連休の後は、体が休みモードのままで、仕事がなかなかはかどらないという経験をしたことはありませんか? そんなとき、栄養ドリンクでも飲んでがんばろうという人も多いと思います。仕事のパフォーマンスを上げるために大切なのは、バランスのとれた食事です。今回は、栄養ドリンクにも含まれる栄養成分が豊富な食材をご紹介します。
どうしてやる気が出ない?
通常、私たちは精神状態を安定的に保つために、脳の中から神経伝達物質がバランスよく分泌されています。やる気、元気などの素になるといわれるドーパミンも神経伝達物質のひとつです。
ただし、朝ご飯は食べない、お昼は丼ぶりものやラーメンなど単品料理が多い、夕食は居酒屋でビールなど偏った食生活を続けていると、糖質を過剰に摂ってしまい、血糖値を下げるためにインスリンが大量分泌されます。そうすると、インスリンが自律神経を刺激することで、ドーパミンの分泌量が下がってしまうといわれています。これによって、やる気が出なくなったり、元気が出ないなどの症状につながってしまう可能性があるのです。
イカは良質なたんぱく質が摂れる
イカはたんぱく質が豊富な食材です。たんぱく質は、筋肉や体内の臓器などの構成成分になるだけでなく、神経伝達物質にもなり、私たちが生きていくためになくてはならないものです。
そのたんぱく質を構成しているのが、約20種類のアミノ酸。アミノ酸は、体の中で合成できず、食品から取り入れなければならない必須アミノ酸が約9種類あります。たんぱく質を効率よく摂るための目安として、体が必要とする必須アミノ酸と食品に含まれるアミノ酸の量を比べて「アミノ酸スコア」と呼ばれる数値で表しています。イカに含まれるたんぱく質は、このアミノ酸スコアが高く、良質なたんぱく質が摂れる食材です。
イカに含まれるタウリン
イカには、栄養ドリンクでよく聞く、タウリンが含まれています。タウリンは、私たちの体の肝臓や脳、骨髄などさまざまな場所に含まれており、必要不可欠な栄養成分です。消化管内でコレステロールの吸収を抑える働きがあり、高血圧予防などにも役立つとされ、健康にもよいと考えられています。また、集中力を高めることに役立つともいわれています。
タウリンは体内で作り出すことができますが、食品からも摂取する必要があります。タウリンは、イカ、たこ、魚の血合いなど魚介類に多く含まれていますが、牛、豚、鶏などの肉類は少ししか含まれていません。そのため、肉類が大好きで、肉類に偏った食生活を送っていると、不足する可能性があります。1日に1回は魚介類を食べるなど、意識して食事に取り入れてみるとよいでしょう。
イカの加工品でもタウリンは摂れる
食事でなかなかイカを食べることができないときは、加工品の「さきイカ」を替わりに食べてもたんぱく質やタウリンを補うことができます。おやつとして、ポテトチップスや甘いものなどのお菓子を食べる習慣がある人は、それをさきイカに替えるだけで栄養補給になります。コンビニやスーパーなどで手軽に購入することができますので、利用してみるとよいでしょう。
また、さきイカはよく噛まないと飲み込むことができないため、自然に咀嚼回数が多くなります。よく噛むことは、脳の満腹中枢を刺激して、食べ過ぎの予防にもつながります。体重が気になる人は、食事の前にさきイカを少し食べるのもおすすめです。
ただし、加工品には塩分が多く含まれていることがあります。食べ過ぎると、塩分の摂りすぎとなってしまいますので、あくまでも少量に留めるようにしましょう。
肉類を多く食べる習慣がある人は、イカなどの魚介類を食事に入れることでバランスがとりやすくなります。食事を抜く習慣がある、外食の利用が多いなど食材が偏っていると思ったら、一度、食事内容を振り返ってみましょう。
筆者プロフィール: 岡田明子
管理栄養士。同志社女子大学管理栄養士専攻卒業後、高齢者施設に勤務し、利用者の食事管理を行う。その後ダイエットサプリメント会社の立ち上げに関わり、自身の13kgのダイエット成功経験を生かして「食べてキレイに痩せる」ダイエットメソッドを確立。独立後は、ヘルスケア関連を中心にレシピ監修や商品開発、講演や執筆活動、テレビなどのメディア出演などを務める。2014年に一般社団法人NS Labo(栄養サポート研究所)を設立し、栄養士、管理栄養士をサービスパートナーとして、健康事業のサポートとヘルスケア分野で活躍できる人材育成を行っている。著書に『妊娠できる体は食から 30代からの妊活食』(KADOKAWA/角川マガジンズ)など。