8月31日から9月1日にかけて『24時間テレビ47』(日本テレビ)が放送された。台風10号が日本列島を縦断し、放送週には各地で線状降水帯が発生。交通機関の運休やイベントの中止も少なくなかった中、大きなアクシデントなく放送を終え、視聴率は個人7.5%・世帯12.5%を記録した(ビデオリサーチ調べ・関東地区)。

昨年から個人が0.9ポイント、世帯が1.2ポイント上がったが、これは内容が良かったからなのか、悪天候で在宅率が高かったからなのか、苦しい状況で注目度が上がったからなのか。視聴率獲得を目指すビジネスとしての検証はこれからされていくだろう。

あらためて、全体の構成や各コーナーの内容、さらに人々の反応はどうだったのか。約26時間半にわたる放送とネット上の反応から見えた成果と課題をテレビ解説者の木村隆志が掘り下げていく。

  • 『24時間テレビ』

    『24時間テレビ』

やす子とオリンピアン頼みの序盤

まず31日の夜は外出を控えた人が多かったのか、番組開始直後からネット上のコメントが活発だった。

オープニングからチャリティーマラソンランナーのやす子にスポットを当てるとともに、メイン会場の両国国技館にはオリンピアンたちが登場。昨年11月に発覚した募金着服問題にはふれず、今年のテーマが「愛は地球を救うのか?」になった経緯も説明されなかったことで、「着服はスルー」「謝罪は?」などと批判の声が目立った。

番組はすぐに、やす子がかつて世話になった児童養護施設を訪れる映像へ。さらに、相葉雅紀とBTS・JINの保護犬トリミング企画を挟んで、チャリティーマラソンが始まった。序盤は、やす子、相葉、JINという人気者を前面に押し出したことで一定の視聴率を稼げる一方、アンチの怒りに火をつけたのかもしれない。

次に、金メダリストを動員した「ダーツの旅的 誰かに救われたことは?」、MISIAの日テレ系パリ五輪中継の応援ソング歌唱とパリ五輪絡みのコーナーが続いたあと、スペシャルドラマ『欽ちゃんのスミちゃん~萩本欽一を愛した女性~』を放送。終了後は再び「ダーツの旅」を90分にわたって放送したあと、『上田と女とオリンピアンが吠える ア~ンドやす子を応援する夜』というパリ五輪絡みの内容に戻った。

未明からは被災地の能登を絡めた企画が続き、日曜の日中は障害者を絡めた企画を増やし、いかにも『24時間テレビ』らしい構成に。その他では、岩田剛典の生アートやヒロミのリフォームなどもあったが、クライマックスのマラソンゴールまで、ネット上には「いつも通り」「変わっていない」というニュアンスのコメントが目立った。

今回は総合プロデューサーの吉無田剛が「今、チャリティー番組、24時間テレビの果たすべき役割は? 自らの活動、番組の在り方を問い直す、そんな新しい24時間テレビ“元年”にします」などとコメントしていたが、視聴者には“新しさ”は伝わらなかったのかもしれない。