テリー伊藤

――放送作家として心掛けていることを教えてください。

テリー伊藤さんに言われたのが「賢い人が作る説明の段積み企画じゃなく、想像力で驚かせる企画を出せ」「評論家なんかいらない! 欲しいのはクリエイター」と…。昔は「放送作家は発想力」みたいなのがあったと思うのですが、今の作家には評論家&クリエイターどちらの要素も必要かもと感じています。目新しい企画を提案しながら、現実的に視聴率がどうやったら上がるのか?も分析できる人のほうが求められている気がします。

あと、僕の中で大きく分けて「企画から考える企画」と「人から考える企画」というのがあります。出演者にこだわらない純粋な企画性のものと、出演者の方が「その人だから面白い」企画を両方考えられるように心掛けているつもりです。

また、会議の時に「AとB、どっちの企画(や編集方法、キャスティング)が(視聴者に)興味があるか」という話にもよくなるのですが、そこで「会議室を納得させられる仮説」をどれだけ丁寧に説明できるかにもこだわっているつもりですが…超難しいです。当たり前ですが両パターンの放送はできないので、それが正解だったのか?教えてくれるのは毎分視聴率だけという恐ろしさは常にあります。正解を積み重ね、精度をあげるしか実績作れないかもと…。

会議室にいるスタッフ全てが面白がれる「企画力」、収録後のVTRを面白く見せる「アレンジ力」、日々変わっていく「引きのあるもの」を間違えず選択できる「チョイス力」を持ち合わせた放送作家になりたいと今でも思っています! 実際にディレクターにも作家にもそういう人はたくさんいます。

■エンタメは今のほうが圧倒的に面白い

――よく「テレビは昔のほうが面白かった」と言われることがありますが、それについてはいかがですか?

テレビだけじゃなくドラマ、映画、マンガなどエンタテインメント全般に言えることですが、今のほうが圧倒的に面白いと思っています。面白過ぎです。単純に10年前とは見せ方やテンポが進化していると思います。時々、過去VTRを見ると感じますね。昔が面白かったと感じるのは、面白が限られた数しかなくインパクトが強かったからかもしれません。今は面白さに慣れてしまうくらい、全部面白い。面白いのが常態化してしまっているのかも…。

進化と言えば…関係ない趣味の話になりますが、今年の夏の仮面ライダー映画では、今までタブーだったはずの仮面ノリダー(木梨猛)を「幻の平成ライダー」として登場させたり、振り切ってて面白すぎました。

――地上波は規制が厳しくなってやりにくくなっている…みたいなことを感じることはありませんか?

やりにくさはあまり感じないです。「くだらないことができなくなった」とか言われる方もいますけど、多分、昔の番組も「やりにくい企画」「やれるわけないはずの企画」を覚悟を決めて「やっていた」のだと思います。

――放送作家目線で、他に10年前、20年前と変わったところはありますか?

働き方改革で企画会議の時間が短くなりました。「あとは分科会で詰めてください」みたいなの、昔はあんまりなかったですね。それに伴い、会議で毎回企画案を出すのも減りましたね。「今週は何をやるんだろう」という目線で楽しめる番組が少なくなって、当たり企画を回していく番組が増えたからかもしれませんね。

――ご自身が影響を受けた番組を1つ挙げるとすると、何ですか?

「番組の作り方」を学ばせてもらった『浅草橋ヤング洋品店』ですね。好きで観ていたそれまでのバラエティと違って、ネタ出し会議、ロケV、サブ出しV編集、スタジオ収録、完パケ編集、納品とそこで全て経験したので…。『浅ヤン』のネタ出しは制約があまりなく、「何でもいいような空気感」があったように思います。一流の先輩作家が「何を面白がっているのか」に毎週触れられていたのが良かったのだと思います。

――いろいろお話を聞かせていただき、ありがとうございました。最後に、気になっている“テレビ屋”をお伺いしたいのですが…

フジテレビの日置祐貴さんです。“めちゃイケイズム”が芯にあり、仕事を超えてお笑いが大好きな人。そんな彼が『ダウンタウンなう』『IPPONグランプリ』『すべらない話』という番組を手掛けているので、そのことについての話を聞いてみたいですね。

次回の“テレビ屋”は…

フジテレビ『ダウンタウンなう』『IPPONグランプリ』『人志松本のすべらない話』総合演出・日置祐貴氏