よしもとクリエイティブ・エージェンシー所属、結成7年目を迎えたお笑いコンビ・空気階段。過去には「キングオブコント」準決勝まで2度も勝ち進み、TBSラジオ「マイナビ Laughter Night」のチャンピオンライブでは2連覇も達成している。

そして昨年、ボケを担当する鈴木もぐら氏は結婚し、さらにはパパになったという。順風満帆な芸人ライフを歩んでいるようにも見える同氏だが、一方では“借金600万円”など、なかなか気合いの入った「クズ」っぷりも話題になっているのだとか。

本連載では、そんな鈴木もぐら氏が自身の生活を見直し、新たな人生を歩んでいくためのエッセンスを探る過程を追いかける。第1回目となる今回は、自己紹介も兼ねて過去の「クズエピソード」をさらけ出していただくことに。

  • あのときの大家さんには謝っても謝りきれない、と改めて頭を下げるもぐら氏

    鈴木もぐら 1987年5月13日生まれ。千葉県旭市出身。よしもとクリエイティブ・エージェンシー所属。特技であるという将棋では、アマチュア二段を獲得している

借金、家賃滞納、そして遅刻癖

――いきなりで申し訳ないのですが、やはり「借金」のイメージが強いので、そこを詳しくお伺いしたく。これまで最大でいくらぐらい借金されていたことがあるんですか?

今が最大ですね。増え続けてます。600万円とは言っているんですけど、実際は650万円ぐらいあるかもしれないです。正直もう詳細がわからないというか。やっぱりそういうことを考えているとインタビューもまともに受けられないですし、こうしている間にも利息は増えていくので、見ないようにしているといいますか。そのレベルまで来てますね。

――何か具体的に対策していることはあるんですか?

無策です。とにかく芸人として早く売れないとっていうことだけを考えてます。

――目算で600万円はシビれますね……。そのお金の主な使い道はどういったものなんでしょう?

ギャンブルと風俗ですね。キャンブルは、パチンコ、パチスロ、競馬をやってました。やっぱり人間より馬のほうが信用できるんで。人間同士の争いにはお金を賭けたくないんですよ。

――大学の学費もギャンブルで捻出したと伺いました。それも実話ですか?

そうですね。当時は勝ちまくってて貯金もありました。でもそのあとに法律が変わって、スロットで勝つのが難しくなってしまったんですよね。国に人生狂わされましたよ……。

――そこから状況が悪化し続けて今に至るわけですね。警察からお金を借りたこともあると聞きましたが、それはどういう状況だったんですか?

渋谷でライブに出演する予定があって、高円寺から電車で向かおうとしたときとか。電車に乗る前に、腹が減ってたんで、コンビニでアメリカンドッグを買ったんですよね。その後、財布にまだお金が入ってると思っていたんですけど、電車に乗ろうとしたときに全然お金がないことに気付いて。これはもう出番の時間に間に合わない、どうしようと。それで交番に駆け込んで直接頼み込みました。

――貸してくれるものなんですね。高円寺から電車で向かおうとしたとき“とか”っていうのが気になったのですが、何回か借りたことがあるんですか?

生涯で3,4回は借りてるかもしれないです。だいたい電車賃ですね。例えば、寝過ごして終電を逃したときに、その駅で降りないといけないわけじゃないですか。それで、始発で帰ろうにもその分のお金がなかったりとか。もちろんこれは完済してるのでご安心ください。

――なんとなく、今後もまだ警察から借りることがありそうな予感がしてるんですが……。乗り過ごしとか遅刻はけっこう普段からやってしまいがちですか?

そうですね。ネタ合わせにものすごい遅刻しちゃったりとか。以前、相方は横浜に住んでまして、僕は高円寺に住んでたんですよ。それである日、朝10時に相方の家に集合してネタ合わせをしようという予定があったんです。ただ、僕はバイト明けだったこともあり、電車の中で寝過ごしちゃいまして……。

もうね、気付いたら熱海だったんですよ。そこから折り返したんですけど、また熟睡してしまい、次は高崎らへんで目が覚めて。もはやボタンを押さないとドアが開かないエリアに入ってたんですよね。ここはどこなんだと。そこからまた熱海に戻っちゃって、なんだかんだで10時間ぐらいの遅刻ですよ。

――仕上がってますね。高円寺に住んでいたということですが、家賃は工面できていたんですか?

そのころ住んでいた家は、4畳半の風呂無し・トイレ共同で家賃が1万7,000円だったんですよ。

――怖いぐらい安いですね。

東京に出てきたときに、10万円と寝袋ぐらいしか持ってなかったんです。その中で借りられる家を探した結果、なんとかここを見つけて。大家さんもすごくいい人で、僕が風邪をひいたときも家の前にご飯を置いといてくれたりとかして。いろいろ面倒を見ていただいたんですけど、恩を仇で返す形になってしまったというか……。

――もしや、家賃を滞納してしまったとか?

はい。半年分ほどですね。それでちょっとテレビに出たりしたときとかに「いやーギャンブルに使っちゃってさぁ」みたいなエピソードトークをするわけじゃないですか。それを大家さんが見ていて。「いい加減にしろ、ふざけるな」と。もう土下座ですよね。「お前は人間のクズだ」と言われまして、「誠意を見せてください」っていうメモ書きが週1ペースでドアに貼られるようになりました。

  • 鈴木もぐら 1987年5月13日生まれ。千葉県旭市出身。よしもとクリエイティブ・エージェンシー所属。特技であるという将棋では、アマチュア二段を獲得している

    あのときの大家さんには謝っても謝りきれない、と改めて頭を下げるもぐら氏

――その滞納分はどうやって支払ったんですか?

TBSラジオでやっている「マイナビ Laughter Night」というネタ番組があるんですけど、その中で開催された大会で優勝しまして。その賞金で、半分ぐらいを一気に。残りの半分はそれまでコツコツ返してた感じですね。

――優勝おめでとうございます。ちゃんと返していたことを伺えて少し安心しました。