では逆にネット上の反響が大きかった特番は何なのか。

まず正月特番のトップをゆく『芸能人格付けチェック 秋の3時間SP』の人気は当然であり、これは“別格扱い”でいいだろう。できればこういう改編期特番を増やしたいところだが、「なかなか見つからない」「予算的に厳しい」などの難しさがある。

次に反響が大きかったのは、『FNS鬼レンチャン歌謡祭』。日曜ゴールデンで人気の『千鳥の鬼レンチャン』と『FNS歌謡祭』のコラボだが、単なる“笑いと歌を融合させたエンタメショー”ではなく、「『千鳥の鬼レンチャン』の視聴者に向けたファンサービス」という意味合いも大きかった。

実際、「サビだけカラオケ」の出演者たちが集結し、『FNS歌謡祭』スタッフの演出で歌う特別なステージであり、しかも年一度の祭典。出演者にとってだけでなく、日ごろ彼らを見守っている視聴者にとってもボーナスステージのような特番だった。

また、アーカイブを生かした番組ではあるものの、ネット上の反響が大きかったのが、『金ロー40周年特別番組』。「全1140本の映画から視聴者が選んだ30の名シーンを公開」というコンセプトの特番であり、シーンごとにSNSにはポジティブな声があがっていた。

注目すべきは同時間帯の裏番組で『名作ドラマからクイズ! THEキリヌキ』が放送されていたこと。言わば“映画VSドラマのアーカイブ対決”だったのだが、『金ロー』は視聴者参加型の企画で、『THEキリヌキ』は番宣ムードの企画という違いがあり、さらにTBSとフジがドラマのアーカイブを使った番組を繰り返しているためか反響は限定的だった。

それと、もう1つ純粋な改編期特番ではないが、スペシャルコンテンツとして好意的な声で盛り上がっていたのが、朝ドラ『あんぱん』の特別編。本編終了からわずか3日後に、各25分×4夜連続=計100分の“スピンオフ+座談会”が放送された。

これも『FNS鬼レンチャン歌謡祭』や『金ロー40周年特別番組』と同様にファンサービス要素の濃い番組と言っていいだろう。これまで見てくれた視聴者へのお礼であり、楽しんでもらうお祭りでもあり、だからこそ節目の改編期に放送する意義を感じさせられる。

「改編期を知らない」という現実

かつて改編期特番は、その時期しか見られない文字通り特別感があり、終了した番組へのロスを吹き飛ばすような存在だった。しかし、主に00年代から10年代、20年代にかけてレギュラー番組の拡大版や番宣ありきの特番が増え、特別感が薄れて現在に至っている。

視聴率低迷や制作費削減などの影響から、かつてのようにいかないのは仕方がないとしても、最大の問題は自局の都合を優先させる姿勢が視聴者にバレていること。しかもそんな姿勢が各局ほぼ横並びなところが、視聴者離れの一因となっている。

たとえば、既存番組で年1度のファン感謝祭を放送する。あるいは、終了する番組は直後にカーテンコールのような特番を放送するなどのスタンスなら、改編期に制作費を抑えながらファンサービスができるのではないか。

主に平成のころから「熱心な視聴者を楽しませるような特番が少ない」「この終わり方では見てくれていた視聴者が次の番組を見ないのではないか」などと言われていたが、令和の今もそんな顧客のフォロー不足が続いているように見えてならない。

もちろん事情はあるのだろうが、すでに世間の人々から“改編期”や“改編期特番”という言葉が忘れられつつある。以前はテレビの強みであり、楽しみにしている視聴者も多かったが、もはや業界内や広告界隈の言葉になってしまったのかもしれない。

ネットコンテンツの脅威は増す一方であり、財政的に厳しい今こそ、「いかに制作費を抑えながら改編期を盛り上げていくのか」が問われている。業界を問わず「ユーザーファースト」が当然のこととして求められる今、テレビはせめて改編期だけでも、もう少し視聴者のほうを向いた特番を放送したほうがいいのではないか。