テクノロジーが進化し、AIの導入などが現実のものとなった今、「働き方」が様変わりしてきています。終身雇用も崩れ始め、ライフプランに不安を感じている方も多いのではないでしょうか。

本連載では、法務・税務・起業コンサルタントのプロをはじめとする面々が、副業・複業、転職、起業、海外進出などをテーマに、「新時代の働き方」に関する情報をリレー形式で発信していきます。

今回は、書評ブロガー・ビジネスプロデューサーの徳本昌大氏が、「エッセンシャル思考」についてお話します。

  • 人生を変える選択「エッセンシャル思考」とは


「エッセンシャル思考」で何が変わるのか

書評家・ビジネスプロデューサーの徳本昌大です。今回は日々の選択が人生を変えるという話を書きたいと思います。参考にしたのは、グレッグ・マキューンの「エッセンシャル思考 最少の時間で成果を最大にする 」(著者 グレッグ・マキューン、出版 かんき出版)です。

本書のおかげで、私は様々なことを捨て去ることができました。自分にとって重要なことを見極め、それに集中することで、結果を出せるようになったのです。

著者グレッグ・マキューンは元々イギリスの法律家でしたが、本当にやりたいことは何かと考え、アメリカに移住し執筆家となりました。自分の人生について深く考え、重要なことに集中することで、よりよい人生を送れるようになったと言います。

著者はエッセンシャル思考を次のように定義しています。

エッセンシャル思考とは、まさに「より少なく。しかし、より良く」を追求する生き方だ(グレッグ・マキューン)

私は、この本を読んだサラリーマンの頃、本書に書かれている内容は難しいと感じていましたが、著者のアドバイスを実践するうちに、エッセンシャル思考が身につきました。独立した今は自分のビジョンとミッションに沿った仕事だけを選び、それ以外のことにノーと言えるようになったのです。

時には仕事を断ることもありますが、タフな決断をすることで、本当に大事なことに時間を割けるようになりました。この不要なものは整理し、不要な仕事を取り除くことで、私の幸福度は間違いなくアップしていったのです。

エッセンシャル思考は、自分の選択を自分の手に取り戻すための道のりである。それはあなたに、これまでとはくらべものにならないほどの成功と充実感を与えてくれる。結果だけでなく、日々のプロセスを心から楽しめるようになる

自分の仕事は本来自分で決められるはずですが、私たちはついつい他人の言いなりになってしまいます。自分の日々の選択を誤らせないためには、自分にとって重要なことを明確にし、優先順位を決めればよいのです。不要なことを的確に見定め、排除していくことで、自分に正直に生きられるようになります。

エッセンシャル思考とは、人生のクローゼットを整理するしくみのことだ。思いきって一度やれば終わりというものではないし、月に一度のイベントでもない。クローゼットをきれいに保つには、そもそも散らからないしくみづくりが不可欠。つまり、仕事や用事を頼まれるたびに、イエスかノーかを正しく決めることが必要だ。そのための確固としたルールが、エッセンシャル思考なのである

毎日、私はその日の重要事項を3つ明らかにし、それに集中できるようにしています。余計に仕事を詰め込むとパフォーマンスは途端に悪くなり、自分を追い詰めてしまうことに気付きました。自分のやりたいと思える仕事だけを選ぶことで、ワクワク感が保て、やる気を引き出せます。

仕事を依頼される際に、「本当にこの仕事は受けるべきか」とか、「この仕事は本当に自分がやりたい仕事なのか」を考えるようになると、不要な仕事は断れるようになります。

「すべてを手に入れることはできない」と考え、トレードオフを意識することで、不要なものを捨てられるようになります。「どの問題がいちばん重要か?」と考え、自分を成長させるために時間を使うようにしましょう。

私たちは努力の量と成果が比例するという考え方を捨てるべきです。エッセンシャル思考を取り入れ、不要なことには勇気を持ってノーと言うのです。

多数の良いチャンスは、少数のものすごく良いチャンスに遠く及びません。数かぎりないチャンスのなかから「これだけは」というものを見つけられるように、自分の直感を鍛えるようにするのです。

本当に重要なことにイエスと言うために、即決せずに思考するための空白の時間を確保しましょう。

いつかあなたの人生が終わるとき、いくつかの後悔は残るかもしれない。だがエッセンシャル思考を選んだことは、けっして後悔しないはずだ。たとえば今日この瞬間に戻れたとして、別の選択をしたいと思うだろうか。人生の終わりから振り返ったとき、あなたはどちらを選ぶだろうか?

私たちは本当にやるべきことに時間を使うことで、後悔しない人生を送れるようになります。「世の中の中の大多数ものは無価値」であるという考えを受け入れることで、自分の人生をよりよくできるのです。