風が冷たくなり空気が乾燥してくると、気になるのが肌のかゆみ。女性だけでなく、男性にも症状は現れます。仕事中は、暖房による乾燥からますます肌がかゆくなってしまうこともあります。肌のかゆみには保湿が大切ですが、食事を気をつけることで体の内側から、皮膚を守ることができます。そこで今回は、肌の調子を整える食材をお伝えしましょう。

  • かゆい! 肌の乾燥には「人参」を食べよう!

どうして、肌がかゆくなる?

肌のかさつきといった症状は、乾燥肌と言われ空気が乾燥する冬に症状を気にする人が多く見られます。しかし近年は、自宅でも職場でもエアコンの風にあたっていることから、1年中いつでも起きてしまう肌のトラブルです。

乾燥するのは、皮膚の水分や皮脂が不足してしまうことが原因です。乾燥しやすい部位として、顔であれば頬や目の周り、口の周りに多く症状が現れます。体であれば、すね、膝、ひじ、足の裏など関節のあるところに症状を出やすいです。

1年のうち肌が乾燥しやすいのは、10~11月と言われ、湿度が低下する時期です。そのほか睡眠不足、紫外線、ストレスなども肌の乾燥の原因となります。

肌を守るためには、バリア機能が大切

肌は、表皮に覆われています。表皮の一番外側にあるのが、角質層と呼ばれるもので、バリア機能を持っています。バリア機能が正常に働くことで、肌の内側にある水分や脂質が外へ蒸発することを防ぎ、外部の刺激から肌を守っています。

このバリア機能がうまく働かなくなると、乾燥が起きます。そして、新しい皮膚がどんどん生まれ、健康な状態を維持しようとする働きであるターンオーバーがうまく機能しなくなります。そのため、保湿やバリア機能が十分に働くことができず、乾燥がひどくなり、肌荒れの原因となるのです。

栄養バランスの乱れが乾燥の原因に

ストレスや体調不良、加齢なども肌荒れの原因となりますが、栄養バランスの乱れも乾燥の原因となってしまいます。不規則な生活習慣、過度の外食、朝ご飯の欠食、野菜不足など、日ごろの食習慣が乱れていると乾燥肌につながりやすくなります。

日ごとの食習慣の中で、特に摂りたいのはビタミンAが多く含まれる人参です。人参は、β-カロテンを多く含み、体内でビタミンAに変わります。ビタミンAは、皮膚や粘膜を健康に保つ働きがあり、ビタミンAが不足すると、肌がかさつく原因になります。

肌が乾燥したら「人参」を食べよう

人参には、ビタミンAが多く含まれており、1/5本(約30g)食べるだけで、450マイクログラムを摂取できます。成人男性は、1日に850~900マイクログラムが必要になりますので、煮込み料理に少し入っているものを食べるだけでも、1日の半分が摂れることになります。ビタミンAは、体内にためておくことができますので、人参をよく食べる方であれば、毎日摂る必要はありません。また、ビタミンAはレバー、うなぎ、かぼちゃにも多く含まれています。

食事からビタミンAを摂る場合、摂りすぎの心配はほとんどありませんが、サプリメントやビタミン剤を併用している人の場合、過剰症による副作用が起こることもあります。使用方法をよく読んで、摂りすぎないように注意しましょう。

人参をあまり食べる習慣がない人は、サラダに細切りにした人参を少し加える、炒め物に人参をプラスするなどして、少しずつ摂り入れるようにするのがおすすめ。ビタミンAは脂溶性ビタミンですので、少量の油で炒めて食べるほうが吸収率もよくなります。

肌の調子を整えるためには、ビタミン類が重要な役割を果たします。ストレスから肌への影響を和らげるためには、ビタミンB群、ビタミンCなどが有効です。ビタミン類が摂れる豚肉や緑黄色野菜、果物などを意識して食事に摂り入れると、肌の乾燥予防に役立ちます。

肌がかゆいからと、かいて傷つけてしまうと、ますますひどくなってしまいます。予防が大切なので、日ごろから栄養バランスを考えて、ビタミンAの摂れる人参を食事に摂り入れていきましょう。

筆者プロフィール: 岡田明子

管理栄養士。同志社女子大学管理栄養士専攻卒業後、高齢者施設に勤務し、利用者の食事管理を行う。その後ダイエットサプリメント会社の立ち上げに関わり、自身の13kgのダイエット成功経験をいかして「食べてキレイに痩せる」ダイエットメソッドを確立。独立後は、ヘルスケア関連を中心にレシピ監修や商品開発、講演や執筆活動、テレビなどのメディア出演などを務める。2014年に一般社団法人NS Labo(栄養サポート研究所)を設立し、栄養士、管理栄養士をサービスパートナーとして、健康事業のサポートとヘルスケア分野で活躍できる人材育成を行っている。著書に『妊娠できる体は食から 30代からの妊活食』(KADOKAWA/角川マガジンズ)など。