企画開発から設計、試作までを見せてもらった

ガンプラの進化とそれを支える技術は本当にすごいものがある。次は、それをどのように実現しているのか、ホビーセンター各部署を見学させてもらった。まずは3階の企画開発から設計、試作までを見せてもらった。

企画開発セクションでは、お客様からの声などを参考に、新商品を考えます。プロポーションや変形はどうするか、関節はどのくらい動かせるようにするか、色や質感はどのくらい再現するか、幅広く検討します。

事務所に通じるドアの前で敬礼! ガンダムの世界観を表現したこんな仕掛けがあちこちに。マナちゃんは、ホビーセンターの制服を着せてもらって大喜び。肩には階級章まで付いているという、こだわりよう。欲しいという声は多いのだが、残念ながら販売はしていないとのこと。センター長になると赤いジャンパーが着れるぞ!

商品の概要が固まれば、次は設計部門で形にしていきます。コンピュータの3D CADシステムを使って設計します。CADでパーツを設計し、組み立てて、関節の動きや変形をシミュレーションできるんです。

設計が終われば、試作品を作ります。当センターには、試作造形システムEDENが導入されています。今でいう3Dプリンターに近いものですが、光で樹脂を固めます。ひとつの試作品を作るのに、だいたい1日でできてしまうんです。昔は木型を彫っていたので、数週間かかってたんですよ。この試作品を使って、完成品がどうなるかを考えて、さらに設計を磨いていくのです。

お昼ごはんはどこで食べるんですか?

ホビーセンター全体では120名が働いているとのこと。そのうち90名が、開発・設計を担当している。広くて清潔なオフィスで、従業員の皆さんが目をキラキラ輝かせながら仕事をしていた。

――働いている人は、静岡の人が多いんですか?

開発部門には東京の人もいますが、他の部門はほとんどが静岡出身です。工業系、技術系の学校から就職する人もいます。

――通勤はどうされてるんですか?

車で通う人が多いですね。ホビーセンターは駅のすぐ前ですけど、自宅が駅から遠い人も多いので。

――お昼ごはんはどこで食べるんですか?

3階の奥に食堂があります。よく「宇宙食を食べてるんですよね?」って聞かれるんですけど…、食べてるのは普通のお弁当です。毎朝、ほしい人は社内システムでチェックするんですよ。すると、お昼に届けてくれるようになっています。

金型と生産を担っている1階に移動

素朴な疑問をぶつけながら、金型と生産を担っている1階に移動。天井が高く、大きな機械がたくさん並んでいて、見た目にはいかにも工場という雰囲気なのだが、空調が効いていて涼しいし、いやなにおいもしない。そういう意味では工場という感じがあまりしない、製造業の最先端を感じさせる空間だ。

プラモデルは、金型の中に樹脂を流し込むことで作ります。まず、マスターと呼ばれる金属パーツを作ります。機械で削って形を作るんですが、最後は手作業で細かい部分まで仕上げていきます。マスターを反転して金型を作るんですが、精度や品質を高めるため、最後まで人の手を掛ける必要があるんです。

これがMG Ver.3.0の金型だ! 金型はひとつしか作らないとても大切なものなので、職人さんがしっかりメンテナンスするのだ。鉄製で、重さは約200キロ。出し入れにはクレーンを使用する

金型職人の皆さんと記念撮影。頑固一徹に見えるが、ノリのいい職人さんたち。マナちゃん「金型を見るのは初めてなんですけど、中がこんなに細かく削ってあるなんてすごいですね」

隣の大きなスペースが、生産部門になります。先ほどお話した多色成形機が可動しています。この機械がここにしかないので、ガンプラはすべてメイドインジャパン、メイドイン静岡なんですよ。

工場は24時間稼動しているんですが、常に3~4人と少人数でやっています。人がやるのは、金型の交換、機械のチェック、メンテナンスくらいで、ほとんどの工程が自動化されています。材料や完成品は、自動搬送機がバーコードを見て、自動で運んでくれるんです。……続きを読む

シャア専用ザクをイメージした自動搬送機。人がいると止まる安全設計だが、側面に「諸君!危険なので通路をさえぎらないで頂きたい!」とのメッセージが! 他に、量産型ザクをイメージしたデザインの搬送機も走っている

マナちゃん「すごく清潔なんで、びっくりしました。ガンプラが好きになっちゃいそう」