新潟を拠点に活動するNGT48のメンバー・山口真帆への暴行事件に関する第三者委員会の調査結果を受け、同グループを運営するAKSが22日、新潟市内で会見を開いた。出席者は、AKS運営責任者兼取締役・松村匠氏、劇場支配人・早川麻衣子氏、副支配人・岡田剛氏の3名。本企画(「NGT48山口真帆 暴行被害事件」調査報告書会見 3時間の全記録)では、時系列に沿って発言をまとめていく。第5回は、開始90分頃から110分頃まで。

  • AKS

    左から早川麻衣子氏、松村匠氏、岡田剛氏

■記者との一問一答の続き

――冒頭、秋元康氏について「憂慮されている」ということだったが、1月の会見でも「憂慮されている」だった。実際には何と言ったのか。

松村:それは言葉のあれで、「大変憂慮している」ということです。

――「大変憂慮している」という言葉を秋元氏が述べたということか。

松村:はい、それは日本語のあれなので。私の方で解釈して言っているということでよろしいでしょうか。憂慮しているな、ということだと思います。心配しているということだと思います。「しっかりやれ」という激励も受けております。

――解釈ではなく直接聞いているのであれば言葉があるはずだが。どのような言葉を話していたのか。

松村:「松村が運営の責任者なんだから、しっかりと対応するように」ということです。

――秋元氏は社外取締役や社外監査役でもないということで間違いないか。

松村:ありません。プロデューサーでありますから、それの契約、13ページに書かれている限りでございます。

――秋元氏がAKSの経営会議に出ることはない。

松村:ございません。

――月に2回の取締役会。18日に報告書があがってきて、その後ということか。

松村:はい、臨時で開いております。18日に報告書が参りました。一昨日にメンバーへの説明会、昨日に父兄の説明会、そして本日皆様とこうやって記者会見をさせていただいているということに関しての確認事項、主に今後のガバナンスの問題、体制づくり、見直しということを中心に話しをしております。

――経営会議で数値的な目標は何か示されているのか。

松村:NGTが一刻も早く、例えば3月の劇場公演を、この調査結果が3月の中旬ということだったので、今月いっぱいは休館にしておりますが、この時期を利用して次に向けての体制づくり立て直しをやらなければいけないと思いますし、どんどん先に進みたいなという気持ちはあります。ただ、われわれが勝手にスタッフだけでは、また「コミュニケーションが」ということも問題になって参りますので、スタッフをはじめメンバーとも話し合いをしながら、次のステップに進めたらなと感じております。

――早川氏、メンバーが自分以外のところで活動休止について話をしているなど心当たりはあるのか。

早川:山口に関しましては、私、松村以外のスタッフも接する機会がございますし、そちらのスタッフに今後の進退を話しているのかもしれないですが、私の耳には入っておりません。

――そのことについて、スタッフから聞き取りをする可能性は。

松村:状況を見て報告をいただきたいものもたくさんございますし、その辺についてはスタッフ間で、今後共有していきたいと思っております。

――客観性を保つために第三者委員会に調査を委託した。委託した側がその報告書の説明をするのは、客観性に欠ける行為なのでは。第三者委員会の弁護士が出席した上で、あらためて会見を開くことはできないのか。

松村:検討させていただきますが、本日のこの報告書と私共の会見で進めていければと思っております。

――検討するということか。

松村:こういう事態なので、これで終わりということは考えておりませんが、引き続きメンバー及び皆様に納得していただけるようにわれわれが鋭意努力していかなければいけないんですけども、今日の記者会見ということでいうと、今申し上げたことでご理解いただければと思います。

――弁護士が同席しなかったのはAKS側の判断なのか。

松村:そういうことではございません。第三者委員会の先生の方が、記者会見はAKSに委ねるということでした。

――AKS側から同席を求めることはなかったのか。

松村:それはしましたけども、「それはAKS側に」ということでございました。

――第三者委員会側が判断して、今日の会見はAKS側がやることになった。

松村:はい。

――報告書の説明を十分にできると考えていた。

松村:一生懸命やらなければいけないなと思っておりました。

――報告書の中身について弁護士とどの程度やりとりしたのか。

松村:独立性という意味で、第三者委員会の先生とやりとりはしておりません。

――われわれが聞きたいのは、AKS側の対応もそうだが、報告書の中身が大部分を占める。今一度、対応について検討は可能か。

松村:はい。持ち帰ります。

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――報告書には、握手会の「まとめだし」(多数の握手券を一挙に提出し、特定のメンバーと長時間にわたって握手をして会話することができる仕組み)が遠因になっているとあるが、指摘の通りなのか。

松村:握手会というのは、ファンのみなさまとメンバー、われわれ含めてですが、交流する大変貴重な場と思っております。多くの方々がルールを守っていただき、純粋にメンバーを応援し、NGTを応援し、バックアップしようということで参加していただいております。ただ、時間がなくなった時に「まとめだし」のような場合で、これも十分ということはないんですが、時間が長くなるとやはり話すことも多くなりますから、やはりもう少しケア、チェックをしておかなければならないと痛感しております。

――報告書では、長くなりそうな場合はスタッフを同席させるなど、そういった改善策も提案されていたが、具体的に検討していることはあるのか。

松村:もちろんです。当然、長いまとめだしの時にはマネージャー及び支配人、しかるべき人間が、どういうやりとりをしているのか今後はしっかりと確認をしなければいけないと思いますし、実際に今までもやっていましたがそれが不十分だったということだと思います。

――3月中は劇場を休館。4月以降の予定は?

松村:決して安易に考えているわけではないのですが、ご指摘を受けて今一度検討させていただきたいと思っております。

――具体的にいつからというのは考えていないのか。

松村:そんなことは全然ないですが、4月以降いろいろなことは考えております。早川の方から具体的に。

早川:まず、この報告書を受け、メンバーとしっかり話をすることが大切だと思っております。活動していく上で、ちゃんとメンバーのことを考えないといけないと思いますし、なので3月いっぱいの劇場公演を休館とし、メンバーと話をする時間を設けようと思いました。その中で、メンバーの気持ちだったり向き合い方だったり、そういったもので今後の方針も変わってくると思いますので、メンバーと話しつつ、今後のNGTとしての運営についても考え、4月以降に関してはそれから決めていきたいと思います。

――NGTとして活動を続けていくのは間違いない。

松村:はい。その通りでございます。

――松村氏、大村(拓也)氏の減給30%は報告書を受け取ってから決まったことなのか。

松村:2月からです。

――2月の給料から?

松村:そうでございます。

――繰り返しになるが、山口がツイートした「繋がっているメンバーを全員解雇する」という内容は事実なのか。

松村:つながりがはっきり分かった場合は、というような話はしました。「確たる証拠がない時点での」という注釈付きではございます。

――報告書には「A」「B」「C」というイニシャルのメンバーが登場し、「A が降車後に丙から『まほほん、あの車両に乗ってる?』と声をかけられ、『乗ってるよ』と答えた」とある。A本人は認めているため、裁判であれば疑いのない事実になるが、報告書では「何らかの共謀があったことを示すような供述はない」と結論付けられている。山口の立場になって考えると、Aが被疑者と関わりがあったと思ってしまうのは仕方ないのでは。関わりがあるが、共謀関係にはないということなのか。

松村:それは警察の捜査でも関与の話は全くないことが実際に検察へ送致の段階ではっきりしておりますし、今回の調査報告書の中でもそれがはっきりしているなと理解しております。

――Aが「乗ってるよ」と言ったことは事実で間違いないか。

松村:そのようには認識しております。

――それは関与ではない?

松村:聞かれて思わず答えてしまったということかなと思います。それが「つながり」というと、あいさつの話であるとか、ファンの方だからという認識があったかと思います。ここに書いてあるAというメンバーに関しては。

――新潟県の企業、自治体などが事件以降、契約の打ち切りなど厳しい声が上がっている。これをどうやって改善していくのか。

松村:当然の帰結だと思っております。クライアントの皆様はわれわれを使っていただいて企業のイメージアップやその他にわれわれを使っていただこうという思いで、ご依頼をいただいているわけですから、そのわれわれ自身がイメージが損なわれるような状況にあるということでいうと今、ご指摘を受けたことは当然の帰結かと思います。信頼や信用が崩壊するのは本当に一瞬で、これを地道に1つずつもう一度ご理解いただけるのであれば誠心誠意、信頼と信用の回復に努めて参るとしか思っておりません。

――山口が被害に遭ってから、当時支配人だった今村氏はどのように対応したのか。「つながり」があるメンバーがいても相手にしなかったとあるが。

松村:大変不十分であったと反省をしております。報告書の中の指摘にありますように、支配人のやることは多岐にわたるのですが、そのあたりの権限や人事権が不明確だったとご指摘を受けております。それは本当に私共の問題であるかということで、彼だけがどうという感じではないという感じはしております。

――今日の会見に際して、今村氏からメッセージなどは預かっていないのか。

松村:ありません。

――AKSとして、「つながり」の内容についてどこまで把握しているのか。

松村:「ファンとのつながり」はファンの皆様との話なので、ファンの方がご覧になっていて、「これは不適切なんじゃないか」というのも1つありますし、われわれから見ても不適切だというようなことに関しては、やはり注意及び指導をしてかなければいけないのかなと思います。

――具体的に「不適切」とは?

松村:今、申し上げた通りだと思います。われわれから見て、ファンの方を優遇する行為であったり、あとは誤解を招く行為であったりということでございます。

――具体例を。

松村:具体例といいますと?

――「あいさつ」以上の例があれば。

松村:いろいろ多岐にわたるかと思います。不適切ということに関しては。

■NGT48山口真帆 暴行被害事件の経緯

▽2018年12月8日
山口真帆が帰宅時に自宅の部屋の前で男2人から暴行被害を受ける

▽2018年12月9日
新潟県警が男2人を暴行容疑で逮捕

▽2018年12月28日
逮捕された男2人が不起訴処分

▽2019年1月8日
山口真帆が動画配信サービスやSNSを通じて事件を告発

▽2019年1月10日
山口真帆がNGT48劇場公演で謝罪

▽2019年1月11日
NGT劇場支配人の今村悦朗氏が異動、早川麻依子氏が新支配人に就任

▽2019年1月14日
「AKB48グループ成人式」後に運営責任者らが会見を開いて謝罪

▽2019年2月1日
事件を調査する第三者委員会を設置

▽2019年3月7日
前NGT劇場支配人・今村悦朗氏が不適切行動で契約解除

▽2019年3月21日
第三者委員会の報告書を公式サイトで公開「メンバー関与せず不問」