新潟を拠点に活動するNGT48のメンバー・山口真帆への暴行事件に関する第三者委員会の調査結果を受け、同グループを運営するAKSが22日、新潟市内で会見を開いた。出席者は、AKS運営責任者兼取締役・松村匠氏、劇場支配人・早川麻衣子氏、副支配人・岡田剛氏の3名。本企画(「NGT48山口真帆 暴行被害事件」調査報告書会見 3時間の全記録)では、時系列に沿って発言をまとめていく。第4回は、開始60分頃から90分頃まで。
■記者との一問一答の続き
――「つながり」を不問にし、被疑者や運営側に責任を落とし込んでいることに違和感はないのか。
松村:今もずっとご指摘をいただいておりますし、私の方での認識と状況把握の甘さが係る事態を生んでいると思います。やはり、責任者が指揮系統命令をしっかりと通達をしていれば、それに関してちゃんとした報告も上がってくるでしょうし、通達だけではなく、それを引き続き私の方がしっかりと上げるようにと繰り返しやっていればこういう事態にならなかったかなということは私自身深く反省しておりますし、皆様からもご指摘を受けているので、その都度その思いを深くしている状況でございます。従って先ほど申し上げましたように私自身の処分も行われておりますし、その点ご理解いただければと思います。
――「会いに行けるアイドル」を変更する可能性は。
松村:NGTのファンの皆様の大多数の方が非常に純粋に私共NGTのグループ及びメンバーを応援してくださっている方々です。ファンということですし、やはりエンターテイメントなので、しかもその握手会だとか劇場公演という「会いに行けるアイドル」を標榜しているチームなので、そういった意味でのファンの方々へのサービスというのは一方ではちゃんとしていかなければいけない。そういう多くの方々、純粋に応援してくださっている方への気持ちもしっかりと伝えなければならない。
ただ、今後「つながり」の範疇というのは、報告書の中でも指摘を受けているように、曖昧な感じがありますので、これはメンバー及びスタッフと話し合って、意識をあらためてもらうようにしなければならない。特に握手会では握手だけではなく、いろんな言葉を交わしたりということがございますので、その際にセキュリティーのスタッフが注視しなければいけない。
ただ、それが大多数の純粋に私共のイベントに参加してくださっている方々をそういう目で見るというのは、すごくわれわれとしても心が痛みます。本当にありがたいことにファンの皆様はそういうことに関して理解してくださる方はすごくいるので、甘えてはいけないんですが、ファンの方々とまたもう一度一つずつ積み重ねていけたらと思っている次第でございます。
――「事件に関与したメンバーがいるのか分からない」という結論であれば理解できるが、なぜ「関与していない」と判断できたのか。
松村:2人の被疑者に対して調査に協力するようにという話があったと思うのですが、それに応じなかったということがあると思います。
――報告書にあった新潟の地域性について、AKSとしては否定した。報告書をすべて鵜呑みにしているわけではない。2つ意見が並んでいる中で、「関与していない」と判断した理由は。
松村:えっ、すみません。
――「やっていない」というメンバーと、山口の「やられた」という両方の意見があって、「やってない」というメンバーの意見を選んだ理由は?
松村:2つの判断、先ほどの新潟のことは報告書でご指摘は受けていますが、われわれとしてはそういうことは全然ないよと否定しているということよりも、意見の相違というか。認定云々というのは、事件の内容に関することなので、第三者委員会の先生方の判定をわれわれとしては。調査報告なので。というふうに理解しております。
――被疑者とつながりのあったメンバーがいるのは間違いないと思われるが、その被疑者とつながりのあったメンバーが不問で残留している状況で、山口が復帰できるという考えなのか。
松村:今まさにリアルタイムでツイートをしたりということであると、本当に話し合いをしていかなければ厳しいのかもしれないなと思っております。話し合いをしっかりしていくことしかないのかなと思います。
――この3カ月でコミュニケーションを取る機会はあったはず。話し合いでどうにかなるレベルとは思えない。解決方法として、話し合いしか今のところは考えていないのか。
松村:それ以外にないかなと思います。これで話し合いが終わりということはないと思いますので、これを続けていくしかないのかなと感じております。
――このような事件が話し合い不足で起こるのか。
松村:ご指摘の通りだと思いますので、報告書でもあらためて指摘を受けておりますし、この指摘を受ける前にわれわれがガバナンスをしっかり守れていると思っていたということではございませんので、AKSの体制の不備は建て直さないといけないとさらに深く感じます。
――関係者に取材をする度に回答が異なるのはなぜか。
松村:どちらにどのように取材をされたのか、私はわからないので、ちょっとそれはどうお答えしていいか分からないのですが、そういうことがないようにするために私共としては第三者委員会への調査を依頼したと認識しております。
――すぐに統一見解を示すことはできなかったのか。
松村:やはり、こういう事情なので、警察の捜査は終了というだけではないことがご指摘いただいた通り発生しておりますので、あらためて第三者委員会に調査を依頼し、報告を上げていただいたということでございます。
――被疑者の不起訴処分に関して、AKSが示談交渉をした事実はあるのか。
松村:ございません。
――不起訴処分になった後、AKS側から警察に対して再捜査を求めた事実はあるのか。
松村:山口が当事者であるので、AKSが再捜査を依頼したということはございません。刑事事件なので、和解ということもございません。
――不起訴の段階で民事訴訟に動いていれば、状況は好転したのでは。
松村:そうですね。事件が拡大してしまい、本当に今ご指摘いただいた通りと実感しております。この第三者委員会の報告を受けて、あらためて被疑者に対しての法的措置考えるに至ったとご理解ください。
――山口のツイートに「『繋がっているメンバーを全員解雇する』と私に約束しました」とある。これは事実か。
松村:当然ながら、証拠の話が出て参りますので、「つながり」ということでいうと報告書では「あいさつもつながり」というご指摘もいただいております(後に訂正)。非常に微妙なところというのは間違いありません。ただ、1月14日の囲みのときにもお話したように、風紀の乱れというのは一緒にやっているメンバーはもちろんですが、多くのファンの方々の信頼を失墜させることなので、これはやはり慎重に進めていかなければいけないことだと思っております。
――昨年12月末に同じような事案で一人活動停止の処分を受け、後に辞めたメンバーがいる。人数が多ければ不問にするということなのか。
松村:人数が多いから云々というよりも、先ほども申し上げてますように、書面及び本人の面談による話なので、報告書を18日に受けて初めて見ておりますし、確証がないということですよね。あくまでもメンバーへの書面による回答と、その後の委員の方々との面談の中で話が出てきたというふうに書いてあります。
――今後は調査をして確証があれば処分するということなのか。
松村:それも含めて、すべてがメンバーとのコミュニケーションをしっかりしていくということを、この調査報告書を見て感じていることなので、ここにおります早川、岡田、私も含めしっかりやっていかなければいけないと思います。
――山口が「コミュニケーションも何も、このことに関して聞くと連絡が返ってきません」とツイートしているが、この理由は。
松村:連絡は当然しているんですけども、彼女がそういうふうに言うのであれば、僕の不徳の致すところというしか答えられないという感じでございます。
――無視をしていたということか。
松村:無視などはしておりません。
――どういった返事をしていたのか。
松村:先ほど申し上げましたように、第三者委員会の報告というのをやはり見なければいけないということと、証拠というかですね、何かないとこれは処分云々以前の問題かなと思いますので、そのようなことを連絡しております。
――証拠を確認する調査はするのか。
松村:それは引き続きNGTの活動を続けて参るわけですから、その中でメンバーとのコミュニケーションをとって、調査ということではなく、その中でよりよくNGTが運営していけるように改善していきたいと思います。
――保護者への説明はどのように行ったのか。
松村:昨日、説明会を開かせていただきました。
――「娘を辞めさせたい」といった厳しい意見は?
松村:やはり運営われわれ共に対する厳しいご意見は当然ながらいただいております。ただ、ご指摘を受けたような「NGTを辞める」というようなことは私には直接……いろいろお感じになっているご家族もいらっしゃると思いますが、直接はないと理解しております。
――1月14日の囲み取材の時から、山口とコミュニケーションを取るという話は出ていた。会見中のツイートの件もあり、コミュニケーションを取っていたとは思えないが、何回ほど面談したのか。
松村:彼女とは私だけでなく、他の者もいろいろと当然対応させていただいているので、そのあたりをご理解をいただければと思います。私だけでなく、もちろん早川もです。
――早川氏は母親代わりというか、身近な存在だと思うが、このツイートに関してどう思うのか。
松村:これに対しては私に対しての話なので、ご遠慮させていただければと思います。
――証拠がないと処分できないという話があったが、メンバーが認めているということは証拠になるのでは。事件に関連していなければ、つながりがあったとしても構わないということか。
松村:いえ、そういうことではなくて、「つながり」というのは第三者委員会の認定においても、繰り返しになって恐縮ですが「あいさつもつながり」としっかり書かれております。なので、このあたりのつながり云々ということを今一度、スタッフ、メンバーが自覚と認識を持ち直さなければならないと思っております。
■「事実として垣間見ることができた」「及び」の解釈
――報告書の「丙と複数回個別に会っていたメンバーがいること」は、「あいさつ」と受け取ることはできないのでは。
松村:これも「垣間見ることができた」ということなので……。
――「事実として垣間見ることができた」とあるが。
松村:それは解釈のアレかなと思うのですが。
――これをどのように解釈しているということなのか。
松村:え、どれをですか? ここに書いてある通りという感じですね。
――私は「事実」と読み取りますが、そのように読まれないと。
松村:いや、これも被疑者2人に対してこういう内容も含めて、民事上での訴訟によって、訴訟というか法的措置を取ることによって、今後明らかにすることなのかなと思います。
――「丙と複数回個別に会っていたメンバーがいること」にある通り、メンバーが自身にとって不利なことを自白している。例えば裁判においては、強要されていないにもかかわらず自ら不利な話をした場合、信憑性があるものとして認められるはず。
松村:なので、それを今後慎重に、弁護士とも相談して参りたいと思っております。
――報告書には、「つながり」に加えて「及びそれを疑わせる事情」とある。「丙と複数回個別に会っていたメンバーがいること」ほか7項目の中には、「疑わせるもの」と「事実」の2つがあると認識しているか。
松村:私共としては「疑われる内容」と認識しております。これは報告書なので、私の私見をということは……。
――全責任を負っているのでは? 7項目はすべて「疑わせる事情」なのか。
松村:「及びそれを疑わせる事情」ということなので、私は「疑わせる事情」というふうに理解しております。
――「及び」とは「もう1つ」なので、事実も含まれているのでは。
松村:それが事実かどうかということは、「及びそれを疑わせる事情」ということなので。
――なので?
松村:なので、私は「及びそれを疑わせる事情」と理解しております。
――7項目が?
松村:はい。
――不起訴になった件。被害届を出していたのか否か。取り下げてはいないのか。
松村:被害届ですか? 出してないというふうに認識しております。
――報告書の5ページには「山口氏は、必死で乙を押し返し、部屋から押し出そうとした」とある。事実とすると、暴行罪だけでなく、住居侵入罪も成り立つのでは。
松村:これは調査結果で「山口氏の供述」ということですので、警察の方がジャッジすることなのかなと思います。
――その後、山口に状況を聞いて調べてないのか。
松村:第三者委員会の中での発表になっているということだと思います。
――報告書の9ページに「甲から『C がお前の家に行けってめっちゃ言ってくるんだけど。』」とある。「お前の家に行けってめっちゃ言ってくる」という意味について、知っていることはあるか。
松村:いえ、これは全く存じておりません。
――この件について、今後調べる予定は。
松村:報告を受けて、繰り返しになって恐縮ですがNGTが前に向いて進んでいけるようにいろいろと話し合いを続けていきたいというふうにしか思っておりません。
――報告書にある「甲」「乙」「丙」と山口の関係は。
松村:一応、ファンということになっておりますので。
――私的なつながりはなかったのか。
松村:そのように理解しております。
■NGT48山口真帆 暴行被害事件の経緯
▽2018年12月8日
山口真帆が帰宅時に自宅の部屋の前で男2人から暴行被害を受ける
▽2018年12月9日
新潟県警が男2人を暴行容疑で逮捕
▽2018年12月28日
逮捕された男2人が不起訴処分
▽2019年1月8日
山口真帆が動画配信サービスやSNSを通じて事件を告発
▽2019年1月10日
山口真帆がNGT48劇場公演で謝罪
▽2019年1月11日
NGT劇場支配人の今村悦朗氏が異動、早川麻依子氏が新支配人に就任
▽2019年1月14日
「AKB48グループ成人式」後に運営責任者らが会見を開いて謝罪
▽2019年2月1日
事件を調査する第三者委員会を設置
▽2019年3月7日
前NGT劇場支配人・今村悦朗氏が不適切行動で契約解除
▽2019年3月21日
第三者委員会の報告書を公式サイトで公開「メンバー関与せず不問」