クイズ・ゲーム以外では、やはり最も多かったのがレギュラー番組の長時間版。
前述した『Golden SixTONES!!』『バナナサンド』『それSnow Manにやらせて下さい』に加えて、『月曜から夜ふかし』『笑ってコラえて!』『ニノなのに』『ニンゲン観察モニタリング』『マツコの知らない世界』『サンドウィッチマン&芦田愛菜の博士ちゃん』『夫が寝たあとに』『所さんのそこんトコロ!』『家、ついて行ってイイですか?』『出川哲朗の充電させてもらえませんか?』が放送された。つまり、これらの番組が民放各局における現時点でのイチオシバラエティということになる。
一方、めっきり減った純粋な特番の中で特筆すべきはネタ番組。『ドリーム東西ネタ合戦』『笑いの総合格闘技! 千原ジュニアの座王新春SP』『爆笑レッドカーペット2026新春』の3つが元日・2日に放送された。“初笑い”というテレビの伝統を守るとともに、お笑いファンをかろうじて地上波に留める貴重な特番と言っていいだろう。
また、ドラマと映画に目を向けると、『金曜ロードショー「千と千尋の神隠し」』『相棒season24元日スペシャル』『119エマージェンシーコール2026』のこちらも3つ。かつてスペシャルドラマは“正月の華”と言われ量産されたが、令和では「在宅率が高く視聴率獲得が期待できる正月三が日の放送」という点で十分とは言えないコンテンツとなっている。
その他ではアイドルの存在感が増していることは、もはや疑う余地のない現実。元日・2日の『お正月Golden SixTONES!!』『それSnow Manにやらせて下さい 新春フレンドパークSP』のほか、23時台でも『timeleszファミリア』(日テレ系)、『FRUIT ZIPPERのはちゃめちゃファクトリー』(テレ朝系)などが放送された。
冠番組ではなくMC起用やゲスト出演も含めて、「ファンの推し活が盛んなアイドルを起用することで、視聴者層を多少限定してでもリアルタイム視聴率を確保したい」という現実的な選択がうかがえる。
WBCが開催される3月が正念場
では26年、民放各局にはどんな方向性のどんな番組が求められていくのか。
25年を振り返ると、民放各局はさらに家族視聴を前提とした番組制作にシフトした感があった。前述した正月三が日のクイズ・ゲーム特番はその延長線上で選ばれたと言っていいだろう。
その家族視聴狙いの最たるところが「昭和100年」を掲げた番組。高齢層を手堅く押さえつつ、令和とのギャップで笑いにつなげて10・20代を引きつけようとする番組が局をまたいで制作された。しかし、その起点となった『ダウンタウンvsZ世代 ヤバイ昭和 あり?なし?』(日テレ系)の初回放送は2022年8月。すでに約3年4か月にわたって同系の企画が民放各局で放送されてきたため、「飽きられた」という感は否めない。
そんな横並び意識こそ「テレビはどれも同じでつまらない」と言われる最大の理由だけに、26年はその家族視聴や昭和100年にとらわれすぎない制作姿勢が求められるのではないか。
『M-1グランプリ』しかり、『千鳥の鬼レンチャン』(フジ系)しかり、音楽フェス特番しかり、スポーツの生中継しかり。現在の視聴者が「本気」「本物」を求めていることは間違いないだけに、それを制作サイドはどのようにプロデュースしていくのか。使いやすい芸能人ばかりではなく、一般人の「本気」「本物」も活用していくことが予算的な難しさの対策にもつながるはずであり、「やるかやらないか」の問題だろう。
また、冒頭にあげた「名探偵津田」のようなコンテンツをいかに生み出していくのか。そもそも同企画はドッキリ、ムチャ振り、謎解きを組み合わせたものであり、コンセプトとして目新しいところはない。
もちろんダイアン・津田篤宏のキャラクターあっての企画だが、業界内には優秀な芸人もスタッフも多いだけに、このような企画にトライできる局内の制作環境が成功の最大要因に見える。特に苦戦している番組は「数字が獲れていないのだから、思い切ったことをやろう」というマインドへの変換が鍵を握っているのではないか。
26年は3月開催予定のWBCがNetflixで独占配信されることによって、これまで動画配信サービスをあまり見なかった多くの人々が初めて豊富なコンテンツにふれる。スマートテレビの普及も右肩上がりで進む中、テレビで動画配信サービスを見る機会が増えるなど、地上波にとっては正念場と言っていいかもしれない。
今春は「時間帯トップ」「裏番組に負けない」という意識で番組制作をしていたら多くの視聴者を失いかねないだけに、もはや民放各局で視聴率を奪い合っている場合ではないだろう。リアルタイム視聴から動画配信視聴メインに切り替えた人を呼び戻すことは、それこそWBCのようなビッグイベント以外は難しいだけに、「テレビでしか見られない番組」を1つでも増やす奮闘に期待したい。