いつかは、ぼくも匠のひとりになりたいですね

――職場はどんな雰囲気ですか?

ちょっと体育会系です(笑)。でも、上司に気軽に相談したりできる、風通しのよい職場ですよ。静岡の個性なのか、東京より穏やかで、おっとりした感じもあります。それでも、モノに対するこだわりはすごいですよ。江戸時代から職人さんが大勢いた土地柄ですし、昔からプラモデルメーカーが集まっているから、モノに対するコダワリはすごいです。

それと、若手に任せる風土があります。例えば「若いヤツは武器の設計で下積みをやるんだ!」というのがなくて、やる気があれば「次のMGやってみるか?」って任せてもらえるんですよ。

――お仕事をしていて、一番うれしいことは?

すっかり打ち解けた高橋さんとマナちゃん。高橋さんの説明を聞きながら、「ガンダムに詳しい男の人ってステキですね」

設計をしていると、試行錯誤ばかりで頭を抱えて悩むこともあるんですけど、半年くらい経って、自分が設計したものが商品になって、お店に並ぶわけです。それを、お客様が手に取って買ってくれる姿を見ると、本当にうれしいです。大変なこともありますけど、それを乗り越えて、商品になって、ブログなんかで「ガンプラ、かっこいい!」とか書いてくれてるのを見ると、ひと仕事が終わった気がします。お客様に届くまでのイメージを持ちながらがんばってますよ。

――一番好きなガンダムシリーズはなんですか?

世代的には『新機動戦記ガンダムW』なんですが、やっぱり『機動戦士ガンダム』は特別ですね。『W』でガンダムにハマってから、最初のガンダムを見てみたんですよ。当時すでに20年以上も経っていたんですが、どうしてこんなに人気があるんだろうって。高校生の頃でしたね、DVDで見たんです。ひきつけられるものがありました。リアリティというんでしょうか、こんなに前のアニメなのに、ここまでリアリティを追究してるんだと、驚きました。

――好きなモビルスーツを教えてください。

ガンキャノンです。曲線というか、フォルムというか、丸みが好きなんですね。なぜこんなデザインを考え付いたんだろって、不思議な気持ちになります。

――好きな登場人物はだれですか?

やっぱりアムロに共感しましたね。それ以外では、カイ・シデンです。等身大の少年の葛藤にドラマ性を感じました。

――最後に、どんな設計マンになりたいか、ひと言お願いします。

入社1年目は、「CADを使いこなせれば、設計もできるようになるんだろう」って思ってたんですが、違ったんですね。CADは、あくまでツールなんですよ。完成品のイメージをどのようにパーツに落とし込むか、それは頭の中で考えることなんです。CADで描くものは、単なるアウトプットに過ぎないんです。

「このパーツなら問題なく膝が曲がるだろう」と思ったのに、曲がらないなんてこともあるんです。実際、「よし、いける!」と思って金型部門に渡した設計が、いざ出来上がってみると、曲がらないという失敗もありました…。

先輩たちから吸収して、今よりもレベルの高い技術を身に付けたいと思います。いつかは、ぼくも匠のひとりになりたいですね。

広々としたエントランスでは、歴代ガンプラの展示を年代別に楽しむことができる。ここだけでも一日過ごせるくらいおもしろい。すっかりガンプラが好きになったマナちゃん、「次はプライベートで連れてきてくれる人いないかな?」(c)創通・サンライズ

読者の皆さんに、バンダイホビーセンターのすばらしさは伝わっただろうか。文字数の都合で、残念ながら割愛させていただいた部分もたくさんある。ぜひ、高倍率の抽選を勝ち抜いて、見学に参加していただければと思う。

見てきたように、ガンダムの世界観を再現した遊び心がたまらないし、工場としての取り組みも最先端のものだ。それに加えて、モノづくりの技術を受け継いでいこうという強い意志に感銘を受けた。マイスター制度といって、一芸に秀でた職人をマイスターと呼び、若手に技術を継承していく、そんな仕組みにも取り組んでいるとのこと。

まさに一度は訪れたい、ガンプラの聖地と呼ぶにふさわしい場所なのだ。

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