韓国旅行1日目は、参鶏湯を食べた後にハンジュンマクで新陳代謝を高め、東大門市場のファッションビルでお買い物をしました。2日目はKTXとセマウル号を使って約2時間半で到着する韓国の食の倉庫、チョンジュ(全州)へと出かけます。

【2日目13:30~15:00】チョンジュ名物ビビンバを堪能

チョンジュに到着したのは、すでに昼も回った13:30。私と友人はまだ昼食を取っていなかったので、とりあえずはご飯を食べてから……と意見は一致。チョンジュ駅から中心地まではやや離れているので、タクシーを拾うことに。行き先を告げて乗り込もうとすると、どこからともなく若いカップルが登場。しかも、私たちと同じタクシーに乗ってくる……。え、何で? はじめての体験にあわてふためいていると、友人が日本語で一言。「ただの相乗りだから気にしなくて大丈夫~」。それまで知らなかったのですが、韓国の人たちは方向が同じ場合は、タクシーを相乗りすることがよくあるそう(運転手がOKすれば。ただし、法律で禁止されるようになったので、ソウルではまれとのこと)。向かう先が同じだったので、降りるときはカップルと私たちでタクシー料金を折半。へぇ、こんなこともあるんだなぁと、4回目の韓国ではじめての体験をしました。

同行の友人は韓国滞在暦があるせいかかなり鼻が利き、はじめての店でもなぜか難なく探し当ててしまいます。チョンジュでもしかり。「あ、たぶん、ここ、ここ」と、あるお店の中に入り階段を上っていった先には「家族会館」という看板が見えました。チョンジュはビビンバ発祥の地といわれていて、家族会館は都市指定食堂の1号店。ここでは、30種類以上の具を盛り付けた「チョンジュビビンバップ」注文。おかず(パンチャン)が机の上にところ狭しと並べられ、箸をつけてみると手間暇かけてつくられたであろう一皿一皿がとてもおいしい!なお「チョンジュビビンバップ」は、朝鮮王朝3大名物料理としてもその名をはせているそうです。

家族会館で出されるチョンジュビビンバップ。今まで食べたことのないほど、たくさんの具がのっていました。これを思う存分かき混ぜ(ビビン)していただきます

パンチャンの中でも特においしかったのが、玉子焼き(ケランチム)。ふわふわに仕上げてあり、お箸を入れるとプシュっと縮みます

【2日目 15:00~16:00】ヨーロッパのような教会と慶基殿の奏でるコントラスト

お腹も安心したところで、早速観光へ。準備編でも少し触れましたが、チョンジュは韓国の食の倉庫と呼ばれると同時に、朝鮮王朝を作った李成桂(イ・ソンゲ)が生まれた場所でもあり、千年を超える歴史があります。昔の都(朝鮮王朝)を彷彿させる、歴史的な建物が残る地域です。早速、建造物を見ながら街を歩くことにしました。

豊南門(プンナムムン)。朝鮮王朝時代中期に建てられた全州府城の門の1つ。ちなみに、1905年に北と東、西の門は撤去され、このプンナンムムンだけが残っています

全州客舎(チョンジュケクサ)。いわゆるゲストハウス。中国からの賓客や官吏が滞在した。この周辺は繁華街でもあり、今風のお店が並ぶ中にポツンと残っているのがおもしろい

(左)伝統的な韓国の建物に混じり、まるでヨーロッパにあるような教会「殿洞聖堂(チョンドンソンダン)」が聳え立っていました。1914年に建てられたこの教会は、韓国でもっとも美しい洋風建築としても有名です(上)私たちが訪れた日は、教会で結婚式をやっていました。走る花嫁、花婿はいずこ?

(左)チョンドンソンダンの道を挟んだ向かい側にあるのが、慶基殿(キョンギジョン)。朝鮮王朝の始祖、李成桂(太祖)の肖像画を奉るために1410年に建てられた建造物です。向かいの教会と絶妙なコントラストを生み出しています(上)キンギジョンの周辺は市民憩いの場所でもあります。おじいちゃんたちが、思い思いに将棋を打っています。日曜日だからか、のんびりした雰囲気

【2日目 16:00~17:00】なぜか懐かしい韓屋村を歩く

チョンジュの伝統的な建物をひととおり見たあとは、韓式伝統家屋が800戸以上も保存されている韓屋村(ハノンマウル)へ。ハノンマウルはキンギジョンを中心にして広がっており、これらの家屋の多くは日本統治時代に立てられたものだそうです。小路に入り込むと、なんだか懐かしい気がしてきます。ハノンをお店として使っているカフェで、しばし休息。すると、どこからか打楽器の音が聞こえてきました。韓国の伝統音楽、サムルノリです。

ちょっと横道に入ると、タイムスリップした気分に。壁や塀の模様などを見ているだけでもおもしろいものです

お茶をいただいたお店の前には、樹齢数百年は経っているだろうと思われるイチョウの老木がありました。風情がありますね

韓国の伝統音楽、パーカッションアンサンブルのサムルノリを演奏しながら歩く若者たち。頭につけたポンポンなど、カラフルな衣装が目を引きます

日が沈み寒くなってきたので、帰りはバスで(10,500ウォン)ソウルに戻ることにしました。バスでのアクセスも列車と同じで2時間半程度で到着すると聞いていたのですが、ものすごい渋滞に巻き込まれ、ソウルに着いたのは出発から4時間後の22:00……。本当はバスが到着する高速バスターミナルで、サウナ(チムジルバン)と大浴場がある「セントラルスパ」に寄ろうと思っていたのですが、あまりにも到着が遅くなったので、そのまま食事に行くことにしました。このチムジルバンというのは、韓国の繁華街などには必ずある「スーパー銭湯」のようなものです。中にはサウナと大浴場、ごろ寝スペースに食堂やゲームセンター、エステ、マッサージ、ネイルサロンなどを併設した大規模なチムジルバンもあり、そんな場所で若いカップルがデートをしていたりします(笑)。また、ホテルに泊まるお金を使いたくない旅行者などが、一晩明かすために使ったりすることもあるそうです。

【2日目 22:00~24:00】ポッサムをむさぼり食い、マッコルリでうさばらし

長時間のバスに披露困憊しながら夕食に食べたのは豚肉料理「ポッサム」。まだ日本ではそれほど知られていませんが、韓国では専門店ができるほど人気が高い料理です。どんな料理かというと、ゆでた豚肉をキムチで巻き、ソース(ヤンニョム)などをつけて野菜と一緒に食べるというもの。日本で豚肉とキムチといえば"豚キムチ炒め"がポピュラーですが、ポッサムは豚キムチいためよりもヘルシーで、豚肉とキムチの絶妙なマリアージュを楽しめます。私はポッサムをはじめて食べたのですが、豚肉とキムチってこんなに合うんだ! とその相性のよさに開眼しました。ポッサムのお供に頼んだのは、マッコルリ。言わずと知れた韓国のどぶろく酒です。これをグビグビと呑みながら肉をむさぼり、今日のチョンジュへの日帰り旅行の労を友人とねぎらいました。

ポッサムに添えるキムチは、「ポッサムキムチ」と呼ばれる専用のもの。通常のキムチよりも浅漬けです

マッコルリの見た目は甘酒のようですが、酸味と炭酸の味がする不思議なお酒です。お酒をすくうお玉(バガジ)がまるくてかわいい

【3日目 13:00~15:00】ちょっと変わった韓定食、寺刹(サチャル)式で旅を締める

韓国旅行の最終日は、目的その3の、韓定食を食べに行きました。友人が選んでくれたのは、前日、前々日と肉を使った韓国料理ばかり食べていたので、ヘルシーな韓国料理である「寺刹(サチャル)式韓定食」。サチャル式とは日本の精進料理のように、肉や魚を一切使用しないお坊さんのための料理です。これを一般人向けに味付けしたものを出しているお店がインサドンにあるとのことで早速向かいました。ランチは2万2,000ウォンと少し値が張るのですが、「韓国らしい」雰囲気を思う存分楽しめます。ただし、お客さんの欧米人率がかなり高いので、ちょっと違和感もありますが……。

(左)インサドンは表通りも楽しいのですが、横道を入ると、さらに独特の雰囲気を持つお店がたくさんあります。今回訪れたサチャル式韓定食のお店「山村(サンチョン)」もその一画(上)テーブルに載りきらないほどの料理の品々。これらはすべて、肉や魚、乳製品を使っていない料理ばかり。中でも、数種類のナムル(写真中央からやや左)は、素材の持ち味をうまく引き出していて、一番気に入りました

昼食後はソウル駅に移動し、駅に隣接されているロッテマート(スーパーマーケット)でお土産などを買った後に、地下鉄で空港へ向かいます。こうして美も食も(そして鉄子も!)大満足できた韓国旅行に幕を下ろしました。今回の旅は、列車やバスなどの公共交通機関に予定を狂わされっぱなしでしたが、日本が正確すぎるだけなんだろうなぁとも思います。

韓国へのフライト数は他の路線が縮小しているにも関わらず、さらに増え続けています。東京以外の都市からのフライトも多くありますので、日本全国から手軽に訪れることができる外国として今後も定着していくのではないでしょうか。また、韓国へは船を使ったアクセスもあります。船旅はなかなか経験できることではないので、次回韓国に行く際はぜひ船を使ってみたら面白いことなりそうだと今から次の旅の計画を考えてしまいました。

それではみなさん、よい旅を!

コノミ流旅の掟
「公共交通機関の正確さは日本が一番。遅れても大丈夫なスケジュールを立てよう」

韓国の旅--日程メモ

2日目

時刻 内容
13:30 チョンジュ駅に到着
14:00 家族会館で昼食にチョンジュビビンバップを食べる
15:00 朝鮮王朝時代の建築物や、教会を観光
16:00 ハノンマウルを見学しながら、お茶を楽しむ
17:45 ソウルへバスで移動
22:00 東大門市場でポッサムとマッコルリの夕食
24:00 ホテルに戻って就寝

3日目

時刻 内容
9:00 起床後、屋台のホットサンドを朝食にミョンドンへ移動
10:30 ミョンドンで眉毛のアートメイク
13:00 インサドンでサチャル式韓定食のランチ
15:00 ソウル駅へ移動後、ロッテマートで買い物
17:00 金浦国際空港へ地下鉄で移動
19:40 ソウル・金浦国際空港(NH1294便)を出発
21:35 東京国際(羽田)空港着、帰国