Booksベストセラー週間総合ランキング3月21日~3月27日では、『サイモンの災難 クラッシュ・ブレイズ』と『ぼく、オタリーマン。3』が新登場でトップテン入りした。

3月21日~3月27日のBooksベストセラー週間総合ランキング(日販調べ)

順位 書籍名(出版社) 著者
1位 ダーリンは外国人 with BABY(メディアファクトリー) 小栗左多里/トニー・ラズロ
2位 ホームレス中学生(ワニブックス) 田村裕
3位 夢をかなえるゾウ(飛鳥新社) 水野敬也
4位 サイモンの災難 クラッシュ・ブレイズ(中央公論新社) 茅田砂胡
5位 おひとりさまの老後(法研) 上野千鶴子
6位 B型 自分の説明書(文芸社) Jamais Jamais
7位 流星の絆(講談社) 東野圭吾
8位 ぼく、オタリーマン。3 よしたに
9位 女性の品格(PHP研究所) 坂東眞理子
10位 犬と私の10の約束(文藝春秋) 川口 晴

新登場で4位にランク入りした『サイモンの災難 クラッシュ・ブレイズ』(茅田砂胡)は、宇宙を舞台にした壮大なファンタジー小説シリーズの新刊。新進映画監督のサイモンは、無名の新人女優を主演に向かえ、初の大仕事に取り掛かろうとする。"頭脳明晰な犯罪者"の役には、ぴったりと思われる冷たく整った美貌の少年を自らスカウトした。だが映画撮影が始まると何者かによる妨害が多発する。なぜ監督は狙われているのか―次第に明らかになる他の事件と監督との関わりが読者を引き付ける。最後には一種のカタルシスを感じさせてくれる娯楽作。

新登場で8位にランクインした『ぼく、オタリーマン。3』(よしたに)は65万部を突破した「ぼく、オタリーマン。」シリーズの3作目。同シリーズはネット発の私小説的漫画で、ステムエンジニア兼イラストレーターの作者が遭遇するちょっぴり暗く切ない日々を描いている。3作目となる今作では内容の9割を書き下ろしたという力の入れよう。人付き合いが苦手な作者が会社やプライベートでどう生き延びているのかがユーモラスに、そしてほんのり自虐的に描かれている。編集者が登場しての出版に当たっての裏話もとても興味深くおもしろい。

今週の注目

セックスがこわい(筑摩書房/香山リカ/1,300円(税別)

一昔前、精神科の診療を受けるという行為は多くの人にとってとてつもなくハードルの高いものであった。だが、有名人が自らうつであることを告白するなどした影響もあり、今では誰もが心の病にかかることがあるとの認識が広まっている。ストレスの多い現代社会にあって、精神科や心療内科を訪れることに抵抗を感じない人も増えているようだ。

本著の著者は、メディアにおいて活発に活動する精神科医。様々な理由で精神科を訪れる患者たちを診療しているうちに、患者自身も意識していない問題の根底に「性」があるケースが少なくないことに気付く。「娘が不幸になるから」と結婚に反対する母親の真の問題は、彼女が夫にひとりの女性として見てもらえていないことだった―などの種々の実例は、精神科や精神科医が「性」についてあまり向き合って来なかったことへの著者自身の自戒の念を込めて書かれている。

本著はフロイト心理学のように「すべての問題の根源が性にある」とするものではなく、問題の原因のひとつの可能性として性を考える。特に既婚者にとっては配偶者への普段の接し方が適切であったのかどうか今一度振り返るための鏡となってくれそうな一冊。