――さて、9月9~10日には、総合演出を担当されます『FNS27時間テレビ にほんのれきし』が放送されますね。この「にほんのれきし」というテーマになった経緯は?

編成部と制作部でいろいろ話をして、「日本の歴史を27時間で見る」という方針が、去年の年末には固まりました。

『FNS27時間テレビ にほんのれきし』(フジテレビ系、9月9日18:30~10日21:24)
これまでのお笑い特化とは大きく異なり、総合司会・ビートたけし、キャプテン・村上信五(関ジャニ∞)のもと、"にほんのれきし"をテーマに、旧石器時代から現代まで、日本史を27時間かけてめぐる旅を展開。れきしサポーターとして林修、にほんのれきし博物館館長としてバカリズム、タビビトとして波瑠も出演。
(C)フジテレビ

――今年はほぼ全編が事前収録で、放送時期も例年の7月ではなく9月と、大きく変わります。その理由はなんでしょうか?

やはり歴史を扱うので間違ったことが言えないですし、調べることもたくさんあるので、準備期間がすごいかかるんですよ。『27時間テレビ』は、日テレの『24時間テレビ』に対するアンチテーゼからスタートしたお笑いの精神があって、お笑いなら生放送でやった方が良いということはありますが、今回はこのような企画になった以上、放送の中身を充実させるということが、ほぼ収録となった理由ですね。準備期間と、ちょっと涼しいときに見ていただきたいということで、放送時期も9月になりました。

さきほどの『ワイドナショー』と似ていて、生だと歯止めがかかるかもしれないんですけど、収録なので(総合司会のビート)たけしさんもすごいノリノリでブワーッとお話しされていますので、できるだけ使いたいと思ってます。

――これまでの『27時間テレビ』は、生放送のハプニングが大きな見どころだったと思いますが、そこも含めて方針転換を行うということですね。

でも、収録でもハプニングがあったら使いますからね。『ワイドナショー』で佐々木の携帯アラームが鳴りだしたりとか(笑)。一般の方が出演される「れきし自慢!大賞」も、いきなりハプニング起こってます(笑)。それと、収録番組の段積みに見えないように、縦軸でたけしさん、村上信五くん、波瑠さん、バカリズムさんが出演する「にほんのれきし博物館」が随所に間に入って、時代ごとの各コーナーをひも付けていく演出にしています。収録の順番もこだわっていて、グランドフィナーレ「池上彰が見た! たけしと戦後ニッポン」は最後に行っています。

――とはいえ、これまでの生放送の『27時間テレビ』に慣れているので、どんな雰囲気になるのか想像がつきません。制作側としては、生より収録の方が手間もかかりますよね。

正直、生の方が楽でした(笑)。ただ、キャスティングを考えると、生だと決められた日に集めないといけないんですが、収録日がずっと続くので、調整しやすい部分はありましたね。それと1つ気付いたのは、「にほんのれきし」をテーマにしたことで、出演者の幅がすごく広がったんです。波瑠さんや堤真一さん、池上彰さんなど、「お笑い祭り」だったらなかなか実現しないキャスティングができました。

FNS企画「れきし自慢!大賞」

グランドフィナーレ「池上彰が見た!たけしと戦後ニッポン」

(C)フジテレビ

――たけしさんと村上さんのコンビはいかがですか?

すごく相性がいいですね。日テレでも一緒に特番をやっていましたが、全然違う一面が出てると思います。村上くんもすごいですね。今回の放送が終わったら、各局で彼をメインにした企画を出すと思います。

――制作発表会見でも、収録3日目で、たけしさんに100回ツッコミを入れたと言ってました(笑)

昔、関西で番組をやっていた時、名司会者の方やベテラン芸人の方から司会術を教わったそうです。たけしさんが70歳で村上くんは35歳と半分の年齢で、普通はジェネレーションギャップがあるんですけど、見事についていく。たけしさんの言ってることを瞬時に理解して返していくんですよね。

――たけしさんは「勘がいい」と言ってました。

経験もあるでしょうね。テレビをすごい見て、勉強してるんだと思います。たけしさんの信頼が日に日に増していますし、気持ちの良いツッコミがくるんで、2人で並ぶと、たけしさんはもう村上くんの方を向いてますからね(笑)。FNS27局の人たちも見事にイジってましたし、「村上信五とスポーツの神様たち」でも、たけしさん、金田正一さん、釜本邦茂さんというレジェンドたちが見事に踊らされていました。バカリズムさんも「やりやすい」と言ってましたし、これは、"村上信五の時代"が来ますね!

――あらためて、今年の見どころを教えてください。

要素が多すぎますね(笑)。たけしさんと村上くんの掛け合いはもちろんですけど、「にほんのれきし博物館」に加え、ドラマ脚本を2本も書いてくれたバカリズムさんもすごいです。『IPPONグランプリ』の関係があるので、今年の2月に飛び込みでお願いしたんですが、「竹内さんの仕事なら受ける」と言ってくださって大感謝です。「―博物館」ではネタを見せて、途中バカリズムさんのライブみたいになってますし、ドラマも"知的お遊び"ですから、収録は笑いにあふれています。「歴史」というと難しいイメージがあるかもしれないですけど、面白い番組になっていますよ。

それと、剛力彩芽さんが主演するドラマ「私たちの薩長同盟」は、『大奥』の林徹監督が撮っていたり、アニメも『サザエさん』をはじめ、『ドラゴンボール超』『ワンピース』『ちびまる子ちゃん』『こちら葛飾区亀有公園前派出所』と、各クリエイターがノリノリで作ってくれています。

ドラマ「私たちの薩長同盟」
(C)フジテレビ

アニメ『ドラゴンボール超』

――これまでに竹内さんが影響を受けたテレビ番組を1本挙げるとすると、何ですか?

子供の時に見ていた『オレたちひょうきん族』(フジ系、1981~89年)ですね。たけしさんとは『THE MANZAI』の立ち上げでお世話になりましたけど、今回は絡みの深さが全然違いますから、一緒にできるのは感慨深いものがあります。

――いろいろお話を聞かせていただき、ありがとうございました。最後に、気になっている"テレビ屋"を伺いたいのですが…

読売テレビで『ダウンタウンDX』の演出をしていた西田二郎さんですね。僕が尊敬しているのは、前説の素晴らしさです。『DX』が沖縄で生放送をやったとき、10分前からマイク持ってお客さんの前でしゃべりだして、それがドッカンドッカン盛り上がるんですよ。それを袖でダウンタウンさんが見て、笑ってるんですよね。演者を笑わせるってすごいですよ! 今は部長になられましたが、現場に戻りたいんじゃないですか? また、ものを作って欲しいですね。

次回の"テレビ屋"は…

読売テレビ『ダウンタウンDX』元演出・チーフプロデューサー 西田二郎氏