フェイスブックのCEOマーク・ザッカーバーグ氏。写真はFacebookウェブサイトより引用

フェイスブックCEOのザッカ―バーグ夫妻に女児が誕生した。名前はMaxちゃん。記念に彼は、保有自社株の99%を段階的に生涯かけて新設立するチャリティー基金に寄付すると発表。時価円換算でざっと5兆4千億円相当。やることが、「パネェ」というか、カッコいいね~~。

まず、今後3年間、毎年10億ドル相当を基金に移すとのこと。同社株価は現在107ドルだ。 同氏は、FB上で、「私の娘へ」と題する長文のレターも公開。写真つきで、娘への気持ちと、親の世代としての責任を切々と書いている。

この書き込みに直ぐに反応している人たちが、マイクロソフトのビル・ゲイツ夫人やフェイスブックのシェリル・サンドバーグ女性COOなど同業の著名人たちだ。あいついで「おめでとう」コメントしている。なお、ザッカ―バーグCEOは当面、議決権は維持するとのこと。

親が子を思う気持ちは同じ

そこで思い出した。世界的な著名投資家ジムロジャーズ氏は、私との対談で、買っている金(ゴールド)は全て娘たちへ残すため、と明言していた (ちなみに、ジムは70歳を超して、娘二人は10歳未満! ) 。娘が成人になるころ、世界がどうなっているのか、世界に名を成すプロ投資家でも見当がつかない。だから、なにが起こっても価値が残るモノを残したいという思いがあるのだろう。

私が働いていたスイスでは、娘のために、誕生日ごとに記念写真と金貨一枚をアルバムに貼る習慣があった。30歳で結婚するとすれば、30枚の成長の記録写真と金貨30枚で分厚いアルバムになる。それを、嫁ぐ前の晩に贈るのだ。「嫁ぎ先が傾いたり、嫁いびりにあったり、困ったときには、この金貨売って凌ぎなさい」という言葉を添えて。嫁ぎ先のことを、あれやこれや心配する親の気持ちは日本もスイスも同じことなのだ。

インドでは、嫁ぐ娘に、大ぶりのゴールドジュエリー(重い!)一式を父から娘に、文字通り持参「金」として持たせる習慣もある。そういう文化的習慣があるので、インドは世界最大の金需要国だ。

ザッカ―バーグ夫妻も、インドのお父さんも、気持ちは同じなのだと思った。ザッカ―バーグ氏のほうは、約5兆円相当をチャリティー基金として、娘が育つ社会を良くするために使いたいという発想だけどね。なにかと殺伐とした経済の世界のなかで、久しぶりに心温まる話題だった。

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著者プロフィール

●豊島逸夫
豊島逸夫事務所(2011年10月3日設立)代表。2011年9月末までワールド ゴールド カウンシル(WGC)日本代表を務めた。1948年東京生まれ。一橋大学経済学部卒(国際経済専攻)。 三菱銀行(現・三菱東京UFJ銀行)入行後、スイス銀行にて国際金融業務に配属され外国為替貴金属ディーラーとなる。豊富な相場体験をもとに金の第一人者として素人にも分かりやすく独立系の立場からポジショントーク無しで金市場に限らず国際金融、マクロ経済動向についても説く。またツイッターでも情報発信している。

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