――岡田さんがこの業界に入ろうと思ったきっかけは、何だったのでしょうか?
子どもの頃からテレビっ子で、昔からエンタメの世界に憧れを持ってました。小学5年の頃、ニッポン放送でやってた『三宅裕司のヤングパラダイス』というラジオ番組を姉に勧められて聴いてみたんです。夜10時からの放送だったので、隣の部屋で寝ている親にバレないように枕の下に小さな携帯用ラジオを置いて寝ながらこっそり聴いて。家の壁が薄かったので(笑)。その番組が衝撃的に面白すぎて声を殺して笑ってました。そんな抑制された環境がキラキラしたエンタメ界への憧れを強くしていったのかもしれません(笑)。そこからブレずに大人になるまで憧れ続けてましたね。
就職はいたって簡単でした。コンビニで求人誌を立ち読みしてて「フジテレビで走り回ってみませんか?」というキャッチコピーでADの募集があったので。フジテレビで働けるならぜひ!と思って応募しました。
――最初に担当した番組は何ですか?
最初に配属されたのが『LOVE LOVE あいしてる』でした。すぐに辞めてしまうんですけど、その時のチーフADだったのが後に『SMAP×SMAP』チーフプロデューサーとなる黒木(彰一)さんで、僕が辞めた後に黒木さんから絵ハガキが家に届いていたんです。そこに「岡田とは、また一緒に仕事する予感がしてます」ってメッセージが書かれていて、こんな末端のADごときにありがたいなと思って、しばらくお守りがわりにカバンに入れてました。そこから7~8年経って、僕がフリーになってから、フジテレビの廊下で偶然的に再会することができたんですけど、その時に「フリーになったんですけど、そんなに食えてないんで何か仕事ください」って言ったら、その翌週には特番に呼んでいただいて、そこからフジテレビでのキャリアが始まって『SMAP×SMAP』に入ることにつながっていきました。
――『スマスマ』ではどんなコーナーを担当したんですか?
コントや企画モノを主に担当してました。「ワンピース王決定戦」なども担当してましたね。僕は2010年からチームに入れていただいたんですけど、初めての担当が「本当にあった恋の話」という視聴者から寄せられた衝撃の恋愛エピソードを再現ドラマ化するという企画で、木村拓哉さんと上戸彩さん主演で撮らせてもらいました。現場に入ったときの木村さんのオーラがすごすぎて、あまりの緊張で木村さんと目が合った瞬間に頭の中が真っ白になって思考停止状態になったのをよく覚えてます(笑)
そんなダメダメなスタートだったんですけど、帰り際に「(でき)上がり楽しみにしてるよ」と優しく声をかけていただいたのを覚えてます。上がりマズかったら俺、終わりじゃん!ってことで必死に編集しましたね(笑)。いまだに木村さん以上の覇気をお持ちになられている方にお会いしたことはまだないです。
『スマスマは』全てにおいてスケールがケタ違いで、新コーナーを立ち上げるたびに、深夜特番以上の規模で作らせてもらうことができたので、他の番組では経験できない現場の経験値を重ねられたことで、いろんな景色を見させていただきました。番組に携われたことには感謝しかないですね。
――そうした中で、初めて演出として担当した番組は何ですか?
2008年に『科学忍者隊ガッチャピン』(BSフジ)という、ガチャピンが浅草を舞台に悪の組織と家でも作れる科学兵器で戦う、という教育バラエティ番組です。BSの番組なので視聴率が出ないのと、早朝の10分番組だったので、「ちゃんと見てくれてる人がいるのかな?」って思ってたんですけど、あるとき、(放送作家の鈴木)おさむさんから電話が来て、「友達の奥さんがあの番組面白いって言ってたぞ」ってわざわざ連絡頂いて、「本当にいたんだ!」っていう驚きと、わざわざ連絡くれる優しさに感動しましたね(笑)
■GENERATIONS小森隼の驚異のトークスキル
――『有ジェネ』関係以外で、演者としてすごいと思った印象的な人はどなたになりますか?
最近すごいなと思ったのは、GENERATIONSの小森隼くんですかね。2017年からABEMAで『GENERATIONS高校TV』という番組からのお付き合いになるんですけど、彼のトークスキルの伸びしろが半端なくすごいです。毎年、『小森隼の小盛りのハナシ』という約90分間1人しゃべりするトークライブを見てるんですけど、最近では「番組がどうやって作られていくのか知りたいです」ってことで、制作のリモート会議にもこっそり顔を出したりしてるので、「どんだけストイックなんだよ!って思ってます(笑)
――今後やりたいことは何ですか?
一番は『有ジェネ』の地上波復帰ですね。有田さんは「『有ジェネ』はライフワークだ」とおっしゃってくれたりするので、この火は絶やしたいくないなと。『有田チルドレン』が終わって『有ジェネ』として復活して、地上波が終わってParaviに移行して、今はYouTubeまで広がって……。また、地上波に戻れたら。
――ご自身が影響を受けた番組を1本挙げるとしたら、何ですか?
『BAZOOKA!!!』(BSスカパー ※ABEMAで今年復活)の「高校生ラップ選手権」ですね。『フリースタイルダンジョン』を担当させてもらえたのは、「高校生ラップ選手権」のファンだったことがきっかけだったんです。立ち上げの会議時に、おさむさんが「フリースタイルバトルの番組やるけど、岡田、高ラ(=「高校生ラップ選手権」)好きだったよな、やるか?」「やります!」。これで番組の演出が決まりました(笑)。僕の人生に大きな影響を与えてくれた番組ですね。
――いろいろお話を聞かせていただき、ありがとうございました。最後に、気になっている“テレビ屋”を伺いたいのですが…
ABEMAで編成局長をされている谷口達彦さんです。僕なんかが紹介するのはおこがましいのですが、ABEMAがAbemaTVとして立ち上がった黎明期から、今でもお世話になっている方で、立ち上げ当初、出会ったときには「テレビのこと何も分からないんです」と言っていたのですが、グイグイ出世されて、今では手を伸ばしても届かない遠い存在になってしまいました(笑)。『THE MATCH』の話も聞いてほしいですし、若い層に刺さる企画を生み出し続けるABEMAのこれから、いろいろ聞いてほしいです。