――『東大王』と銘打っているため、新たなメンバーを選ぶにも母数が限られてなかなか難しいのではないでしょうか。

そうなんです。だから0人になったらどうしようと毎年怖い部分もあるんですけど、今年から入った東(言)くんは『東大王』に出たいと思って、そのために東大に入ったという子なんですよ。『高校生クイズ』で優勝してるんですけど、「数ある大学の中で『東大王』に出れるのは東大だけだったので」と言ってくれるので、作り手としては胸にくるものがありましたね。

今回の「東大王クイズ甲子園」でも、中学生のときに伊沢さんの活躍を見て強い高校でクイズをやろうと思って、そのために偏差値30上げたという子がいるんですけど、すごいですよね。

――そういう声を聞くと、番組としても継続していかなければという責任を感じますよね。

そうですね。もちろん、スタッフ一同真剣にやっていますが、余計気が引き締まるし、中途半端なことはできないなと思います。

  • 『東大王』(毎週水曜19:00~) (C)TBS

■お父さん的なヒロミ&笑いどころを作る山里亮太

――MCのヒロミさんと山里亮太さんの存在も番組にとって大きいと思いますが、それぞれの魅力はどんなところでしょうか?

ヒロミさんは東大王メンバーとタレントさんとの間をうまくつないでいただいて、東大王が負けると「お前らちゃんとやれよ!」と檄(げき)を飛ばしていただいたり、活躍すると「すげえなあ」と声をかけていただいたり、彼らにとってお父さん的な役割を担ってくれているんです。カメラが回ってないところでも優しく声をかけていただいたり、僕に対しても「あいつらがもう少しカッコよく見えるような演出やってやれよ」と言っていただいたりするので、番組に愛情を持っていただいて、ありがたいなと思います。

山里さんは、MCとして本当にすごい人だなと思います。この前の『ABCお笑いグランプリ』の生放送のMCもやっぱりすごくて、コンテストなので見てる人も芸人さんも背筋がピッとするところを、ネタ終わりは少し息抜きできる振り方をされたり、3時間飽きさせないようにMCとして緩急のある空気づくりをされていて、改めてすごいなと思いました。『東大王』は、あんまり笑いを作りやすい番組じゃないんですが、MCとして各方面をフォローしながら、笑いどころを作っていただいたり、お2人あっての『東大王』だなと思います。

――先ほどおっしゃっていた東大王のすごさが麻痺してしまうところを、MCの2人が入ることで伝えられるという役割もありますよね。

そうですね。お2人が「すげえな!」「何で分かったんだよ!」とか「淡々としてるけど、これすごいことだよね!」と言ってくれるので、東大王のすごさに気づけるというか、うまく見ている人の目線をつけていただいて助かっています。

――ずっとお笑いの番組を経験されて、この『東大王』で生きたものはありますか?

芸人さんに対する姿勢と、東大王に対する姿勢は、根本のところではそんなに変わらないと思うんです。ネタという大事なものを作っていただいてる芸人さんがやりたいこと、視聴者が求めていること、我々スタッフがやりたいことをどううまく合わせていくかというのをずっと経験させていただいていたので、それが東大王になっても、彼らがどうしたら前向きに取り組んでくれるのか、失敗したときにどう言ったら次に向けて心が折れないかとかを考える。これまでやってきたことが『東大王』でも生かせてはいるかなと思います。

――先ほど「東大王をスターにしたい」ということをおっしゃっていましたが、芸人さんへも同じ思いはあるのでしょうか。

それは全然違いますね。東大王をスターにしたいのは、テレビに出演することがゴールではない「東大生」が番組の根幹を支えているという、特殊な環境に番組があるためで、東大王がスターになることが番組の発展に不可欠だと考えているからです。逆に芸人さんたちは、おもしろのプロ集団だと思っていますので、制作側としては少しでも気持ちよく収録に臨んでもらえるような環境づくりに努めています。