最後のテーマは、「タモリがインタビュー ロコ・ソラーレ結成秘話」。常呂町はカーリングが盛んな一方、世界を目指す選手はゼロで、本橋は「競技を続けるには別の土地でプレーしなければいけない」という状況を変えるためにチームを結成した。

番組は、本橋が挫折を経験した吉田知那美と藤澤五月を誘う際、2人とも「『カフェ遊牧民族』で煮込みハンバーグを食べた」というエピソードもピックアップ。そのためVTRの総括コメントを求められたタモリは「やっぱりお話を聞いたりVTRを見たりして思うことは、このチームができた一番の功労者は煮込みハンバーグの店(カフェ遊木民族)。私も人生の岐路に立つときはあそこに……」とボケて笑いを誘った。

タモリはエンディングでも、「いろんなスポーツ選手が『はい、楽しんできます』とか言うじゃないですか。あれ見てて『ホントかな?』とか思うんですけど。でもロコ・ソラーレ見てると本当に楽しんでるんだよね。それが根底にあって銀メダルいくってのがすごいことなんですよ」とコメント。「いいことを言おう」「盛り上がりを作ろう」という気負いを感じさせない振る舞いは、「さすがタモリの冠番組」であり、「テレ朝のステーション」なのだろう。

他局の番組なら、もぐもぐタイムや「そだね~」などを使ったり、豪華なごほうびコーナーを用意したりなどのバラエティ仕様にしていたのではないか。タモリだけでなく、ゲストのテンション、シンプルなセット、BGMなども含めて番組全体が穏やかなトーンで統一され、ほどよく知的好奇心を誘いつつも、押しつけがましさはまったく感じさせず、むしろ癒やしを感じさせた。

結局今、ゴールデンタイムの特番でカーリングを扱ったことの意味は分からない。スケジュールの都合なのか、放送予定の問題なのか……タイムリーではないことは確かだ。ただ、冬季五輪の種目は閉幕すると4年間スポットを浴びなくなるケースが多いだけに、今回の特番はカーリングという競技に対するテレビ朝日の愛情を実感させられた。

タモリは最後に「これからは見方が変わりますね。見ながらも疲れちゃう。力が入って……」と力むような仕草をしながら笑顔を見せていた。しばらく大きな大会はないようだが、そんなことをタモリは気にしないだろう。「自分の気に入ったものをマイペースで楽しむ」というこの番組のスタンスと、この日見せた元気な姿が変わらない限り、『タモリステーション』は2~3カ月に一度ペースでの放送が期待できるのではないか。

■次の“贔屓”は……テレ東の新鉱脈としてレギュラー化なるか?『この世は【ご報告】であふれてる!?』

(左から)『この世は【ご報告】であふれてる!?』MCの高橋ひかる、ハライチ

今週後半放送の番組からピックアップする次回の“贔屓”は、9日に放送されるテレビ東京系特番『この世は【ご報告】であふれてる!?』(23:00~)。

「近年SNSで爆発的に発信されているワード【ご報告】を検索して追いかけてみると人生の転機に出会えた!」というコンセプトの特番で、これまで昨年7月24日、今年1月2日、7日2日の3度放送されている。

ちょうど1週間前の放送では、「35歳のクイズ好き男性が人生初デート」「全部自作で作った鉄道の一般公開日」に密着。『家、ついて行ってイイですか?』などに続く、テレ東の新たな一般人密着ドキュメントバラエティとしてレギュラー化の可能性を秘めているのか。その魅力と可能性を探っていきたい。