"ネットいじめ"の温床になっているともいわれる「学校裏サイト」を巡る訴訟がついに起きた。携帯向けの裏サイトで高校入学後まもない時に中傷された女性が、「退学を余儀なくされた」とし、元同級生2人とその両親を相手取って、慰謝料を請求する民事訴訟を起こしたのだ。学校裏サイトは急速に広がっており、今後同じような訴訟が起こる可能性も高い。

女性は水戸市に住んでおり、今年2月に水戸地裁に提訴。訴状によると、女性は2005年4月に茨城県内の高校に進学したが、入学後すぐ、同校の大半の生徒が閲覧していたという学校裏サイトに、元同級生の2人から約1週間にわたり、「中傷していじめたり脅迫したりする内容の書き込みをされた」という。

元同級生の一人は、「○○調子に乗りすぎ」「自慢話ばっかりしているけど全然自慢できない事ばかり。」「消えろよ。虫けら」、もう一人は、「○○めざわりだしさ。やめるの楽しみにしてるよ。」「いい子ぶってると殺すぞ」などと、実名を挙げて女性を中傷、脅迫する内容の文章を書き込んだ。

裏サイトでの中傷の結果、入学して間もないにもかかわらず、女性には誰も近寄らなくなり、昼食時も一人だけ。「本当に殺されるのではないか」とおびえた女性は、警察にも相談し、元同級生に直談判もしたが、次第に学校に行かなくなり、2005年6月に退学を余儀なくされたという。

女性は元同級生とその両親を相手取り、今年2月に200万円の慰謝料を求める民事訴訟を提訴。提訴の前、元同級生の一人からは和解の提案もあったが断ったと言う。

文部科学省が先日発表した学校裏サイトに関する調査では、3万8,000件もの同サイトが確認され、サンプルとして抽出したサイトの半数以上に中傷する書き込みがあったという。また、そうした中傷を見つけた教諭が同サイトで中傷されるなど被害が広がっており、今後同様の訴訟が起こる可能性も高い。