と悪魔のささやきみたいなのはしょっちゅうありますね」
――売れるものって自ずと決まってきますよね。
「どっちかというと過去のものの商品をやってますから、人気のあるものっていうのは歴史的事実なんですよ。『宇宙戦艦ヤマト』だったら、アンドロメダが人気があったと。誰が考えたって」
――はい。
「そうなると自分の好き嫌いじゃなくて、それは過去の歴史ですから、目利きというより知識ですね。そういう部分で楽なところはありますね。自分がストライクゾーンの中にいましたから」
――ラインナップを拝見して、そう思っておりました(笑)。
「知らない人が見たらウルトラ怪獣だって、どれが人気があるのか分からないですよね。好きな人が見てれば、やっぱりバルタン星人やゼットンは人気、残念ながらザンボラーとかはう~ん、とか。そういうのが自分で分かるわけですよ」
――その場合、どういった客層を念頭に置いてらっしゃるのでしょう?
「自分同様に好きな人向けというか、ある意味、仲間というか。オレもアンドロメダ大好きだし、っていう。だからアンドロメダ大好きな人は、うれしいだろうなっていう感じで作ってます。そういう人には、買ってもらえるなと」
――ただし、それを続けていくためには、ある程度売れなくてはいけない……。
「商売として考える場合は、あとはそういう人が何人いるか、っていう頭数の問題になりますね。それ以外は、なんで40年も経って今ごろマグマライザーなのか。なぜなら、ちゃんとしたカッコイイマグマライザーが残念ながらなかったと。ないから自分で作るしかない……というところで、幸いそれができるところにいますから」
――「大合金マジンガーZ」も、そういったお考えからですか?
「これなんか特にそうなんですよ。子ども的な言い方をすると、番組の中ではロボットは全部鉄なんですよ。ところが、オモチャはプラスチックとかいっぱい使ってるわけですね」
――そうですね。
「合金なんかを使ってるオモチャやなんかにしたって、部分的には使っていても、ホントのマジンガー、鉄じゃなくて超合金ですけどね、ま、専門的な話はべつとして(笑)、平たく言うと鉄でできている。金属を鉄と言うと、そこが不満だったわけですよね」
――なるほど。
「なんでプラスチックなんだと。本物は……いや本物って言ったっていないんですけどね(笑)、本物はプラスチックじゃないだろと。鉄だろと。だからこれはもう全部、金属で作りたいと。一度やりたかった、というので」
――他社製品には、ないものですよね。
「このへんになんか赤いボタンがあって手が飛んだり(笑)。マジンガーZ、こんなところに赤いボタンなんかないよ。そういうところも含めて、自分の子どものころの夢っていうか野望というか、そういったものを一度やりたかった……というようなことですね」
――大手では、なかなかできないですよね。
「大手企業だったら、(頭部の突起を指して)こんなトゲ、これ金属ですからね、これ殺人兵器ですよね。そういう人殺しもできるような恐ろしい超合金。だから、範疇で言うと、これ玩具じゃないです。玩具という商品カテゴリには入らないんですよ」
――(笑)。
「STなんてとんでもない話ですからね。PL法もSTもことごとく粉砕という(笑)。これ、棚に置いといて倒れるだけでケガ人が出ますから、基本的に箱から出さないでくださいという(笑)」