――わたしも職業柄、いわゆる玩具メーカーの社員の方で自社の商品の企画・開発を行っておられる方には幾人もお会いするんですが、フリーでやってらっしゃる方は初めてですね。

「"珍しい"とよく言われます(笑)。でも、フリーの方がやりやすいんですよね」

――と、おっしゃいますと?

「会社に所属してしまうと、その会社の系列の人しか動員できなかったりするじゃないですか。選択の幅が著しく限られてしまうんですよ」

――確かにそうですね。

「大手だったら、企画・開発から最終段階まで、全部自社でおやりになるわけですけど、僕の場合はそういうメーカーがやらないようなニッチな市場をターゲットにしますね」

――具体的には、どのようなものですか?

マクロスバルキリーコレクション。2007年2月発売
(C)1982ビッグウエスト

「最近の商品で『マクロス・バルキリー・コレクション』というのを第1弾、第2弾と出させていただいたんですが、これにしても映像作品が作られる端境期を狙って、よそがやらないんだったら、ということでやらせていただいたんです」

――安斎さんがプロデュースなさる作品の安斎さんらしさというのは、どこにあるんでしょう?

「既存の概念にとらわれない、『こんなの作っちゃったの?!』というところでしょうね。そういう、ありえないものを世に出すことが自分としては一番の快感だし、言ってしまえば、アーティストっぽいのかなと思います」

――ありえないというのは、大手の玩具メーカーが自社の人材、技術、ラインを使って従来の路線の延長線上で商品化するものとは、かけ離れたものができてくるということなんですね。

「そうですね。例えば、商品企画を10件提案するとして、そのうち7件は当たるだろうと。残りの3つはハズしてもまあしょうがないかと。その3つのうちの1つに、大手だったら絶対手を出さないようなものを入れても、そこはお付き合いということでやってもいいんじゃないか、という企画だってある得るわけです」

――なるほど。

「そういうふうにして、おもしろいものを出していくというのが、快感なんですよ(笑)。いや、わかりませんよ。そういうものが意外に当たるかもしれませんしね(笑)」