2018年1月スタートの「つみたてNISA」は、金融庁が新たに設けた少額投資非課税制度です。これまでのNISAと同様に毎年の非課税枠で得た利益や分配金にかかる税金はゼロになりますが、これまでのNISAとは違い、長期の積立投資に特化しており、投資初心者でも始めやすい制度です。

そうはいっても「実際のところNISAと何が違うの?」と疑問に思っている人のために、この特集では「つみたてNISA」について、ひとつずつ解説していきます。

政府が肝入りで取扱商品を厳選

「つみたてNISA」が創設された背景は、通常のNISAをさらに投資初心者や投資に時間を費やす時間のない現役世代にも投資を推進して国民に資産形成を促すことと、預貯金に回されているお金を投資に回して日本経済を活性化させることにあります。

金融庁の調査によると、日本の家計における株式や投信の投資割合は、間接的な保有も含めて18.6%と米国や英国に比べると約2分の1以下で、一般家庭の資産形成における投資の割合が他の国に比べて見劣りする印象です。

  • 各国の家計金融資産構成比

また、金融資産を保有していないという世帯も年々増加傾向にあり、2007年に20.1%だったものが、2017年には31.2%とこの10年間で10%以上増加しています。これは年収が300万円未満などの収入が低い世帯が多くを占めており、収入が低いと投資に踏み切れないという現状があるようです。

  • 金融資産ゼロ世帯の推移

そこで、政府は家計による長期・積立・分散投資を税制面から促進するという狙いで通常のNISAよりも、もっと手軽に投資ができる「つみたてNISA」をスタートしました。そして、そのための投資手段として、初心者でも簡単でかつ有利に誰でも資産を増やせる、少額からの積立投資に特化しているというわけです。

「つみたてNISA」によって投資できる商品は「投資信託」に限定されていますが、信託報酬のコストが低い、売買手数料が無料などの厳しい条件をクリアした投資信託のみが、「つみたてNISA」における投資対象商品となっています。したがって、「つみたてNISA」のラインナップ商品はすべてが、金融庁が厳選した肝入り商品といえます。どれを選んでもハズレがなく、商品選びに自信がないという投資初心者でも安心して投資ができる商品で構成されているのです。

  • つみたてNISAの投資対象商品

投資信託の中で選ばれた商品の条件は?

では具体的にどのような条件で投資信託が選ばれているのでしょうか。

金融庁によると、2017年12月18日時点で「つみたてNISA」の対象商品は公募投信全体約5000本のうち、132本が対象商品となっています。その他、上場株式投資信託(ETF)も3本あり、対象商品は全部で135本です。「長期の積立・分散投資に適した一定の投資信託」という定義の元、基本的な対象商品の条件は以下のようになっています。

■基本的な対象商品の条件
・一般的なインデックス投信(パッシブ運用)を基本ラインとする
・アクティブ運用投信は、例外的に、継続して投資家に支持・選択され、規模が着実に拡大しているもののみを対象とする
・金融庁への届け出制
・販売手数料は0%
・毎年の運用管理費用にも上限(国内インデックス投信は0.5%等)を設け、低コストの商品に限定
・運用管理費用の金額は、毎年、投資家に通知
・販売会社は、提供する商品がどのような顧客に適しているか等を公表し説明
  • つみたてNISAの対象商品の条件

「つみたてNISA」で対象となっている132本の投資信託のうち、インデックス型の投資信託が117本で、アクティブ運用型の投資信託が15本となっています。132本の投資信託の他に、ETFが3本あり、ラインナップは全135本です(2017年12月18日時点)。

  • つみたてNISAの対象商品の内訳

インデックス型とは、日経平均など市場の値動きを示す指数(ベンチマーク)に沿った運用を目指す投資信託で、低コストで比較的リスクも低い投資信託といわれています。アクティブ型とは指数(ベンチマーク)を上回る運用成果を目指す投資信託で、運用会社が投資先を研究して銘柄を選んで組み合わせるため、その分コストがかかり、コストも高めで比較的リスクも高い投資信託といられています。

金融庁が「手数料が低廉であること」を主要な条件としているので、「つみたてNISA」の対象商品は、低コストで低リスクのインデックス型が中心となっています。

どんな商品を選べばいい?

厳選されているとはいえ、その中にも様々な商品があります。投資初心者にとってはその中から商品を選ぶだけでもひと苦労です。そこで、まず投資信託の銘柄を選ぶ前に覚えておくべきことを解説しまよう。

まず押さえておきたいのが投資のスタンスです。前述した通り、投資信託は大きく分けて、指数に連動した成果を目指すインデックス型と指数を上回る成果を目指すアクティブ型の2種類があります。

基本的に初心者や手間をかけたくないという人は、低コストのインデックス型を選ぶのがオススメです。インデックス型は指数の値動きと連動するので仕組みがわかりやすく比較的リスクが少ないので、平均以上の利益は期待できませんが、大儲けがない分大きく損をする可能性も少ないです。

ある程度、投資に慣れて平均以上の利益が欲しいという人はアクティブ型も選択肢になります。「つみたてNISA」でラインナップされているアクティブ型はアクティブ型の中でも比較的リスクの少ないものが厳選されているので、挑戦しやすいものが多いです。

投資スタンスの次に、投資対象を資産別にみると株式のみに投資する株式型と、株や債券など複数の資産に投資する資産複合タイプのバランス型に分かれています。さらに投資先が、国内なのか、海外なのか、そして海外でも先進国や新興国などの投資エリアによっても様々な種類があるというわけです。

  • つみたてNISAの対象投資信託の内訳

投資信託は様々な投資対象がありますが、選ぶことからお任せしたいという人は、複合的にあらかじめ様々な資産が組み込まれたバランス型がオススメです。

「つみたてNISA」は投資初心者でも手軽に、リスクも少なく始められますが、投資信託でどんな商品を選べばいいのかわからないという人は、基本は低コストのインデックス型で、バランス型を選んでみるといいでしょう。せっかく投資に興味をもっても、考え過ぎて結局手を出さないのはもったいないことです。長期で考えれば、商品選びに悩むよりも、積立投資をやるか、やらないかという差の方が大きいといえます。まずは、自分にあった商品を選び、投資への一歩を踏み出してみましょう。

まとめ

  • つみたてNISAの商品の特徴は?

回遊舎

回遊舎

"金融"を専門とする編集・制作プロダクション。お金に関する記事を企画・取材から執筆、制作まで一手に引き受ける。マネー誌以外にも、育児雑誌や女性誌健康関連記事などのライフスタイル分野も幅広く手掛ける。近著に「貯められない人のための手取り『10分の1』貯金術」「J-REIT金メダル投資術」、「NISA120%活用術」、「めちゃくちゃ売れてるマネー誌ZAiが作った世界で一番わかりやすいニッポンの論点10」、「子育てで破産しないためのお金の本」など。