よしもとクリエイティブ・エージェンシー所属、結成7年目を迎えたお笑いコンビ・空気階段。過去には「キングオブコント」準決勝まで2度も勝ち進み、TBSラジオ「マイナビ Laughter Night」のチャンピオンライブでは2連覇も達成している。

そして昨年、ボケを担当する鈴木もぐら氏は結婚し、さらにはパパになったという。順風満帆な芸人ライフを歩んでいるようにも見える同氏だが、一方では“借金600万円”など、なかなか気合いの入った「クズ」っぷりも話題になっているのだとか。

本連載では、そんな鈴木もぐら氏が自身の生活を見直し、新たな人生を歩んでいくためのエッセンスを探る過程を追いかける。

過去の「クズエピソード」をさらけ出していただいた前回に続き、第2回となる今回は「禁煙」に挑戦する様子をお届けしよう。

  • 「たばこを卒業したい」と強く訴える鈴木もぐら氏

禁煙外来とは?

鈴木もぐら氏が訪れたのは、東京都中央区日本橋の中央内科クリニック。我々を出迎えてくれた院長の村松弘康氏は呼吸器内科とアレルギー科の専門医であり、日本禁煙学会の理事なども務めている。

  • 中央内科クリニックの院長・村松弘康氏。かつて喫煙していた時期があるという同氏は、禁煙することのつらさは身をもって知っていると言えるだろう

禁煙外来とは、ニコチン依存症の治療を目的とする専門外来である。医師による問診などを受け、依存の程度や生活スタイルに合わせて禁煙のサポートを施してもらうというのが一般的な治療の流れとなっている。今回も通常の患者さんと同じように、いつも通りの手順で治療を進めていただくことに。

過去には3度禁煙に失敗

まずは、問診票に自身の現状を書き込むところからスタート。問診票には、禁煙に対する「意欲」と「自信」を明らかにするための質問などが設定されている。

  • シリアスな表情で問診票と対峙

もぐら氏が「真剣にやめたいと思ってます! 」とシャウトしつつ記入した問診票を覗いてみると、やめたい気持ちは「90%」、やめられる自信は「10%」の文字が。

加えて、1日にたばこを吸う本数は「60~80本」という数字も目に飛び込んできてしまった。仮に1本吸うのに3分かかるとすると、1日に3,4時間はたばこを吸っていることになる。時空が歪んでいるのではないかと思ってしまうほどの喫煙量だ。

  • 問診票への回答をもとに診療を進める

過去には3回ほどパイポを用いて禁煙に挑んだこともあるそうだが、その期間は最長で1カ月。つい3日ほど前に禁煙を失敗したばかりで、現在は1日1箱以上吸うところまで戻ってしまっているとのこと。しかし、村松院長からは「パイポのみで1カ月はすごいですよ! それならばいけそうな感じがしてきました」と前向きな意見も。

問診票をチラ見しただけですでに先行きが不安になりつつあったが、まずは正直に現状を記入していただいたことに感謝したい。ここからはプロに身をゆだねてみよう。

たばこの有害性・依存性を再確認

もぐら氏の喫煙状況を把握した村松氏は、たばこの有害性についての説明を始めた。

「たばこの煙の中には70種類以上の発がん性物質が含まれている」「肺がんだけではなく喉のがんや食道がんなどの原因にもなる」「心筋梗塞や脳梗塞などのリスクも高まる」など、動画や写真を交えながら喫煙のリスクを丁寧に解説。そういったことをある程度わかってはいるものの、それでもなかなかやめられないのがたばこの恐ろしさである。

  • ニコチン依存になってしまったサルの映像などを見ながら、たばこの有害性や依存性に関しての説明を受ける

そもそも、もぐら氏が禁煙しようと思ったのは、奥様のひと言がきっかけだったそう。もちろん子どもが生まれたことも大きいというが、「たばこ代とかもそうだけど、それよりもまず死んでほしくない」と奥様から言われたことで、禁煙を本気で決意したのだ。そのような背景もあり、たばこの有害性についての説明はもぐら氏にも大いに刺さった模様。

併せて、たばこの依存性についても言及。寝ている間はタバコを吸えないので、朝起きた直後はもっともニコチンの血中濃度が下がっている。そのため、「朝起きて1本目を吸うまでの時間」は依存度に大きく関わってくる部分だという。現状、もぐら氏は起きて5分以内に必ず吸うそうで、やはり依存度は高い状態であることがわかる。

  • たばこの有害性に関する説明を聞き、テンションが急降下するもぐら氏

また、たばこへの依存は「ニコチンに対する依存」と「心理的な依存」が半分ずつであると村松院長は続ける。禁煙外来では、この両者を解消するためのサポートをしてくれるというわけだ。

喫煙している期間はニコチンが身体中にある状態でバランスを取っているので、突然ニコチンがない状態になると、どうしても不安定になってしまう。それによってイライラしたり落ち着かなくなったりという症状が出てくる。

そこで、徐々に身体を慣れさせていくために用いられるのが、禁煙補助のパッチやガム、ニコチンに似た作用を持つ飲み薬など。それらによって禁煙のイライラを抑え、「心理的な依存」=「習慣」の部分に立ち向かっていくのである。

村松院長いわく、上記のような補助アイテムを何も用いず禁煙に挑戦した場合の成功率は7~8%にとどまるとのこと。しかし、きちんと禁煙外来を受けてそれらのアイテムを用いれば、成功率は80%ほどにまで跳ね上がるという。この話を聞き「パチンコでもね、やっぱり継続率80%超えたら最高ですからね」と表情を緩めるもぐら氏。