前編では、女性活躍ブームで、企業は「女性が働きやすい会社」を強くアピールしていること、そして、本当に活躍できる会社は制度でなく風土が大事とお伝えしました。後編では、インターネットを使って、活躍できる風土がある企業を探す方法をお知らせします。

社員のSNSやブログの活用

ひとつの重要ポイントは、社員が実名で発信しているかどうか、です。SNSや個人のブログを見ると、すぐに分かります。加えて、書き手が社会問題など賛否両論あるテーマについて、自分の意見を述べていることも重要です。

社員のSNSやブログ活用は、奨励する企業、許可するものの企業名は出さないようにという企業、禁止する企業に分かれます。

そういう中で、社員が実名と所属企業名を出して、明確に意見を述べている企業は、かなり自由度が高く個人尊重の風土がある、と言えます。そして、本気で活躍したい女性に私が勧めたいのは、手厚い育休制度がある企業より、社員に言論の自由がある企業です。

育休男子.jpとは?

その一例が育休男子.jpというブログを運営する30代ビジネスマンの発信です。 2月13日に掲載された「【男性議員の育休】議論が後退しないシンプルな理由」という記事を含め、継続して、男性育休を推進する立場から、その必要性を記しています。淡々と論理的に、様々な意見を紹介・検証しつつ書いているスタイルが印象的でした。

筆者はどんな人かな?と興味を持ってプロフィールを見てみると、高橋俊晃さんという33歳の男性で0歳児のお父さんであること、現在、9カ月の育休中であると書かれています。お名前も、勤務先の企業名も、どの部署でどんなお仕事をしているのか、も記されていました。

ブログの内容に共感しただけでなく、どこの誰でどんな仕事をしているのか、明らかにしているところに、すがすがしさを覚えました。自身の育休体験を綴るだけでなく、その体験と社会課題をつなげ、自分と違う意見も丁寧に検討し実名で書く。

自ら発信している人がいる企業は風通しが良い?

こういう発信を「できる」とか「してもいい」と社員が思えるような企業は、まだ、そう多くありません。だからこそ「探し出す」価値があるのです。 女性だけでなく男性も育児に参加している、具体的には育休を取ったり、保育園の送迎をしたりしている企業は、女性が妊娠出産して復帰することを、当然と考えています。

そして、自らの生き方や家族のありようとつながる社会課題について、当たり前という姿勢で発信している人がいる企業は風通しが良いはずです。 そういう職場では、女性を単なる保護の対象としてではなく、力を発揮してほしい人材として、中立的な発想で見ていることが多いのです。

実は私は約10年前、この会社のトップの雑誌連載を担当していました。毎回送られてくる原稿は一読して「え!」と思わず言ってしまうような、斬新な発想に満ちていました。当時から、出産した女性のための独自の支援策を作っていました。そういうトライ&エラーの積み重ねで出来る企業文化が、こういうブログを書ける優秀な人材を惹きつけているんだな、と納得したのです。

この記事では、あえて企業名を記しませんので、興味がある方はリンク先をたどって調べてみて下さい。「女性の育児支援制度」ではなく「個の尊重」と、おそらくは「合理的な発想の成果主義」を感じるはずです。本気で活躍したい若い女性に私が勧めたいのは、まさにこういう企業なのです。

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著者プロフィール

●治部れんげ
豊島逸夫事務所副代表。 1974年生まれ。1997年、一橋大学法学部卒業。同年日経BP社入社。記者として、「日経ビジネス」「日経マネー」などの経済誌の企画、取材、執筆、編集に携わる。 2006年~2007年、フルブライト・ジャーナリスト・プログラムでアメリカ留学。ミシガン大学Center for the Education of Woman客員研究員として、アメリカ男性の家事育児分担と、それが妻のキャリアに与える影響について研究を行う。またツイッターでも情報発信している。

【連載】25歳のあなたへ。これからの貯”金”講座

25歳。仕事や私生活それぞれに悩み不安を抱える年齢ではないだろうか。そんな25歳のあなたへ、日本を代表するアナリスト・豊島逸夫ウーマノミクスの旗手・治部れんげがタッグを組んだ。経済と金融の最新動向をはじめ、キャリア・育児といった幅広い情報をお届けする特別連載。こちらから。