衝撃の活動休止発表から2週間あまり。ついに松本人志が不在のバラエティ放送が始まっていく。
当面は「松本不在で番組続行」「空席か代理を立てる」という形が採られているが、急な発表だっただけに各局の判断が難しく、あくまで暫定的なものだろう。
今後バラエティの放送と芸人たちの起用はどう変わり、何が求められていくのか。テレビ解説者の木村隆志が掘り下げていく。
「頭を切り替えた」各局の制作サイド
活動休止が発表された8日から、各局のテレビマンを中心にオフレコでの聞き込みを続けているが、その返事は徐々に「本当にどうなるのか分からない」から、「いないものとしてどう続けていくのかを考えている」に変わり始めている。
「短くても2~3年、長ければ10年も」と言われる裁判の長期化は避けられず、その内容や松本と『週刊文春』の姿勢を見る限り和解は考えづらい。だからこそ各局の制作サイドは、「頭を切り替えなければいけない」という心境に変わったのではないか。
難しいのは、松本が貢献度の高い大物である上に、性加害を否定している(名誉毀損の被害者という可能性がある)ため、制作サイドはその意向を尊重した形を取らざるを得ないこと。単に「このところ数字が良くなかった」「不在で数字が下がった」などの理由で早々に打ち切ることは難しい。代役の有無なども含め、松本の意向を確認した上で進めなければいけないところに制作サイドの苦しさが感じられる。
もちろん民放の番組である以上、視聴率や配信再生数が取れなければ続行は難しく、さらに続報や裁判の内容によって世間の不満が高まれば、放送休止を超えて打ち切りもあり得るだろう。いずれにしても、春の改編は間近に迫り時間が足りないだけに、少なくとも秋の改編までは何とか数字を落とさずに乗り切りたいのではないか。
実際のところ、松本のレギュラー番組を見ていくと、『クレイジージャーニー』(TBS)は設楽統と小池栄子、『探偵!ナイトスクープ』(ABCテレビ)は探偵たち、『人志松本の酒のツマミになる話』(フジテレビ)は千鳥らサブMC、『まつもtoなかい』(フジ)は中居正広。ダウンタウンの冠番組である『水曜日のダウンタウン』(TBS)、『ダウンタウンDX』(読売テレビ)、『ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!』(日テレ)にも浜田雅功がいるため、「代役を立てなければ放送できない」という番組は見当たらない。