「チャレンジが進むたびに誰もが思わず『頑張れ』と応援したくなる」というこの番組の良さが出ていたが、視聴者が感情移入しているだけに、ブツ切れのように終わらせず、もう少しその後の様子を映しても良かったのではないか。もし毎分視聴率ばかりを追いかけて編集しているとしたら、今見ている視聴者の熱を失いかねない危うさを感じた。

一方、富田はこの日の主役を務め、「『鬼レンチャン』のために生きてきた」「濱フラ(濱家フラッシュ)」「他のアイドルも怖い思いをしているから篠原涼子のモノマネで謝罪してほしい」「大好きな家族に言葉じゃなくて音楽で恩返ししたい」などと曲間で使えるコメントを次々に放ったことも含め、活躍の場は増えていくだろう。

5人目の挑戦者は、私立恵比寿中学・柏木ひなた。1曲目「手紙~拝啓 十五の君へ~/アンジェラ・アキ」、2曲目「サマーナイトタウン/モーニング娘。」、3曲目「Hello, Again ~昔からある場所~」まで成功したが、4曲目の「イミテーション・ゴールド/山口百恵」で失敗。

最後の挑戦者は、TKO・木下隆行。オチに好感度最低ランクのTKO・木下をキャスティングしたところが千鳥の番組らしい。スタッフはペットボトルを固定して動かせないようにするなどパワハラ騒動をイジりまくる。ただ、大悟はボロクソに言いつつも、木下と飲みに行っていることを明かすなど優しさも織り交ぜていた。

1曲目「すばらしい日々/ユニコーン」、2曲目「抱きしめたい/Mr.Children」、3曲目「LOVE AFFAIR~秘密のデート/サザンオールスターズ」まで成功し、4曲目の「鱗/秦基博」で失敗。スタジオの4人にボロカスに言わせつつ、実母と愛犬も登場して好感度を上げるなど、「チャンネルを変えられないためにやるべくことはすべてやった」という印象がある。

今回の特番はこれで終わり……と思いきや、関東ローカル枠では「徳永ゆうき カラオケ復帰への道 指パッチンギネス世界記録に挑戦」がスタート。どうやら徳永はカラオケの結果が低調のため、復帰をかけて「30秒で指パッチン218回のギネス超え」を狙ったが、185回で失敗に終わり、番組は終了した。

■カラオケ番組は民放各局で飽和か

今回の放送をあらためて振り返ると、選曲のバランスは1990年代から2000年代が大半を占め、その前後はごくわずか。ヒット曲が多かった時代である上に、ファミリー視聴を狙う際の親世代にあたる30~40代をとらえられる。

ただ、チャレンジャーの人選には難しさを感じざる得ない。今回、ラテ欄のトップは「hitomiが初参戦! 日向坂・富田リベンジなるか?」だった。その他も出演タレントの名前をすべて挙げていたように、やはりどんなに楽曲が素晴らしくても「誰が歌うか」は重要であり、その興味が視聴に直結する。

その点で失礼ながら、もう少し本物のアーティストやメジャーなタレントがほしいのではないか。これまでMay J.、丘みどり、chay、島谷ひとみら出演してレンチャンで盛り上げてきたが、同等以上のキャスティングが鍵を握っている。

採点基準に目を移すと、音程バーはもうなじみのある分かりやすい演出であり、「サビだけ」という短さと、レンチャンさせるテンポの良さは、現在の視聴者嗜好にフィット。これまでカラオケ番組は音程だけではなく、その他のテクニックを交えたものや、歌詞を完璧に歌うなど、さまざまな形が採用されてきた。ただ1990年代から大枠は変わっていないだけに、ギリギリ持ちこたえているフォーマットなのかもしれない。

現在各局のカラオケ番組は、日曜夜のテレビ東京の『THEカラオケ☆バトル』がレギュラー放送中。また、この日hitomiと千鳥らが何度も口にしていた日本テレビの特番『熱唱!ミリオンシンガー』が8月9日にも放送される。さらにTBSも『生放送で満点出せるか 100点カラオケ音楽祭』という特番を年2回ペースで放送中。もっと言えば、カラオケでなくても昭和・平成を中心に名曲を横断的に扱う音楽特番を各局が放送しているが、これもライバルの1つだろう。

せっかく千鳥とかまいたちをキャスティングしている以上、「サビだけカラオケ」だけではなく、他のレンチャン企画をどう機能させていくのか。次回21日の放送は「スポーツSP」で、陸上・野球・大縄跳びの企画が予定されているが、こうした別企画も積極的に放送してほしい。

■次の“贔屓”は……現役力士VS肉体派芸能人のガチンコ! 『怪力バトルフィールド』

『怪力バトルフィールド』MCの東野幸治(左)と山下美月 (C)TBS

今週後半放送の番組からピックアップする次回の“贔屓”は、7日に放送されるTBS系バラエティ特番『現役力士VS肉体派芸能人 怪力バトルフィールド』(18:00~)。

番組ジャンルは“怪力バラエティ”。番組名を見ただけでぶっ飛んだ企画であることが分かるのではないか。「現役力士と肉体派芸能人が計6種目で怪力を競い合う」という一点突破のコンセプトに潔さを感じさせられる。

力士は横綱・照ノ富士を筆頭に、若隆景、阿炎、大栄翔、逸ノ城ら、肉体派芸能人はマヂカルラブリー・野田クリスタル、オードリー・春日俊彰、魔裟斗、横川尚隆ら、ネームバリューも十分。同時間帯には15組のコント師を集めた『THE CONTE』(フジ系)という注目特番もあるが、スポーツバラエティの可能性を探るTBSを信じてこちらを掘り下げていきたい。